本多忠勝降臨
「ありがとう幸村君。。。助かったよ。。。」
座り込み肩で息をしながら 信忠が、喘ぐように声を絞り出す
「氷壁を壊された、僕の責任です」
井伊直政が唇を噛み締め、肩を震わせる
「そんな事はないよ、誰がやってもあれだけの敵を食い止めるのは不可能だよ」
北条氏直が井伊直政の肩に手を置き慰める
「ああその通りだ 実際、俺もこれだけの規模の氷壁は維持するだけで手一杯だったからな あれだけ攻め込まれた俺達の責任だ 後は俺達に任せて天武のみんなは下へ行って
休んでくれ 本当によく戦ってくれた」
みんなの元へ歩み寄ってきたブルートが半壊した階下へ続く階段を指差す
「そんな!先生達だけを残して僕達だけが降りるなんて、絶対に駄目です 僕はまだ魔力が枯渇していません!残ります!!」
珍しく声を荒げる 井伊直政
「そうは言ってもな。。。はっきり言って、打つ手が無いんだ お前達を無駄死にさせるわけにはいかない 俺達が時間を稼いでいる間に魔力を回復させて、逃げれるなら逃げて欲しいのが本音だ」
氷の屋根にぶち当たり自爆する魏頭魔を見上げ、不安そうに呟く ルイ
「どちらにしても。。。逃げ場など。。。無い。。。回復だ。。。」
床面に大の字に横たわり、目を瞑るアラン その横にアランに倣って大の字になる千代
「幸村 この氷壁はどのくらい維持できそうだ?」
「僕の残り魔力を注ぎ続ければ30分は維持できます」
「よしみんな!魔力回復だけに時間を使うんだ!!頼んだぞ幸村」
率先してごろんっと横になる ブルート
「そう言えば、天女様はどこに?」
「ナーダと戦っています」
上空を指差す おりん
生物の頂点を自負するナーダと互角に見える攻防を続ける エヴァ
しかし両者の表情からは、余裕の笑みを浮かべ続けるナーダに対して、どこか切羽詰まった様子のエヴァ
«いったい奴の魔力は、どこから供給されているというのだ? 本当に底なしだとでも言うのか?»
ナーダの尻尾による刺突を、草薙剣の腹で受ける エヴァ
「くっ!! 古龍様の妖力も底なしですよね?」
ナーダの覇気を纏った右腕が下腹へと伸び、後ろへと飛び退きながら左手の古龍の覇気で
相殺する
«我の妖力は地精が途切れぬ限り、無限に供給されるが、それを使う天女よ お前の器が小さすぎるのだ 言ってみれば激流で小さな水車を回しているような物だな
早くは回るが、作られるエネルギーは小さく、いずれ壊れるだろう。。。»
「今それを言われましても。。。こんなに動いてお腹の子供は大丈夫なのでしょうか?」
至近距離からの魔王の息吹を、瞬歩で横にずれて交わし 距離を取る エヴァ
«大丈夫だ 我が守っているのだぞ!?お前が死なぬ限り、この子供が死ぬことはない»
距離を取り、一息ついたエヴァに、ナーダの瘴気を纏った何千枚もの竜鱗が襲いかかる
それを風刃と無数に浮かべた結界で撃ち落としていくが、竜鱗に紛れてナーダが射出した
腐食の込められた竜爪が結界を潜り抜け加速する
反応の遅れたエヴァ 草薙剣と八岐大蛇の八本の尾で数本を払い落とすが
円錐状の竜爪が、エヴァの左足の太腿を抉り、骨を砕き貫通して飛び去る
激痛に唇を噛み締める エヴァ
迫りくる竜鱗がエヴァの直前で魏頭魔へと変幻し、エヴァを囲うように自爆する
陽も上りきった空に次々と大輪の花火が咲く エヴァを包み込み守る 金色の古龍の覇気
«油断しおって!!止血と腐食の効果はなんとかするが、しばらく使い物にはならんな»
「すいません!大丈夫です!」
«上だ!避けろ!!»
魏頭魔を巻き込み、蒸発させながら 速度を重視して限界まで細く絞った魔王の息吹が
エヴァの後頭部に迫る ー「間に合わない!?」ー
その時、懐かしい匂いと、慣れ親しんだ逞しい腕に背中から包まれる
堰を切ったように溢れ出す涙と鼻水に顔をクシャクシャにする エヴァ
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