本多家での日常
「みんな ありがとう その件は考えておくわ、アナムネシスを授かってからエラドを決めても遅くないしね」
「ああ それにしても楽しみだな、イノリがどんなジョブを授かるのか 俺と同じ様に“戦士”
からの2ndアナムネシスで“魔法戦士”が順当そうだけどな! そうなったらエラドは当然俺だな」
心から楽しそうに話す ルイ、それほどにこの世界でアナムネシスという儀式は特別なものなのだろうということが伺える
「いや女の子だからな 魔術師からの黒魔術師も捨て難いぞ」
ブルートの発言に『『『そう言えば、女の子だったな〜』』』という目でみんながイノリを見る
当のイノリはジョブなど、まるで興味がないとばかりにアランが持ってきた串焼きに夢中である
“へっ”とみんなの視線に気付いたイノリは、残り数本の串焼きを誰にも取られないよう胸元に隠す
「………………狂戦士……………………いやっ…………すまん…………」
みんなが、心の中で思っていた事を口にしてしまう アラン
「「「…………………………………………………」」」
「こんな優しい子が、そんなジョブを授かるはずがありません」
「「「だよな!!」」」
「そう言えば、早いもので僕たちがこの世界に戻って来年で10年なんだな そりゃみんな歳を取るわけだな 古龍様の指示に従い アランはギルドマスター ルイはギルドとサランジ魔術学校の教官 俺はアーティファクトの研究等この世界の有事に備えて冒険者たちを強化してきたわけだけど、今やこのサランジの街は王都に次ぐ都市に成長した エヴァの作った魔術学校も大きな成果を上げているしな 古龍様の期待に応えられているよな?」
「古龍様の言っていた有事っていうのは、いったい何の事で、いつ起こるんだろうな?……
イノリ! ルイ先生に串焼き一本くれ!!」
「ルイ 古龍様が前に言われたのは、次元の異なる世界との境界に綻びが出始めているらしいの
ブルートの転移魔法の暴走で私たちは日の本に行ったと思い込んでいたけど、実はその綻びに
干渉してしまったのではないか? 今後も同じような事象がもっと大きな規模で起こり得ると
古龍様は考えているようなの、それがいつ起こるのか? 明日かもしれないし100年後かもしれない あるいは永遠に起こらないのかもしれない 常に備えよという事で、わたしに魔術師学校を作るように指示されたのよ」
「大丈夫です! イノリがみんなを守ります この子が大きくなったら、2人でみんなを守ります 世界一強い姉弟になりますから 難破船に乗ったつもりでいて下さい!!」
「漂流するのかよ! って解って言ってるだろう!?」
ルイとイノリは、世界一面白い師弟を目指してるだろと心の中でツッコむ一同
『そうか…来年で10年か、あちらの世界では、殿(徳川家康)の10回忌が催されるのだろうな
あちらの世界が平和を取り戻し、徳川も武田も手を取り合って日の本を導いてくれている事を
願うばかりだな』
何事かを考え込み、神妙な顔つきになった忠勝の手を強く握る エヴァ
「旦那様…日の本の事を思い出しているのですか?」
「はい殿の事を思い出していました 殿のおかげで貴女と巡り会えたのだなと改めて感謝していました」
「確か日の本の慣わしでは、10回忌にあたるのですね 出来るものなら戻りたいのではないですか? 肉親の方もいらっしゃるようですし」
「肉親は、栄子姫という妹だけです こちらにくる前に長束正家という信頼できる武将に預けてきましたので今頃は、幸せに暮らしていることでしょう 貴女とイノリを残して戻りたいなどと考えたこともありません」
「“渡り”は2つの世界の往復だけだからな 僕たちは、もう日の本に行くことは出来ないが
忠勝 君は日の本へ戻る事は出来るが、こちらにはもう戻って来れないという事だからな
2度とエヴァとは会えないという選択を君がする筈はないな」
ブルートは、古龍の協力により“渡り”のシステムを研究した結果、肉体を持つ生物の“渡り”は
1往復のみ 古龍である八岐大蛇は精神体な為に自らが管理する世界であれば自由に行き来が出来るという事が判明していた
「父様! モンスターを召喚して下さい!! この前のぬらりひょんがいいです 今日こそ勝ちます!! このピュンピュン竹で!!」
いつの間にか、ルイとともにドーム中央でピュンピュン竹を振り回している イノリ
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