表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
30/513

井伊直政

後の徳川四天王の一人

井伊直政は、この時は、まだ12,3歳なのです

今後の活躍が楽しみです

「もちろん皆さんと共に戦う覚悟ですが 7日後迄に揃えられる兵数ですと 500が限界かと。。。」井伊谷城.城主井伊直虎

唯一の女城主であるが、徳川家への忠誠心が極めて高い

「その覚悟だけで十分です 今回は挨拶代わりに近隣の織田方の城を襲う算段です 敵もこれほど早く動くと思っておりませんでしょうから」

「主力は、ここに居る武田軍5000が当たります 井伊殿のところからは、150兵を2部隊で300人を日時までに岡崎城に

お願いします その後は随時増援を繰り返しながら岐阜を目指します」酒井忠次と真田幸隆が答える

しばしの沈黙。。。


「あの。。。噂で聞いたのですが。。。」

「はぁ。。。?」

「武田軍に先の戦の折に天女様が御降臨されたとか。。。

 しかも すべての負傷者を治療されたと これは、誠の話でしょうか?」切実な様子で聞いてくる 井伊直虎

「。。。それは。。。」酒井忠次をチラチラッと伺う 幸隆

『口止めはされていないが、言ってもいいものか?』

それを察したのか 酒井忠次が話を引き継ぐ

「事実です 武田も徳川も負傷者は、全て治療して頂きました

 それだけでなく古傷に苦しむ者、持病を持つ者まで全てが完治しております」幸隆を見て軽く頷く

「それは誠なのですね! 実は私の先代 井伊直親の嫡男 井伊直政を、私が養子として育てております 今年で13歳になるのですが 先月より原因不明の熱が続きまして ここ3日ほどは

何も食べることもできずに。。。」最後は嗚咽で聞き取ることもできない

「それはなんとも。。。直政殿は、今は井伊谷城に?」

「いえ 最後の望みと。。。実は連れてきております

 何卒、天女様にお目通りを」直虎が頭を下げて懇願する

「聞いてまいります しばらくお待ち下さい」真田幸隆が腰を上げ、奥の間へと消える


「お館様、天女様にお話がございます」許しを待って 襖を開ける 幸隆

「聞こえていましたよ」聴覚を強化して面談の様子を盗み聞きしており その成り行きを随時 信玄と話し合っていた

「皆さんの意志を確認してから、私の存在を知って頂こうかと考えていたのですが。。。まぁ 良いでしょう

 では その子供を大広間に運んで頂けますか?」


ざわつく広間内

中央に布団がひかれ、井伊直虎の養子である井伊直政が寝かされる 高熱のためか意識があるのかも定かではない

奥の間の襖が開き 侍医である永田徳本が直政のもとに歩み寄る

脈をとり、直政の鼻先に耳を近付け、胸元を開き手を当てる

「脈も弱く、呼吸も浅い これまでの治療では、薬を処方し

様子を見るよりなく 助かるかどうかは5分5分といったところかの。。。」

そう言い 周りを見渡す徳本

横たわる幼い直政を、心配そうに覗き込む人垣ができる

傍らに座り込む直虎に徳本が向き直り、声を掛ける

「直政殿は運が良い」そう言い 開け放たれた奥の間を見る

一人の巫女が大広間へと足を踏み入れる

ひと目で目を奪われ、その視線を引き剥がす事が難しいほどの

美しさと威厳を備えた存在 その場に居たもの、全てが息を呑む

「天女様。。。」井伊直虎が吐息とともに声を洩らす

エヴァと直政までの人垣が割れ 緋袴の緋色が残像を残しながら

直政へと進む 直政の横に立ち 杖を胸の前で浮かせる

【命の鼓動よ 巡れ この者に命の息吹を】

杖から黃色に輝く粒子が放射状に直政へと降り注ぐ

優しく 暖かく 慈愛に満ちた光 見るものは息をすることも忘れ、瞬きする間も惜しむように じっとその光景を見つめる

慈しむように 祈るように ゆっくりと時が流れる

水の中から酸素を求めて顔を出した時のように 数人が慌てて息を吸い込む 直政の速く浅かった胸の動きが ゆっくりと深い

動きへと変っていく

「もう大丈夫です 食道から肺まで酷く爛れていました

 これでは、食べ物も喉を通らなかったことでしょう」

「天女様〜 ありがとうございます」直虎が涙で顔をくしゃくしゃにしながらエヴァの足に縋り付く

「貴方も熱があるようですね 流行り病の類いかも知れません

 この子供に接触した者たち全てを、この広間に集めてくださいますか もちろん皆さんもそのままで」

直政を運び入れた 従者達も広間に集まる

エヴァが杖を翳す 【慈愛に満ちたる天の光 天使の息吹となり 傷つき病む者すべてを癒やし給え 天光治癒】

大広間の隅々までを暖かく優しい光が包む


「おぉっ何なのだこれは?」「天女様。。。ありがたや」

「わしの腰の痛みが。。。嘘のように消えておる」

「力が漲ってくる まだまだ戦えるぞ!!」 

戦意を沸き立たせる者 涙を流し拝む者 この場に居る者たち

すべてが天女の奇跡に触れ 魅了されていく


軽く拳を握り込む エヴァ。。。。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 何年か前に井伊谷行った。とてもいいとこだったよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ