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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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新岐阜城 再戦

「わかりました ネボアを引き渡します ところで、あの雲は、どのような方法で消すのですか?」

全員が空を見上げる

“お前ら脆弱な人間では、あの雲は手に負えぬと言う事か。。。? 我等、兄弟ならば

即座に無効化出来るがな ちなみに教えてやるが あの雲は、腐蝕効果のある瘴気を大気よりも軽い比率で浮かばせているだけだ あと少しでも瘴気を追加してやれば重さに耐えられずに瘴気の雨となって大地に降り注ぐ、それも腐蝕の雨がな。。。

当然、その範囲内の生物はすべて死に絶える この国の生物の半数以上が腐蝕で死ぬなど我等とて本意ではないがな、文字通り瞬時に腐れ果てるので食料にもならんのだからな

あの瘴気の雲には、一定の割合の水素と酸素を送り込んでやれば、フォゴの息吹で

あっという間に燃え広がり無害化するから心配するな”


「ご丁寧にありがとうございます わずか2日の間に随分と流暢に話されるようになったのですね? なぜ岩村城を襲ったのですか?」

“お前らの言葉で、腹が減っては戦が出来ぬと言う事だよ そしてな最近気づいたのだが

人間を喰えば喰うほど、その人間の持つ能力や知識も取り込めている様だ 流暢に話せるようになったのもその為だろう”

「なるほど、貴方達は、やはりクソ野郎ですね!! ネボアを返しますので、瘴気の雲を除去して下さい!!」

球状の封印結界を解除し、手足が折り畳まれた夜叉が解放される よたよたと這うように

兄弟竜の元へと歩き始めると、ナーダが頭上に向けて息吹を放つ

すると灰色だった瘴気の雲が息吹が触れた端から、白い膜のようなものが、波を打ちながら急速に拡がっていく

そこにフォゴが火炎の息吹を吐くと、たちまちの内に円状に四方へと燃え広がって行き 

薄暗いが、わずかに陽光の残る本来の雲が顔を出す

ネボアである夜叉をくるりっと尻尾で抱え上げる フォゴ



“これでお前達との用も済んだな 我らは、これから北へ向かい ゆっくりと捕食しながら、南下する予定だ またいずれ会うこともあるだろう お前達は、餌としてだがな”

くっくっくっくっと低く笑う ナーダ


「貴方達を、このまま行かせるわけには、いきません! ここで滅んで頂きます!!」


“未だ我等との力の差が理解できぬほどの愚か者なのか!? せめてもの情けで死を先に伸ばしてやったと言うのに!?”


「この国の民を捕食すると言っている者を、行かせるわけがないです」

そんなエヴァの背後にゆっくりと近づく ブルートがエヴァの耳元に囁く

「エヴァ 少し眠っていてくれ。。。茶々!頼む!」

茶々から睡眠魔法が飛ぶ

「天女様、ごめんなさい! ベラとフロー天女様を眠りに導いて!!」


「ブルート、茶々ちゃん どういうつもりか知りませんが、私に状態異常の魔法は効きませんよ!?」

そう言う、エヴァの足元からカサカサッと極太の縄のような物が巻き登ってくる 

たちまちの内に胸元まで巻き付き、玉龍をブルートがそっと取り上げる

「エヴァ お前に一瞬だけ動きを止めるための魔法だ 本命はこっちだ! 少し休んでいてくれ」

「ビシュー【交雑 ムカデ+ヒキガエル=毒百蛙】天女様ごめんなさい 僕の新しいスキルで新しい生物を産み出し、ムカデとヒキガエルの神経毒を混ぜ合わせて強制睡眠毒を

作りました 天女様はお腹の赤ちゃんの事だけ考えてね!! おやすみなさい」

「満腹。。。丸。。。君 そんな。。。。!?」

必死に眠りに抗おうとするが ことりっと頭を垂らす エヴァ

「茶々、お千代 エント·キングを出したら エヴァを下へ連れて行ってくれ

2人ともそのまま後方支援を頼んだぞ」


「そういう訳で、お前たちをここから返すわけにはいかない 死んでくれ!!」

ルイが【幻影散棘】を放つ

“貴様らを喰らうと、どんな力が身につくのか楽しみだな!?”


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