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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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エヴァと忠勝2

「はい もう決して貴女と離れません えっ!?」

エヴァの右手にある草薙剣に視線が釘付けとなる 本多忠勝

「あっ!。。。抜いてしまいました。。。」

「なぜっ!? それを抜いてしまっては、あの魔王を倒しても、貴女は生贄に。。。」

「そうですね、ごめんなさい でもこれが無ければ、今頃、私も含め全員の命はありませんでしたから 本当にごめんなさい お腹に貴方との子供も居るのに。。。

でも最後に旦那様に会えて本当に良かった」

無理矢理、はにかんだ笑顔を向ける エヴァ

「子供。。。。?? えっええええええええええええぇぇぇぇぇ〜〜〜!!!???

この俺に。。。子供。。。」

指を折り、数を数えだす 忠勝

「旦那様? それは何を数えているのですか?」

「いえ 夢屋で初めて結ばれてから。。。その。。。営んだ回数を。。。」

「そんなものを数えてどうするのですか!?」

「いや〜どこで授かったのかと 何れにしろ女の子で間違いありません!!」

「あら!?なぜ解るのですか?」

「夢屋で夢を見ました 草原を天女様にそっくりな幼子を馬に乗せて共に歩く夢を。。。

一生忘れることの無い、幸せな夢でした」

「旦那様。。。私も同じ夢を先日見ました!!三方ヶ原の草原のようでした」

「貴女もお腹の子供も絶対に死なせるわけにはいきません!なんの為に死ぬような思いでここに戻ってきたのか」

«久々の再開に水を指すようで悪いのだがな、我との約定は必ず守ってもらうぞ

それととんでもない攻撃が来るぞ!我の贄となる 天女に死んでもらっては困るのでな

忠勝!お前が、あの魔王を倒すのだ 我はお前の伴侶と子を守ってやる»

「私の妻を生贄に捧げる事は了承できませぬが、古龍様!妻と娘をお願いします!」

そう言うと、ナーダへと振り返る 本多忠勝


「あの突然現れた 人間と天女は、この魔王を前にして、何を微笑み合っているのだ?

我を愚弄しているのか!!??死ね〜!!」

時間にして10秒もの間、じっくりと練った魔力を一息に放出する ナーダ

ナーダの顔前で凄まじい唸りを上げ、暴れる黒い球体がナーダの口から、長い尾を引きながら放たれる 


神槍·蜻蛉切りに神通力を通す 本多忠勝

眩いばかりの蒼い神威を纏い 元々大きかった忠勝の体が、肩や胸、腕の筋肉が盛り上がり、さらに大きく厚みを増す 

「なんてものを放つのだ!?この辺一体を吹き飛ばすつもりか!?」

蜻蛉切りを横に持ち、両腕を突き出す 【神威·千本桜】

蜻蛉切りが弓へと変幻し、見えない弦を引き絞る ばしゅっ!! 炸裂音とともに放たれる無数の青い光の矢が、大気を切り裂き 唸りを上げ襲い来る 黒い息吹に吸い込まれるように飛翔する 2射目、3射目と続けざまに射る 本多忠勝

黒い息吹に先頭の矢が着弾する 瞬く間に消滅する矢と、矢の触れた先から“ジュッ”と音を立て蒸発していく、黒い魔力を湛えた息吹

すべての息吹を蒸発させ、ナーダへと襲い掛かる蒼い光の矢 息吹を吐き切り、弛緩したナーダの肩を胸を腹を両腕、両足を貫いていく



「旦那様!? これほどの力を得たのですか?いったいどれだけの苦行を。。。」

«毘沙門天、千手観音、護法魔王尊。。。三位一体の加護が生み出す力とは、これほどに凄まじいのか!? この星に害をなす脅威を滅する力とは本当だったという事か!?»


「みんなが避難している所まで、退いて貰えますか? あそこだけは命に変えても守り抜きます」

背中のエヴァに首だけを巡らせ、話し掛ける 忠勝

「えっ!?仕留めたのでは無いのですか?」

「いえ おそらく奴は無傷です 黒い魔王。。。予想以上の強さです」

「わかりました 必ず生きて戻ってくださいね」

名残惜しそうに、忠勝の袖を引く エヴァ

おもむろに振り返ると、エヴァを抱きしめ 唇を重ねる 忠勝

「もちろんです もう離れないと約束しましたので」



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