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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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その後の日の本

お久しぶりです

その後の戦国魔法奇譚です 数話書かせていただいて完結にしたいと思います

お付き合いいただけると嬉しいです


あと【エヴァの事件録】という推理物ですが連載中です

ぜひ読んでやって下さい 3日毎に更新しております

エヴァや本多忠勝らが新岐阜城跡地で姿を消してから9年の時が過ぎ

征夷大将軍·武田信玄は、駿府今川館跡地に躑躅ヶ崎館を模した城を築城し静岡城と名付け

甲斐、信濃、伊豆、駿河、遠江、三河の一部を武田直轄領とし幕府をおいた

後の世に静岡時代と呼ばれる 幕府が誕生していた

この9年の間、国同士の争いも無く 民も久方振りの平和を謳歌し、再び戦国の世に戻るなどと

疑う者も居ないほどに民も武将も 将軍·武田信玄に絶大な信頼を置いていた

そして、朝廷の復権に手厚い支援を続け 日の本の歴史上で類を見ないほど官武が一丸となり

平和で争いの無い豊かな国作りに注力した結果、世界でも類を見ないほどの豊かな国が誕生し

そして民の顔には、穏やかな笑顔が多く見られるようになった

特筆すべきは、エヴァが各地に残した治癒の魔法が込められた殺生石が、今だにその効力を発揮し続け 殺生石を据えた天女堂が、羽柴組の手で各地に建立された

人々は殺生石に触れることにより、重度ではない病や怪我であれば癒され その結果

それまで5歳までの幼児の生存率が異常なまでに低く 平均寿命も50歳にも届かなかったのだが 

幕府が推奨する肉食がもたらす食糧事情の改善などもあり 幼児の生存率も飛躍的に上がり 年々平均寿命も上がり続け これから爆発的な人口増加を迎えると予想していた



静岡城内 武田信玄·執務室 

天女御殿に習い 机に椅子という西洋風調度に囲まれた執務室内 “ガチャッ”と扉が開く

その机上には紙の束が積み重なり その隙間から信玄のギョロリとした双眸が真田幸隆を睨む

「なんじゃ幸隆?」

「お館様 徳川信康殿が家康殿の10回忌を大樹寺で執り行う事の許可を求めております」

「そのような事で、いちいちわしに許しを請う必要など無いと何度も申しておるじゃろう!?」

「信康殿は、何かと理由をつけてお館様との繋がりを感じていたいのでしょう」

「あ奴も、よい年をしていつまでも子供のようなことを。。。

三河、尾張を治める 大大名だと言うのにのう 困ったものだ。。。

それにしても年月の流れるのは速いものだな、家康の10回忌か。。。天女殿達が消息を絶ってから来年で10年。。。

もしも あの連中が現れなければ、この国はどうなっていたのだろうな。。。?」

「お館様もそれがしも生きていなかった事は間違いないようですな」

「違いない この国もこれ程までに発展もしておらんかったじゃろう 今は何処に居るのかも判らんが、今の日の本を見てもらいたいものじゃ」

「まったくですな〜 天女様が仰っていた 争いの無い平和な国が出来るなど10年前には夢にも思いませんでした」

「天武の子供たち  いやいやもうみんなよい歳だが 全国で働いてくれているお陰じゃな

信康への返事だが 何があっても必ず参列する わしの名を使い全国の諸大名に報せを出すように伝えよ」

「畏まりました 久し振りにみんなが揃うかも知れませんな〜」

執務室内に還暦をとうに過ぎた2人の笑い声が響く





9年前に古龍に喰われたネボアは、そのまま古龍の腹の中で消滅するか

あるいは魔界へと送られる筈であった しかし古龍の体内で異世界転移する直前

異物であると認識されたネボアは、八岐大蛇も気づかぬうちに、古竜の体内より排除されていた

そこからのネボアの記憶といえば、一目散にただひたすらに逃げた事だけである

新岐阜城を振り返ることもなく ただひたすらに。。。

兄弟竜達が存在しない世界に、例えようの無い孤独と、侮っていたはずの人間の力に恐怖を覚え

自分自身の力がまったく通用しなかった事実に絶望しながら 

霧の魔獣ネボアはドス黒い怨嗟を吐きながら 飛び続けた


どれほどの間、飛び続けたのだろうか 気がついた時には、幼子の身体に憑依しており母親と

思われる女の胸に抱かれていた 無意識に安寧と庇護を求めた結果なのかもしれないが

見知らぬ女の温もりがネボアの縋りついていた わずかな思考の糸を手放させ 

まさに幼子のように底知れぬ深い眠りに導いていった。。。


それから2年ほどの間、憑依した幼子の自我が芽生える歳になるまでネボア自身の記憶も曖昧とした物であった

まるでもやのかかった夢の中に居たような おぼろげな記憶があるだけだが

宿主に命を与えてくれた母親と常に数人の乳母に囲まれ

目に見える物ではないが、無償の情を注がれ 時折だが訪ねてくる父親と思われる人物からは

まさに溺愛と言うに相応しい異常とも思えるほどの愛情を注がれた

この世界に産み出されてから初めての安らかな時を過ごせた事は疑う余地も無かった

その為なのだろうか? フォゴやナーダという兄弟竜の事も、あれほどに憎かった人間達の事も

記憶の片隅に封じたかのようにネボアの思考の表層に現れる事も

苦い記憶に顔を歪めることも無く まるで忘れ去ったかのように平穏な時が流れて行った


そしてこの幼子は名を信景と呼ばれていた  5歳になった信景の環境に大きな変化が訪れる

「信景 この雪が解けて春になりましたら一乗谷に参りますよ あなたの【袴着の儀】(男児が五歳となり初めて袴を着用する行事)を執り行い、それからは父上と一緒に暮らす事になります」

「父上、母上と私の3人で暮らす事が出来るのですか?」

「母は少し遅れて行きますゆえ 先に行って待っていて下さい 父上の言う事をよく聞いて

みんなに好かれるよい子になるのですよ 信景は聡い子ですから母は心配していませんが……」




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