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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
308/519

地獄象蟻

当初の予定通り 満腹丸の呪いが解呪されている為にブルート、ルイ、アランの3人が

フォゴを全力で仕留める 

その間、残った全員でナーダとネボアを牽制する という作戦が実行されている

ただ一つ予則と異なるのが、ネボアである夜叉の損傷が予定よりも大きく フォゴが

夜叉を胸に抱きかかえながらの応戦となっている事なのだが、ブルート達が優位な

要因であるにも関わらず、ネボアが開放されたという安心感からなのか?

あるいは、腹が満たされているためなのか? フォゴにもナーダにも過信も油断も無く

すべての攻撃にことごとく、まるで子供をあしらうかの様に対応されていく


ルイの数十本の黒い太刀が、唸りを上げながら 地上に居るフォゴへと突き進む

フォゴの手前数10mで四方に膨らみ、上下左右からフォゴへと襲い掛かる

それをネボアを庇いながら、尻尾を振り翼で体を覆う事ですべてを払い落とす フォゴ


ブルートの鬼蜘蛛の糸が、フォゴを絡め取ろうと空間を支配するかのように張り巡らされる、火炎耐性の極太の糸にも関わらず 【赤き竜の覇気】1つで脆くも霧散していく


アランが【虎舞羅】と名付けた、右腕に取り付けられた 黒く光る銃身、殺生石を媒介にし、アランの魔力を電磁波に変換し指向性の魔力弾を発射する事が出来る という銃なのだが 連射も可能で操作性にも優れているのだが、魔力を直接エネルギー弾に変換するため燃費が悪く、バハムートを相手にするには、出力不足と言わざるおえなかった


「先日の戦いより、こいつら明らかに強くなっているんじゃないか?」

早くも全身を鬼化させ、酒呑童子の力を取り込んだルイが、吐き捨てる

「枷の無い、本気のバハムートと言うことだろうな。。。天武のみんなも長くは持たないぞ いったん合流するか!?」

「全員で一体づつ対応したほうが良さそうだな!」



防御力を重視した遠隔操作のエント·キングと、同じく防御力重視の織田信忠のゴーレムでナーダを2体で挟み込む形で、フォゴには近づけさせないようにと牽制し続けるが

開戦から、数発の息吹と黒き竜の覇気に耐え抜いただけで、耐久性を強化したはずの盾が

腐蝕の効果から、ボロボロに朽ちてしまっていた


井伊直政は後方で戦況を見守り 自身のスキルである【時間停止】や【時間遅延】を使用しても自身の攻撃力が乏しく、決定打を持たない自分には、逃げる以外に使い途がなく

ー『天女様が戻られるまで 魔力を温存するべきだな みんなと同じように天女様に戦場に立って欲しくはないが。。。本気を出してきたバハムート達には残念ながら

こっちの攻撃が一切通らないのだから。。。天女様に頼るしかない。。。』ー


満腹丸は以前、新岐阜城周辺を散策中に黒い甲虫を誤って踏みつけた事があった

ごりっという感触に、恐る恐る足を上げたが、その黒い甲虫は何事もなかったかのように

悠然と歩き続けていた ビシューの眼で観察したところ、この虫の名はクロカタゾウムシと言い、呆れるほどの強度を誇り、鳥さえも消化できないために手を出さないと言われるほどに硬い虫らしい この里山に無数に生息する この甲虫と強力な攻撃手段を持つ虫を

交雑して最強の虫の軍団を作ろうと企んでいた

「エント·キングとゴーレムを下げていいよ〜 僕が黒いバハムートを押さえるよ!!

【ビシュー交雑 クロカタゾウムシ+自爆アリ=地獄象蟻】出動!!」

満腹丸の足元から、わらわらっと全長30cmほどのアリの姿をした甲虫がナーダに向かい数百匹も行進する 意にも介していなかったナーダの周囲をぐるりっと囲み

ぞろぞろと脚や尻尾からよじ登り始める ようやく足元に視線を落としたナーダが

脚を上げ踏みつけるが、歩みを止めることもなくガシガシっと登り始める

その間も続々と満腹丸の足元から、産み出される 地獄象蟻

ナーダの脚を伝い、腰にまで達した数十匹がさらに上を目指す

上空へと逃れようと翼をはためかせるが、地獄象蟻の尻から粘着性の糸が排出され

その糸を下にいる蟻が咥え、糸を出す 下にいる蟻が咥え、糸を出す

上空に浮かんだ ナーダの足元から地上までを、まるで鎖の様に地獄象蟻が繋がっていく


そして満腹丸が命じる「自爆!!」




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