エヴァの決意
前々話で、“2日後に御嶽山で待つ”というナーダのセリフですが
“2日後に新岐阜城にネボアを迎えに来る”に変更しました
ご了承下さい
翌早朝の秋山虎繁が居城·岩村城の物見櫓から 西の空を見上げていた兵が
雲の更に下を流れてくる 暗い灰色の切れ目の無い巨大な雲に気づく
西の空からゆっくりと空を覆い尽くし ここ岩村城に迫っていた
「おい!あれを見てみろ!!」
背後で東の方角を監視している兵に声を掛ける
「何があった!? なんとも気味の悪い雲だな。。。あれは本当に雲なのか?」
「どんな些細なことでも報せるように言われているからな ちょっと行ってくるから見ておいてくれ」
そう言うと滑るように物見櫓を降りていく
しばらく待っていると、家老と共に櫓を登ってくる秋山虎繁
「おはようございます 殿、自ら来て頂く事では無いと思うのですが。。。
あの雲のようなものなのですが、ゆっくりとこちらへ流れていまして、まもなく上空を
覆い尽くすと思われます」
「ああご苦労 ちょっと気になる事があってな 昨夜だが岐阜城の天女様から文が届いたのだが、2日後に訪れるかもしれない厄災とは、これの事かもしれんな。。。
出来るだけ遠くへ逃げろと言う事だが、北なら伊達、最上 南なら毛利の領内までって事だ、お主ら逃げたければ逃げて良いぞ」
「実は、さきほどあの雲に入っていった渡り鳥の群れが、ボトボトと落ちていきました
どうにも嫌な予感がするのですが、殿は逃げぬのですか?」
「どこに逃げようが天女様達でも、どうにもならん相手であれば、どこにも逃げ場など無いだろうな。。。わしは、死ぬならここが良いな」
「我々も同じに御座います」
新岐阜城 天女御殿
「エヴァ 朝からひっきりなしに伝書鳩が、到着してるんだけどな」
「文は無事に届いたということですね 皆さん無事に避難してくれているのでしょうか? 中心地である新岐阜城から近い大垣城の皆さんは、2日で圏外まで出れるのかが心配です。。。」
「いや ほとんどの領主が避難は必要ないと言ってきているぞ それどころか陣中見舞いと称して、ここに向かっているようだ」
頭を掻きながら、心底困ったという表情のルイ
「それは予想外でした。。。ここの地下でしたら、何人来ても収容は出来ますが。。。」
「エヴァ、ルイ きっとみんな俺たちが負けたら、どこに居ても助からないと思っているんだろうな いや俺たちが負けるとは思っていないのかもしれない
絶対に負けれない戦いという事だな」
「もちろん負ける気はありませんが、昨日の戦い方では、勝てる見込みがありません
魔力の総量が違いすぎます それと瘴気の雲にも対応しなければなりません」
「風魔法で、拡散できないものだろうか?」
「ブルートそれは、私も考えていました あと1日で出来る事を考えてみましょう
それとルイ、草薙剣を返して下さい」
「エヴァ 何度も言うけど、これは使わせられない たとえ勝ててもエヴァが居なくなるのが解っていて使わせる訳がないだろう!」
「ルイ、そう言ってくれるのは嬉しいのですが、数百万人の命が掛かっているのですよ? 私の命一つで救えるのなら安いものではないですか?」
「絶対に駄目だ!そんな考え方に納得する事は出来ないぞ!!」
「今は、草薙剣の八岐大蛇と話がしたいだけです 出して下さい」
強固な意思を込めた眼で、ルイを見つめる エヴァ
「話す?そんな事が出来るのか?」
「ルイ 貴方は、酒呑童子と話が出来るのですよね? 酒呑童子を通じて話が出来るのでは?」
「なるほど、それなら出来そうだな その代わり 話を終えたらすぐに返すんだぞ」
「いいでしょう 約束します」
ルイが、空間収納から草薙剣を取り出し 畳の上にそっと置く
「久しぶりに見たが、相変わらずでたらめな魔力量だな。。。こんな小さな刀身のどこにこれだけの魔力量を込めているんだ!?」
「ではルイ、早速お願いします 酒呑童子を呼び出してください」
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