時の宝戟3
「戯言を!!直政君をどうしようというのですか!?」
「案ずるな、殺しもせんし喰いもせん その子供の能力である次元を超える力が欲しいのだ おそらく1年も掛からずに、我はこの星の生物を喰らい尽くすだろう
滅する命が無ければ、我の存在意義が無くなる その時点で我が種族の本願が成就だと
そう考えていた しかし別の次元があるのだぞ!? 永遠に喰らい滅ぼせるという事ではないか!?」
«ほう 奴も直政の能力に気づいたか 天女よ直政を絶対に渡してはならんぞ!»
「言われるまでもありません!絶対に直政君は渡しません!!」
「でも、天女様。。。僕一人を渡せば、この国の民を見逃すと言っているのですよ
魔王となったナーダは、嘘をつかないような気がします」
「直政君、自分達の命が助かるために直政君や他の世界の命を差し出す訳にはいかない
たとえ本当にナーダが直政君を手に掛けなかったとしても、君は永遠に魔王の虐殺を
見続けるのだぞ?」
巨体を屈め、直政の視線で目を覗き込む 忠勝
「それは。。。耐えられないかも知れません。。。」
「直政君、貴方は優しい人ですからね 大丈夫ですよ 私と旦那様で貴方もこの世界も守りますから」
«その直政に助けられたばかりじゃがな»
「古龍様。。。それは。。。直政君!3人でナーダを倒しましょう!!」
「愚かな選択をしたと、すぐに気づく事になるぞ!?」
3人の頭上で不気味に笑う ナーダ
「2人はここで見ていて下さい!」
神威を纏った忠勝が地を蹴り蜻蛉切りを扱く 蜻蛉切りの穂先が伸び、ナーダへと迫る
軽々と尻尾を払い、それを凌ぐと 瞬間移動を使い、直政の正面に立つ ナーダ
3mもの巨体が直政を見下ろし、右手の人差し指を直政の額へと向ける
「時間停止!」
がむしゃらに草薙剣を振るう 向けられた右手を切り落とし 腹に胸にと刺突を繰り出す
ナーダの足を蹴り、飛び上がると首を払う
«直政 落ち着くのだ!お前の力では致命傷は与えられん 下がるのだ!!»
エヴァが動き出す
「直政君!下がって! お玉様!青龍!私に力を!!」
エヴァの頭に狐の三角耳が生え、尻の九尾が風を打つ 玉龍に魔力を込め
ナーダの首へ向け、渾身の力で薙ぎ払う! ずるりっと滑り落ちる ナーダの巨大な首
ナーダの左腕がぴくりっと動き 落下する首を掴み取る
「そんな!?まだ時間停止は解除されていないのに!!??」
「えっ!?」
頭上の忠勝を見上げる 時間の停止した色褪せた世界で空中で停止したまま固まっている
「そんな!?なぜ動けるのですか?」
左腕に抱えられた、ナーダの口が開く
「はっはっは 考察を重ねたからな 理屈を理解すれば、他者の能力に溶け込む事も
それほど、難しい事ではない まぁ随分とやってくれたようだがな。。。
改めて素晴らしい能力だ!」
「時が動き出す。。。」
瞬時に再生された右腕で頭を定位置に乗せ、こきっこきっと首を曲げ鳴らす
ナーダとエヴァ達の間に瞬間移動で現れた忠勝が、ナーダの腰に両腕を巻き付け
エヴァ達から距離を置こうと、押し込む 胸に頭をつけ 2歩3歩と押し込んだところで
地面に踵をめり込ませ 押し返すナーダ
「相撲で他種族に負けるわけにはいかん!!」
忠勝の纏った蒼い神威が膨れ上がる それに呼応するようにナーダの漆黒の魔王の覇気も
膨れ上がり 砂埃が舞い上がり 地面が揺れる
がっぷり四つに組んだ両者の映像が大食堂の壁面に映し出され 大いに盛り上がる
「行け!!忠勝殿!! 右手を挿すんだ!!」
「頭を付けて押し込め!!」 「忠勝!!投げろ!!上手投げだ!!」
ナーダが繰り出した尻尾が、忠勝の左膝を砕くと あっさりと尻を付く 忠勝
「「「「「「「「「ああ〜〜〜ぁぁぁぁ〜〜〜〜〜」」」」」」」」」
落胆の声が大食堂を支配する
「相撲で尻尾を使うなど卑怯だぞ!!!」
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