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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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凪の時3

将軍·武田信玄の言葉に静謐な空気に包まれる大食堂

天下の将軍が、ほんの1年前に知った4人と9人の子供達に頭を下げる

それほどまでに火竜の襲来は、国を揺るがす一大事であり 

ここに居る13人に将軍が、この国の未来を託しているのだと、改めてここにいる全員に

理解させる事となる


「俺は、信じて応援するぞ!!」

「当然だ!俺もみんなを信じるぞっ!!」

「負けても死ぬだけだ!!みんなで死ぬなら怖くない!!」

「拙者も力の限り、応援させてもらうぞ どうかこの国をお願いします」

みんなが口々に思いを叫ぶ


「では、お雪ちゃん ここに居る全員に【鼓舞】をお願い出来ますか?」

「はい天女様【戦場の戦乙女ヴァルキュリアよ、ここに居るすべての命に貴方の鼓舞を与え給え!!】」

黄色い霧が天井より降り注ぎ、2000人もの人間に鼓舞の効果を与える

肉体が強化され、やる気と自信が漲り、通常の数倍の筋力を得る


「これが、天女様の側近のお雪殿の、鼓舞の力か。。。噂には聞いていたが、力が漲る」

「おおっ〜 本当じゃな!わしも無性に戦いたいぞ!!」

「この国は、それがしが守る!!竜でも鬼でも掛かってこい!!!!」

自分の両手を見つめ、自分の中に漲る力に目をみはる武士もののふ


「これが、お雪ちゃんの精霊ヴァルキュリアの鼓舞の力です 肉体の耐久力が飛躍的に上昇していますが、過信はしないで下さいね 持続時間は半日ほどですので

茶々ちゃん 即死回避は使えそうですか?」

「それが。。。天女様、ベラとフローに聞いているのですが、駄目そうなのです

みんなの気持ちが1つになっていないんですって。。。」

寂しそうに目を伏せる 茶々

「それは、仕方がないですよ これだけの人数の人間が、自分が死ぬ覚悟で何かを守りたいと気持ちが1つになどなるのは難しいでしょう 一昨日は、奇跡のようなものですね

まだ時間は有ります また後で試してみましょう それでも駄目でしたら天武のみんなにだけでもお願いしますね」

この時、エヴァ自身も気がついてはいなかったのだが、自分の命に変えても国を守りたいという覚悟が出来ていなかったのは、実はエヴァ自身であった 初めての子を身籠り

愛しい夫に会いたいという気持ちが、自分のわがままで宿った命を道連れにしてもいいのかという気持ちが、即死回避の術の妨げになっているとは思いもしない エヴァであった


「おいっ!あれを見てみろ!?」

東側の壇上に注目していた観衆が、その声で南側の壁面に向き直る

俯瞰から新岐阜城を見下ろしていた映像が、東の空へと凄まじい速度で移動を始める

誰も口には出さないが、この視覚の持ち主が何処に向かっているのか。。。

全員が固唾をのんで見守る 

わずか5分ほどで、壁面の映像が止まり 噴火ですっかり地形の変わってしまった御嶽山

だと思われる山岳が、先ほどよりも低い高度で映し出されている

マグマが噴出すると同時に凍結魔法の効果で強制的に冷え固まったために、火口付近が横方向に異様な形で盛り上がり、自然では決して作り出されないであろう、まるで巨大なキノコのような形状で鎮座している


そして全員の視線が火口付近へと釘付けになっていると、ゆっくりと赤と黒のバハムートが翼をはためかせ姿を現す 

全員の息を呑む音が聞こえた気がした。。。

「言っていた時間より、随分早いようですが。。。?」

「あれが火竜なのか。。。?あんな者とどうやって戦うと言うのだ!?」

「わしが見た、親の火竜とは随分と形が違うようじゃな?親の火竜と人間の間の子のようじゃな?」

「お館様、魔力も力も比べられないくらい強大になっています」

「親の火竜にも手を焼いていたというのに、天女殿。。。本当に大丈夫なのか?」

「心配しないで下さい、私達も比べ物にならないくらいに強くなっているのですよ」

「そうじゃったな みなを信じると言ったばかりなのに すまぬ」



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