瘴気の雲2
その場にへたり込み、飛び立ったフォゴとナーダを見送る
エヴァ、ブルート、ルイ
「ここから東西南北に500kmと言うと、南北は越中、駿河のすべて。。。東西が武蔵国、摂津国の先までか。。。この国の中心地全てという事だな」
虚ろな目で空を見上げ、雲を睨む ブルート
「その地域のすべての領主に範囲外へ避難をするように伝えなければなりませんね
ルイお願いできますか?」
玉龍に縋るように立ち上がるエヴァ
「ああ 任せておけ それはそうと、ネボアはどこに捕らえているんだ?」
「えっ!? ネボアでしたら満腹丸君のお腹の中ですよ」
「満腹丸。。。どんどん人間から離れていくな。。。そんなの食べて大丈夫なのか?」
「今は、繭の中でネボアを消化しているそうです 数日は掛かると思いますが
なぜ2日なのでしょう? たんにこの瘴気の雲の成長に必要な時間なのか、それとも彼等も魔力に不安があったのか?」
「どちらにせよ、今のままでは、あのバハムート達に勝てる道筋が見えない まずは
出来る事をしよう」
「そうですね、まずは全員が魔力を回復しなければ、何も出来ませんね」
瘴気の雲を避けるように、低空を音速に近い速度で急降下してくる 隼
ルイの頭上で翼を広げ滞空すると、ルイの差し出した腕に停まる
「そう言えば、お前に名を付ける約束がまだだったな。。。う〜ん。。。」
「“サンダー”はどうでしょう?」
「ギルド長の名前じゃないか!?ハッハッハいいな、それにしよう 今日からお前は
“サンダー”だからな すまないが、今日は働いてもらうぞ」
クゥ〜ンと鼻先をルイに擦り寄せる サンダー
沈痛な面持ちで、魔力切れで倒れていた井伊直政をルイが抱き上げ練兵場へと降りていく
「天女様〜みんな〜!!無事だったのですね!?茶々達も頑張ったんですが。。。
ドームを壊されてごめんなさい」
「謝らないで下さい 貴方達みんな、本当に頑張ってくれました 心から貴方達を誇りに思いますよ 本当にありがとう」
天武の子供達を抱き寄せる エヴァ
緊張の糸が切れたのか、その場に座り込み涙ぐむ 天武の面々
「天女様、おかえりなさいご無事で何よりです 直政君は大丈夫ですか?」
おりんが駆け寄ってくる
「魔力切れで気を失っただけです しばらくしたら気がつくでしょう」
ことの成り行きを、事細かに説明をする エヴァ
全員が真剣に耳を傾け、重たい空気が練兵場を支配する
「お玉様が言われていたように、あの竜バハムートは規格外の魔獣だったのですね
まずは、みなさんの魔力を回復させなければ、何も出来ませんね 手が空いている人達で食事の支度をしますね」
努めて気丈に振る舞う お雪
「わしら羽柴組は、地上の補修に取り掛かります! 2日もあれば、これまで以上に
丈夫な床面に仕上げてみせましょう!!」
「そうですね 私達が今出来る事は、魔力を回復回復させることですね 羽柴組のみなさんお願いします ところで満腹丸君の様子はどうですか?」
「お兄ちゃん、繭の中に籠もって話しかけても返事もしてくれないのですが
ベラもフロー大丈夫だって言ってくれているから 大丈夫です!
でも。。。もしネボアを返したら、お兄ちゃんが呪いで死んじゃう?」
「茶々ちゃん、大丈夫です満腹丸君は絶対に死なせませんよ」
春日山城 上杉謙信居室
「お館様、天女様から文が届いております」
「ほう、寄こせ」
隼の足に結ばれていた小さな文を広げ、目を落とす
「2日後に火竜共との決戦があり、この地まで被害が及ぶ可能性があるので2日以内に
北方へと出来るだけ遠く逃げろだと。。。伊達家、最上家にも話を通してあるので
出来るだけ多くの領民を連れて行けと言う事だ」
「そのような小さな紙にそれほどの報せが書かれているのですか?」
紙片を覗き込むが、小さな点々が羅列されているだけである
「うん? なぜ読めるんだ? まぁそれは良い、火竜共との戦い見逃すわけにはいかんな! ありったけの米と酒を持て! 陣中見舞いだ!!」
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