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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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神威

お話も佳境に入って参りました

今日も遅くってすいません 忙しいのです(;_;)

でも最終話まで休まず頑張ります

新岐阜城 地下4階 大食堂

「本多忠勝か。。。尊天の加護を授かると言って、出て行ってから随分と経つのう。。。もし生きているのならば、今戻らずにいつ帰ってくるというのじゃ!」

唇を噛み締めながら、映像を凝視する武田信玄が、悔しそうに独り言ちる

「お館様 天女様の話ですと本多忠勝殿は、間違いなく生きているということです

お二人で交わした契で、生きている事だけは解るので何も心配ないと仰っていました」

真田幸隆が周囲に聞こえるように、やや声を張り進言する


「おお〜!!それであれば、その契とやらで、天女様の危機を悟り戻って来るやも知れませぬな!?」


「本多忠勝殿と言うのは、どのような御仁なのでしょう?」


「元は、今は亡き徳川家康殿の家臣で、あの天女様の婚約者のようですな」


「天下無双 日の本一の槍の遣い手だと聞いておりますが」


「あの天女様の心を射止めるとは、只者ではござらんな!? 羨ましい。。。」


「本多忠勝殿か〜。。。戻って来てくださいませんか〜!」


「本多殿!戻ってきてくだされ!!」


「このままでは、みんなが死んでしまいます。。。忠勝殿〜戻って来て下さい!!」


「天女様が死んじゃうよ!? 戻って来て!!」


「「「「「「「「「本多忠勝殿!!!!」」」」」」」」」


本多忠勝を知る者も、知らぬ者も、その名を口にし始める

この窮状を覆せるのが、本多忠勝であると信じて




魔王殿から通じる天界

滾々《こんこん》と説教を聞き続ける 本多忠勝

[ん? この辺で休憩にするか。。。]

「それは、有り難いが、先ほどから、どうも尻の辺りがむずむずとするのだが?」

[水でも浴びてきたらどうだ?]

「いや、そういう事ではなく、何か落ち着かないと言うか。。。何なのだろう?」

[今のお主は、この世界では、半分が精神体だからな生理的な欲求など無い筈なのだがな?]

「今まで何の疑問も抱かずに話をしていたが、そもそもあんたは誰なんだ?声から察するに男だと思い込んでいたが、よく聞いていると女のようでもあるし。。。姿を見せることは出来ないのか?」

[私に性別などないよ この天界を統べる者でもあり、お前が生きてきた世界の監視者でもあり、毘沙門天でもあり、千手観音でもあり、護法魔王尊でもある 実体のない虚無だとも言えるのだがな。。。本多忠勝よ、時は満ちたようだ 何度も言った事だが、お前の居た世界に厄災が満ちた時 人々の救いを求める声に応える者、それが尊天の加護を授かった者だ もしお前が敗れる事があれば、お前の居た世界は終わると知れ、よいな?]

「随分と突然だが、元の世界に戻れるという事か?」

[ああ そういう事だが、お前を求める人々が居るという事は、逃げ場も無い窮地に陥っているという事だ 覚悟して戻るのだぞ]

「やっと。。。天女様に、我が妻に会えるのだな。。。」

突然告げられた幸運にもんどりを打って喜びを表したい気持ちをぐっと堪える

[どうもお前には、一抹の不安が拭えぬのだが。。。まあ致し方ない 後にも先にも

尊天の加護を授けられたのは、お前ただ一人なのだからな これを返すぞ]

天を見上げながら話していた忠勝の右手に愛槍【蜻蛉切り】がいつの間にか握られている

それをまじまじと見つめる 本多忠勝

「久し振りだからなのか?神々しく感じるのだが?」

[お前と共にその槍もここで修行をしていたという事だ 神槍【蜻蛉切り】だ

その槍にお前の神通力を通してみよ]

言われた通りに蜻蛉切りを両手で持ち 神通力を通すと巨大な穂先が蒼白く光り

血管のような幾何学模様が浮き上がり 蒼く脈打つ

と同時に忠勝の山伏の衣装が湧き上がる覇気に捲れ上がり 肩まで伸び切った髪が逆立つ

袖から突き出した 上腕を見ると皮膚までが蒼く光り、どくどくっと血管が脈打つ

「俺は、青鬼になったのか!?」

[よく見てみろ!その鼻が見えるだろう!!]

目を寄せるまでもなく、自分の顔の中心から突き出した蒼い鼻が確認できる

「邪魔なんだが。。。天狗になったという事か。。。? それにあれほど長い蜻蛉切りが、随分と短く感じるのは、俺が大きくなっているという事か!?」

[大天狗だ! そして蒼い光は、お前の神威だ その槍に神通力を通した時だけ、その姿となり神威を使う事が出来るというわけだ]

「長い間お世話になりました この御恩は民を仲間を救い返したいと思います」

片膝をつき 頭を垂れる 本多忠勝



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