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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
332/519

忠勝対ナーダ2

千代のサンドマンの眼が、魔王ナーダと本多忠勝の激闘を追い続ける

陽も高天に差し掛かり、冬の澄み切った青空を切り裂く漆黒の流星と真蒼の流星

一方は触れた大気までも腐食しそうな淀んだ瘴気を纏い 

そしてもう一方は、神々の後光を連想させる、すべての穢れを浄化させる 神威を纏う


黒い点が線となり、青い空に直線を基調とした複雑な文字を描く

それに反し、青空に真空の穴を開けたような蒼い光 円を描き 8の字を描き踊るように大空を舞う 時折交差する、漆黒の線と真蒼の円 大空その物を破裂させそうな衝撃に

大気が震え、一拍の後に破裂音が、新岐阜城地下4階の大食堂の壁までをも震わせる


魔王ナーダの竜鱗から錬成された2刀の大太刀と神槍·蜻蛉切り

生物の動体視力では、追い切れぬ速度で繰り出される 剣戟が、他者の介入が不可能である事を物語る

「本多忠勝と言ったな、人間を辞めてまで、我の魔道に立ち塞がるのは何故だ?」

「俺は人間だ!?失礼なことを言うな!!」

「はっはっははは お前のどこが人間だというのだ、人間が我と切り結ぶなど出来るものか!!お前には、人間の物など細胞の1つも残ってなどいないぞ!」

瞬間移動で忠勝の背後に現れたナーダに、振り返ることなく蜻蛉切りの石突を背面に突き出し、ナーダの鳩尾を抉る それを意に解することなく、さらに一歩踏み込み、大太刀の

切っ先が忠勝の右肩から左脇へと袈裟斬りに走る

「俺の愛する人や仲間を守るために、お前を倒す人間だ!!」

「戯言を、お前は誰一人として守る事なく、我の手により朽ちるのだ!!」

弾かれるように距離を取る両者 互いの傷は、すでに癒え 

瞬間移動を繰り返し、雲の遥か上 強風の吹き荒ぶ、対流圏で2刀を投げ捨てたナーダが

拳を撃ち合わせ、酒呑童子から盗んだ鬼神の徒手空拳で本多忠勝に迫る

右の正拳から、上半身だけを捻り 裏拳で忠勝の後頭部を弾く

負けじと掌底を鳩尾に叩きこみ ナーダの頭が下がったところに、状態を仰け反らせ

十分な反動をつけたところでナーダの頭頂部に頭突きを落とす

まるで地表まで届きそうな“ガキンッ!!!!”という爆裂音が響き渡る

不死身を自負する両者ゆえの防御を無視した攻撃

右胸が陥没し後頭部が抉れた 忠勝 

鳩尾が抉れ 頭頂部のひしゃげた ナーダ 両者ともに一度の呼吸の後に時が戻ったように完治し、再び距離を詰める 両雄

“殴る!殴る!殴る!殴る!殴る! 蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!”

“突く!突く!突く!突く!突く! 爆ぜる!爆ぜる!爆ぜる!爆ぜる!爆ぜる!”

両者の壮絶な殴り合いが中間圏を突き抜け 熱圏まで達する 大気との摩擦で両腕·両足ともに“ぶすぶすっ”と高熱を帯び 竜鱗が焦げ落ち 表皮から焦げた匂いが立ち込める


ナーダの頭部を両腕で挟み込み、顔面の中央に膝蹴りを叩き込む 忠勝

“ぐしゃっ”とナーダの顔面が陥没する それにも構わず ひしゃげた唇を開き 至近距離から魔王の息吹を忠勝の腹に向け放つ 漆黒の炎に包まれ成層圏を降下していく忠勝


そしてナーダが高く右腕を上げ、振り下ろす 外気圏で密かに集めていた細かな隕石を

大気圏へと突入させる 「お前の仲間の術だ【魔導·隕石落下(メテオ·ストライク)】」

細かな粒となった隕石が、まるで磁石のように忠勝に引き寄せられていく 

新岐阜城の上空80km 本多忠勝を閉じ込めた隕石が次第に質量を増していく

瞬間移動で隕石の前に現れると、全身の筋肉を引き絞り 地上へ向け隕石を蹴り飛ばし

さらなる加速を与える 轟音を上げ大気を切り裂き落下していく直径50mを超えた隕石

それから数度 瞬間移動を使い隕石を加速させ、細かな侵入角を調整していく ナーダ

「この程度の衝撃で、お前は殺せぬだろうが、お前の手で仲間達を殺す事になるのだ」

口角を上げ ニタリッと笑う ナーダ

新岐阜城の上空 忠勝を閉じ込めた隕石が流れ星となり陽光を受け 鈍く光る





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