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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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北条氏直の意地

氷の砦に背中を預ける形のエント·キングを、絶対零度の氷壁が“パキッパキッパキッ!”

と侵食していく わずかな時間で盾を全面に押し出したエント·キングが氷の砦と一体となり その内部では、エント·キングの背面の装甲のみを解除し 

信勝が、氏直を引っ張り出していた 

「氏直君!大丈夫かい?」

「ああ 2体の相手は無理みたいだ でも1対1なら十分戦えるよ 

信勝君達のエント·キングは!誇ってもいいと思うよ」

「ありがとう 氏直君も含めて、僕達のエント·キングだよ」

「でも、これで打つ手が無くなりましたね この砦で籠城するよりありませんが

魔力もいよいよ底をつきました。。。」


雷撃を放っていたナーダが、絶対零度の氷壁に対し雷撃が拡散されてしまい、それほどの効果が無いと 一歩下がり フォゴに視線をやる

フォゴの口がさらに大きく開かれ、体長の半分ほどにもなった巨大な炎球が“メラッメラッ”と周囲の酸素を焼き尽くしながら “ボッッッ!!!”という音とともに放たれる

地を這いながら、彗星のような尾を引き 絶対零度の氷壁へと吸い込まれていく

砦の周囲に残っていた外壁が吹き飛び、エント·キングの盾がみるみるうちに

真っ赤に染まっていく、なおも続く獄炎の息吹に盾は崩れ折れ エント·キングだった

物が金属塊へと変わっていく

何分、何十分にも感じられた 赤いバハムートの息吹がようやく収まり

十分な厚みのあった絶対零度の氷壁も、頼りないほどに溶け落ち 再び同じ攻撃を受ければ、跡形もなく燃え尽くされる事が容易に想像ができた

「信勝君、幸村君、どのくらいの時間を稼げるのかわからないけど、僕の魔力は半分ほど残っているから

討って出るよ 茶々ちゃんの即死回避もあるし大丈夫」

「氏直君、無理はしないで もし逃げれる隙があれば、逃げていいんだからね」

「この北条氏直 逃げる事は、絶対に無い!“刃の精霊フーカーよ我の魔力を喰らい

決して折れぬ刃を我に与えよ!!”」

氏直の全身が紫色の光に包まれる、これまでのフーカーの装備とは異なり カイト型の盾と両刃の細身の剣に、限界まで薄く鍛え抜いたフルアーマープレートに身を包む

「この装備は、生身の身体よりも軽く感じられるぞ

防御を捨てて機動力重視という事だな じゃあ行ってくるよ」

「氏直君、ご武運を。。。」

「さっきの戦いで赤い竜の攻撃には慣れたからね 簡単には、やられないから心配しないで」

砦の縁に両腕を掛け、弓の弦を引き絞るように全身の可動域を引き絞る

「行きます‼」

その声に合わせ、砦の前面が開くと、放たれた矢の如く 再び息吹を練り巨大な獄炎球を湛えたフォゴへと飛び込んでいく


一本の矢の如く 唸りを上げ、空気を切り裂く

剣の先で、獄炎球の中心を貫き、フォゴの額に剣先を突き立てる“ガキン!!” フォゴの首が大きく仰け反り

たたらを踏んで後退る

「凄いぞフーカー! まるで羽のように軽く動ける」

空中で体を捻り、着地すると、連射されたナーダの息吹を高速で左右に動きかわし 狙いを絞らせない

態勢を立て直したフォゴが氏直に背を向けたまま 再び獄炎の息吹を練る 

「僕を無視して、まだ砦の2人を狙うつもり!? させないっ!!」

一歩を踏み出した、氏直とフォゴの間に割って入る ナーダ

「そこを退!!」

わずか3歩で最高速に達し、姿勢を低くしてナーダの横をすり抜ける 横目でナーダを見ながら。。。

“グッシャ!!”巨大な質量の物体に弾き飛ばされたような衝撃 何が起こったのかも、わからないままに床に叩きつけられ転がる 氏直

「いったい何が。。。?」

頭だけを起こし 2匹のバハムートを探す

フォゴの口からは、今にも解き放たれそうな巨大な質量の獄炎の炎が燃えたぎり 空気を歪ませている

「駄目だ! 間に合わない!! 2人とも逃げるんだ〜!!!」




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