忠勝対ナーダ
«いつまでやっているのだ? 大天狗が接吻を交わすところを見る事になるとは、その鼻は邪魔ではないのか?まぁよい魔王は尊天に任せて、いったん降りるぞ傷を治してやる»
「旦那様 すぐに加勢に戻ります」
「いや 下で観ていて下さい お腹の子の為にも。。。」
腫れ物に触れるように エヴァの下腹を大きな手で包み込む 本多忠勝
「古龍様 妻を頼みます」
初めて妻と呼ばれて 頬を赤く染めるエヴァと、初めて妻と口にして赤らむ忠勝
«お前達、緊張感に欠けるのう あ奴はまだ、すべてをさらけ出してはおらんぞ
気を引き締めて掛かれ»
「承知しました お任せ下さい」
新岐阜城 地上階
負傷した足を庇うように、そっと着地するエヴァ
「天女様!すぐに治療しますね!」
エヴァに駆け寄り、手を翳す おりん
「みんな。。。無事で良かった。。。」
「天女様も、よくご無事で。。。」
「エヴァ!大丈夫か? エヴァ1人にナーダを任せてすまなかった」
おりんの後ろから、傷の様子を覗き込む ブルート
「私は大丈夫です みんなも無事なようで良かったです。。。ルイ 助けられなくてごめんなさい」
「何を言っているんだ 俺も先走ってごめん エヴァが居なければ、ここも無事ではなかったよ」
神妙な顔つきで頭を下げる ルイ
「よくみんなで、ここを守ってくれました 忠勝殿が、戦っている間に魔力を回復させましょう お腹が空きました 大食堂ヘ降りませんか?」
ふわりっとエヴァを抱き上げる ルイ
「軽いな。。。エヴァ こんなに小さな体で、ナーダと戦っていたんだな 草薙剣まで抜いて。。。俺達は、エヴァに何をしてあげられるんだ?」
「気にしないでルイ もちろん私も死にたくはありませんが。。。せめてこのお腹の子が産まれるまでは、生きていたいです でも自分で決めた事ですから、みんなが助かるのなら天命だと諦めるよりありませんね」
「「「「「「「「天女様!!!!」」」」」」」」
堪えていた涙が溢れ出し、一斉にエヴァに縋りよる天武の子供達
子供達の頭を1人1人撫ぜながら、優しい笑みを浮かべる エヴァ
「もしも もしもこのお腹の子が、産まれることが出来たなら 貴方達のような人を思いやれる子供に育って欲しいです」
「天女様の子です 誰よりも優しい子供に育つに決まっています!」
「そうですよ! 僕が毎日遊んであげますし、勉強も教えます!!」
「満腹丸 勉強は僕が教えるよ 君ではちょっと心配だからな」
久方ぶりにみんなの顔に笑みが浮かぶ
全員で大食堂へと続く階段を降り 重い扉を開ける
「「「「「「おおぉぉ〜〜〜天女様〜〜〜!!!」」」」」」
「「「「「「「「天女様〜〜〜!!!ありがとうございます!!!」」」」」」」」
割れんばかりの歓声に包まれる 大食堂
ルイに頼んで、降ろしてもらうと 羽衣の汚れを“ぱんぱんっ”と叩き 襟を正す
「みなさん ご心配をお掛けしました 魔王を名乗る、あのナーダは想像を絶するほどに強大でしたが、きっと私の夫である本多忠勝が倒してくれると信じています」
「天女殿 あの蒼い大天狗が、本当に本多忠勝なのか?」
「はいお館様、三位一体尊天の加護を授かり、魔王殿から戻られた 私の旦那様です」
武田信玄とエヴァの間に割って入る 上杉謙信
「お〜〜!あれが、誠に忠勝殿なのだな!!尊天を授かると大天狗になるのか。。。
そこはかとなく毘沙門天の波動を感じるのう 後で我が旗印に一筆入れてもらえぬだろうか? 我が友·上杉謙信殿へなどと入れて」
まるで子供のようにキラキラした瞳で壁面を見つめる 謙信
大嶽丸二刀流剣技で本多忠勝の蜻蛉切りと切り結ぶ
刃と刃がぶつかり合うたびに、新岐阜城の上空に雷が落ちたような 轟が鳴り響く
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