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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三


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風魔小太郎

16日の期日まで2日早い、14日の昼過ぎであるが城内は、荷馬車や大八車が行き交い大変な喧騒を醸している

1万人を超える備品や糧食を蓄えるのだから当然であろう


「大きなお城ですね〜」岡崎城を見て 思わず声が漏れる 

「この国でも有数の規模です 我が殿の祖父の代から拡張を重ね 殿もここでお産まれになりました」榊原康政がエヴァに説明をする

先ほど入城し、二の丸に徳川の重臣たちと共に小休止にとお茶を頂いている

「信康様で4代目だったのですが。。。浜松へ移封を命じられるとは」本多忠勝が肩を落とす

「それは信康様は、まだお若いですから 織田との最前線となる岡崎城は危険だと判断されたのでしょう

 この戦が終われば 戻ることになると思いますよ」

「そうなると良いのですが。。。」他の重臣たちも揃って頷く

しばらくの談話の後 真田幸隆が顔を出す

「皆さん、ここまでの路程 お疲れ様でした」いずまいを正し、頭を下げる 徳川の家臣

「まだ2日ありますので、全員揃ってはいないのですが 夕方より本丸にて軍議を行います それと、こちらが本題なのですが家康公の葬儀を来月に松平家の菩提寺である 大樹寺で執り行うようにとの事です 日時は2月20日より 期間は5日間 喪主は徳川信康様 後見人として武田信玄、将軍足利義昭の連名で日の本すべての大名に報せを送るとの事です その準備を皆さんにお願いすることになります」

「えっ それは、有り難いお話なのですが。。。後見人? 連名で将軍様が??」榊原康政が口をパクパクとさせる

「ええ 信康様は、まだ13歳と言う事ですので 後見人が必要かと言う事でお館様が将軍義昭公に打診しましたところ 快く引き受けてくださいました」

「恐悦至極にございます」一斉に土下座にて礼を尽くす

「頭を上げて下さい これは皆さんの力でもあります 徳川と武田 誰も軽く見ることは出来ないという事です

 それと葬儀には、数万人が参列することになります 準備の方 抜かりなくお願いします」

真田幸隆が席を立った後も、興奮が冷めない様子で思いに耽る面々  

ふいにエヴァが口を開く「ここの名物はなんでしょう? 味噌田楽もとても気に入ったのですが」


その頃 ルイは。。。

信濃、甲斐をようやく終え 駿河に入っていた

深沢城、沼津城を終え大宮城に向かう 常に富士山を右手に見ながらの移動である

「飯にするか。。。」河原の大きめの石に腰を下ろし 空間収納から集めておいた小枝を取り出し火魔法で火をつける 海津城に向かう途中に仕留めて切り分けておいた猪の肉に串を刺し 焚き火で炙る 焼き上がるまで

暫しの休息である「こちら側から見る 富士山も綺麗だな。。。でかくて美しい」小川で魚が跳ねる

それを見もせずに【指弾】で仕留め 猪の肉に並べて焼く

「面白い技だな」不意に背後から声が掛かる 気配に気付いていたが あの距離から指弾が見えていた事に驚く

「食うか?」百姓の姿をした男に興味を持ち 猪の肉を勧めてみる

「いいのか? 美味そうな匂いに惹かれて来て正解だ」歳の頃は、ルイと変わらぬ20歳過ぎといったところだろう

子供のように笑う顔が印象的だ 猪の肉を一串差し出す さらに指弾でもう一匹の魚を仕留め 串に刺し炙る

「すごい技だな! 教えてくれないか!?」肉を齧りながら 身を乗り出し聞いてくる

「親指で小石を弾いているだけだぞ お前 名前は?」ルイが他人に興味を持つなど珍しい事である

「小太郎 風魔小太郎フウマコタロウだ お前は?」親指で小石を弾き指弾を真似てみる

「ルイだ なぜ百姓の格好をしている?」

「目立たないためだな お前もだろ?」徐々に距離を伸ばしていく小石

「お前 面白いな しかも強いだろう?」魚の串を差し出してやる

「強いけど、お前には勝てないな 逃げることもできないだろ?」魚を受け取り齧りつく

「親指を鍛えろ そして風の流れを読むんだ」強化なしで川面に撃ち込んで見せる

「美味かった! ありがとう」同じように川面に撃ち込むが手前の河原で弾かれる 悔しそうに舌打ちをして

「練習するよ」と言いながら去っていく


「風魔小太郎か 面白いやつだな」











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