時空を超えし者達2
古龍の治めるという亜空間、別の次元の世界
見渡す限りの砂漠に突然現れた、氷に覆われた巨大なドーム
そのあまりにも異質な存在は、わずか2秒にも満たぬほどの時間だけ、そこに現れ
まるで砂漠の蜃気楼のように揺らぎ消える
そして内部にいた者達は、サンドマンの目を通して その光景に目を見開く
エヴァ達には、その光景にどこか懐かしさを覚えた しかしそれ以外の者たちには
見た事の無い砂の世界が広がり、突然現れた異物に驚いたのか
全長10mを超える、巨大なミミズのような化け物が、無数の鋭い牙を剥き出しにして
地中から飛び掛かってくる 思わず腰を退け反らせる 武将達
さらに高空には、5匹の翼竜の群れが、地上の異変に注視し 注意を促すために
「キイイイイィィィィィーッ」という高音の金切り声を上げる
「えっ!?」
驚きの声を上げるエヴァ
「サンドワームとワイバーンだと!?」
ルイが映像を食い入るように見つめる
「ということは。。。ここはイタウナ砂漠だと言うのか!?」
ブルートが言い終わる前に、視界が歪み 来た時と同じように時空の滝壺へと吸い込まれ
激しい衝撃に床面にしたたかに身体を打ちつけ 苦痛の呻きや 悲鳴が聞こえる中
白煙に包まれた空を見上げ、元の世界へと戻った事を悟る
「いったい。。。あの光景は。。。?」
放心したように天井を見つめ続ける エヴァとブルートとルイにアラン
高空より、極大の息吹を放ったナーダは、自分の最大の攻撃が着弾する瞬間に
空間が歪み、攻撃目標であるドームが空間の隙間に吸い込まれるように消失したのを
驚愕しながらも、明晰な頭脳で時空を超え退避した事を確信する
消えたドームの跡地 剥き出しとなった地下一階部分に着弾した極大の息吹きが、その床面を軽々と砕き、直径200mの地下の建造物を内部から爆散させ、有り余ったエネルギーが上部へと向かい、火柱が立ち昇る
わずかに肩を上下させ、息を整える ナーダ
ここでの戦いも24時間を経過し、疲労はまったく無いにも関わらず 終わりが見えぬ故の、焦燥感に襲われる
「使いたくない手ではあったが。。。」
独り言ちり、何かを決断した様な表情を浮かべる ナーダ
そして火柱が消え去り、もうもうと立ち込める白煙の中に目を凝らす
破壊され尽くした地下施設に、すっぽりと収まるように姿を現す ドーム
胸を張り、全身の竜鱗を逆立たせる それに瘴気を纏わせ一気に空中に浮遊させると
その動作を2度3度とさらに4度5度と繰り返すと、魔王ナーダの周囲に無数の竜鱗が漂い 「ふんっ」という鼻息とともに空を覆い尽くさんばかりの魏頭魔が、地上を見下ろし滞空する
それをドーム内で見上げていた 本多忠勝が蜻蛉切りを手に立ち上がる
「奴らを蹴散らしてきます! 怪我人も出ているようです この場をお願いします」
きょとんっとした表情を浮かべていたエヴァが、我に返る
「は、はいっ 旦那様くれぐれも気をつけて下さいね!」
ドーム内に再び広範囲に回復魔法を掛け、忠勝を送り出す
ドームのすべての障壁を一瞬だけ解除し、飛び出した忠勝が、何やら不安げにドームを
見下ろす
ー『天女様だけでなく、ルイやブルートの様子も何やらおかしかったが。。。』ー
頭を振り、その疑問を頭の隅に押しやると蜻蛉切りを手にナーダへと向かい
さらに加速していく
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