表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
3/462

エヴァ

読んでくださる方がいたら 嬉しいです

「裸!? 女!!??。。。。。エヴァ!!!???」

強化された聴力で男たちのざわめきを確かに聞いたが

周りを見渡しても 戦場が広がるばかりである

「いったい どれだけの人数が戦っているんだ? 数万??」

上級冒険者になり、指名依頼などで紛争にも参戦したことがあるが

この戦場の兵数は、ルイの知る戦場の数倍の規模である



「貴様ら!! その女に近づくでない」

『なぜこのような所に女が? それにしても美しい 辱めを受けた様子でもないな?』

腰まで伸びた黒髪に、透き通るような裸身 どこを見ても汚れた箇所が無いところから

ここまで歩いてきたわけでなく まるでこの平原に丁寧に置かれたような印象だ

男は馬から降り 女に近づくと自分の赤い羽織を脱ぎ、そっと掛ける

「おいっ 女! 起きろ!!」

目を覚ます様子もない 軽く揺すってみる

『ここに捨置くわけにもいかんな 我が陣まで連れて行くか』女を軽々と抱き上げる

「おいっ そこの者、すまぬが我が陣まで護衛を頼む」

3人の男らが、女を抱えた鎧武者に背を向け囲み 槍を構え周囲を睨む


なんの気配も前触れもなく一人の男が行くてを阻む 

咄嗟に槍を構える3人だが 見た目には10代の小僧だが、敵将の首級を持ち 軍旗を襷掛けにし 

武田菱の入った手拭いを目にすると 自然と力が緩む

「俺はルイという その女は、俺の知り合いだと思う 確認させてもらえるか?」

「おっお前 山県様に対して、何という口の聞き方!!」

「よい! こちらへ参れ」

ルイは、その場に槍を置くと 山県と呼ばれた鎧武者まで歩をすすめる

「間違いない エヴァ! 良かった無事で。。。 助けてくれたようだな ありがとう」

深めに頭を下げる

「ふむ 怪我などしている様子も無いが 目を覚まさぬ 我が陣まで連れて行くところだったのだが

知り合いであれば お主に預けてよいか?」

羽織を掛けているとはいえ、ほぼ全裸の女である、誰彼かまわず預けるわけにもいかない

「いや すまない 裸のエヴァを抱くとか。。。あとで殺されかねない 悪いがその陣までお願いできないだろうか? ベヒーモスとの戦いで魔力が枯渇しているだけなので まもなく目を覚ますと思う」

「ベヒーモス? 魔力? いったいお主らは、何者だ? 忍びか??」

「いや 俺たちは、この国の者ではない マリアガ王国の冒険者なのだが。。。」

「マリアガ? 冒険者??。。。。まあ良い 詳しくはあとで聞くとしよう お主も護衛を頼む」

「もちろんだ 任せてくれ! 黒組は絶対に近づけさせん!!」

「黒組?ははははっ なるほど徳川は黒組か するとこちらは、赤組だな 面白い小僧だ

 急ぐぞ この戦もまもなく終わる 徳川の首級を挙げるぞ」


ルイを先頭に、やや小高くなった丘に張られた陣を目指す

相変わらずの乱戦模様だが、こちらの赤組が押しているのは一目瞭然である

左手から黒い甲冑 黒地に金の刺繍のはいった陣羽織を纏った武者が芦毛の馬に跨り駆けてくる

「拙者は青木貞治 山県昌景殿とお見受けする 二俣城の恨みここゴフッ」

5メートル以上離れた所からの口上であったが、山県へ槍が向いた瞬間に

ルイの縮地術から首への一突きで、青木貞治は絶命した

「おいっ 見えたか?」 「いや。。。まったく」 3人の護衛が囁き合う

「最後まで言わせてやれ。。。やはり忍びか?」

「あんたに槍を向けたからな、敵だろ? こいつも首級を持っていけばいいのか?」

「ああ2つ目の大将首だな 青木殿も二俣城に続いて不憫な事よ」


陣まで無事たどり着き、エヴァを茣蓙ゴザの上にそっと降ろす その所作からも山県の人柄が伺え

ルイは、山県に対し そっと頭を垂れる

「この女になにか着物を けして手を出すことは許さん わしが戻るまで守り抜け」従者に命じる

「ルイと申したな その首級は、首級改め(しるしあらため)まで そこの台に置いておけ」

首級がいくつか並んだ台の上に、2つの首級を並べる 軍監が近づいてきて2つの首級を見る

「ほー、これは青木貞治殿 二俣城に続き災難な事で こちらは、おそらく織田家の若武者 

平手汎秀 信長の悔しがる顔が目に浮かびますな」ルイの顔を見る

「貴方が倒したのですね? お手柄ですね 正式に召抱えて頂けるかもしれませんね」

右も左もわからぬ国だ 自分とエヴァの当面の食い扶持くらいは稼がねば


山県昌景が、その場に居る家来に向かい吠える

「この戦 武田の圧倒的勝利は揺るがぬ 敵は間もなく敗走にはいるであろう

 ねずみ一匹逃さぬ 殲滅じゃ!!!!」

それまで、どこか柔和だった山県の顔が鬼の形相に変わる

「山県。。。。様! 俺にできる事なら 何でも言ってくれ」

「よかろう ルイよ エヴァ殿の事は、この者たちに任せておけば安心だ 

 ここは敵の本陣に最も近い 徳川の首級を挙げるぞ!! 」














青木貞治 

数日前、二俣城を奪われ 浜松城に逃げ帰っていた

その雪辱を晴らそうと 三方ヶ原に臨んでいたようです


ちょっと続きを読んでもいいかな〜と思っていただけた方

ブックマーク&星で評価などして頂けると嬉しいですm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
武田方になるのか まあ、どっちについてもありきたり
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ