表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
314/519

鬼神の徒手空拳

吹き上がる血の飛沫を、鬼神の覇気で抑えつけ 右腕にさらに力を込め 尻尾を握る

“ルイ!あれを出してくれ!古龍様の首だ!!”

「ああ!わかった!!」

八岐大蛇から、酒呑童子へと託された思い描いた武器に変幻するという 槍を空間収納から取り出す 元々は、8頭のうちの1つの頭を食いちぎり酒呑童子に与えたものだが

八岐大蛇の頭は、すでに再生している

その槍を左手に握ると、大鎌へと変幻させ 右腕の尻尾を引き寄せると大鎌の刃を立て

刈り取る!

“わしの攻撃をことごとく弾きおって!こいつが厄介だったんだ!!”

中ほどで切断した尻尾を投げ捨てる ルイ


「おい!もう再生しているぞ!!」

“なにっ!?”

ルイの額をめがけて、尻尾の先で刺突を繰り出す ナーダ

かろうじて大盾に変幻させ弾くが、貫通した穴からナーダと目が合う

“古龍様の盾を貫通するか!!?? 再生速度といい、デタラメが過ぎるじゃろう!?”


気の遠くなるような、悠久の時を生き大蛇から、龍そして古龍へと昇華した 

八岐大蛇の武具を傷つける存在。。。

ルイである、酒呑童子の額を一筋の汗が伝い落ちる

“古龍様を傷つける事の出来る生き物が、この世にいると言うのか!?”

大盾を両肘、両膝までを包み込む、漆黒の手甲、足甲に変幻させ 

両拳を胸の前で“ガッシンッ!!”と打ち鳴らす


“ルイよ!鬼神の徒手空拳法を見せてやる 刮目せよ!!”

両足を大きく開き、左半身をナーダへ向け、突き出した拳から“めらめら”と鬼神の覇気が

燃えたぎる

“押して参る!!”

縮地術で一息に間合いを詰め、流れるような体捌きから鋭く重い拳が、速くしなやかな蹴りが、間断なくナーダへと襲い掛かる そのすべてを、異常なまでの尻尾の反応速度で弾き交わしていたが、さらに手数を増した鬼神の連撃に、この日初めて防御のために両手を使うことになる ナーダ

「ほうっ 貴様らの種族に近い身体で戦うのは、思いのほか気持ちの良いものだな

これほどまでに効率よく手足が動かせるというのは、狩猟に優れた設計ということなのだろうな? 実に興味深い。。。」

数多の攻撃をすべて受け流していた ナーダが、ルイの見よう見真似で拳を突き出す

左の肘の手甲部分で、その拳を弾き その勢いのまま反転しながら裏拳を放つ

ナーダの鼻先をかすめ、纏っていた瘴気が霧散する


「実に楽しいぞ! これだけでも、この身体を手に入れた甲斐があったというものだな」

“化け物め!!わしの拳法の真髄を味わうがいい!!”

疾風怒濤!鬼神のそしてルイの本気の突きが!蹴りが! ナーダに襲い掛かる

それを四肢を尻尾を使い凌ぎ続ける ナーダ


結界に乗り、その攻防に魅入る エヴァ

おもわず「ほぅっ」とため息を漏らすほどの、ある種の美しさをはらんだ動き

鬼神と魔王との舞踏、神楽にも通じる失われた命に対する鎮魂呪術が繰り広げられる

「しかし、ルイの動きにナーダが対応してきたようですね。。。」


次第にルイの動きのわずかに先を読み始める ナーダ

拳が、蹴りがルイの体をかすめ始め、皮膚が裂け どす黒い血液が皮膚を伝う


“すまぬなルイ。。。どうやらわしの力では、この魔王には及ばぬようじゃ

古龍様に託すより、手がないかもしれんのう。。。”

ルイの反応を上回る速度で放たれる 右の正拳と尻尾による刺突

それを防いだ上腕の手甲が砕け 喉元に迫る鋭い尾の先に死を覚悟し目を見開く ルイ

瞬きの瞬間、直政の時間停止で動いたエヴァが、ナーダの尻尾を玉龍で払い上げ

鳩尾へと石突をめり込ませる たたらを踏んで後退るナーダを見る ルイ

「エヴァ。。。手を出すなといったのに。。。」

「ごめんなさいルイ あまりにも楽しそうだったので。。。つい」


ブックマーク&星で評価などして頂けると嬉しいですm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ