決戦の日
一般の兵士にとっての0,3秒という時間は、まさに瞬きほどの時間であるが
エヴァ達のような人間の理を遥かに超越した存在にとっては、10m以上の距離を詰め
命を狩る一撃を繰り出すのに十分な時間だという事になる
「そう考えると直政の時間停止は最強のスキルだよな 時の精霊ハロルか羨ましい」
「ルイ、お前の大地の精霊グラマドだって、みんなの羨望の的だったんだぞ 縮地術で
地中を潜行出来るなんてルイだけだったからな」
「こっちの世界にまでは付いて来てくれなかったからな。。。スキルも半減だろ?」
「その代わり、こっちには濃厚な魔力が溢れているからな 出来る事も随分と増えたし
ある物で戦うよりないな」
「そろそろ。。。みんなの所に。。。行こうか。。。」
「エヴァ 懐妊の事は、みんなにも言うのか?」
「そうですね。。。?どうしましょう!?なんだか恥ずかしいですね。。。」
「みんなも喜んで祝ってくれると思うぞ 暗い話題ばかりだからな エヴァさえ良ければ明るい話題を提供したらどうだろう?」
新岐阜城 地下3階 大食堂
「みんな〜 今からエヴァが、みんなに話があるそうなので、聞いてくれ!」
壇上に立ち、声を張り上げる ルイ
「ルイ。。。壇上に上がらなくても良いと思うのですが。。。」
小声でルイに耳打ちをするエヴァ
「何を言っているんだ!懐妊の報告なんか一生に一度かもしれないんだぞ!!」
「まぁ確かにそうかも知れませんが。。。」
何やら不穏な雰囲気に、固唾をのんで見守る 500数10名
「あの。。。その。。。私事なのですが。。。$%#@&*しました」
最後があまりにも小声な為に聞き取れない
「「「「「「「「天女様〜聞こえません〜〜〜!!」」」」」」」」
「あっすいません。。。あの私。。。妊娠しました。。。」
「「「「「「「「「。。。。。。。。。。。。。。」」」」」」」」」
「「「「「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」
しばらくの静寂のあと割れんばかりの喝采に包まれる、大食堂
「「「「「「「「「天女様おめでとうございます!!!」」」」」」」」」
「「「「「「「「「俺の天女様が〜おのれ本多忠勝め〜〜〜〜!!!」」」」」」」」」
「「「「「「「「「絶対に火竜を倒すぞ!!!!」」」」」」」」」
「「「「「明日は、天女様は後方で見ていて下さい 僕達が火竜を倒します!!」」」」
「「「「「「「やばい!嬉しくって涙が。。。」」」」」」」
「「「「「「「天女様の子供を見るまでは、絶対に死ねないな!!」」」」」」」
「なっ!!エヴァみんな喜んでくれるだろう」
「そうですね 言って良かったです」
「ああ みんなも戦う理由がまた増えたな 絶対に勝とうな!」
「エヴァ。。。本当に。。。おめでとう。。。」
滂沱の涙で顔をくしゃくしゃにする アラン
「アラン ありがとうございます その右手、不便ではないですか?」
その後、大食堂にて明日の戦いの段取りが説明され
魔力の回復に努めるため、もしかしたらこの国で最後になるかもしれない
静かな夜を迎える
明日の事を考え、不安で眠れない者も居たかもしれない
あまりの恐怖に、逃げ出したい者も居たかもしれないが
エヴァの懐妊の報せを聞き、勇気を与えられた者、改めてこの国を守るために奮起する者
それぞれの夜が過ぎていく
翌朝は、灰色の雲に覆われ薄暗い屋外で、補強された床面の確認に出ていた ブルート
魔力の温存の為に魔法的な補強を控え 羽柴組の手による補強が今も続けられている
「羽柴殿、このくらいで十分だと思います 本当にご苦労さまでした」
「ブルート殿、わし等に出来る最高の仕事をしました!必ずこの城を守りましょう!!」
「もちろんです 誰一人死なせずに明日を迎えましょう」
北の地から、近づいてくる数騎の馬影が見える
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