表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
266/515

兄弟竜

遅くなりました

鬼化していた ルイの全身が、形相までもが、巨大な真紅の鬼そのものとなり

抑えきれぬ妖力がゆらゆらと立ち昇る

黒き竜の覇気と鬼神の覇気を纏った両者が、空中で睨み合う

同時に大気を蹴り、ルイの握りしめた拳がナーダの顔面に突き放たれる

その拳を掴み取り、ルイの首筋に向け、鋭い尾の先端が走る

それを左手で掴み取ると、肩からナーダに体当たりを喰らわせ 握った尻尾を両手で持ち

ぐるぐると振り回し、投げ捨てる 瞬歩で追撃すると 握り合わせた両手をナーダの頭部に全力で振り下ろす“グシャッ!!”鈍い音と共に地上へと落下していく ナーダ

腐食の効果は、鬼神の覇気で相殺され ルイの身体になんの影響も与えていない

地面に激突する寸前で体勢を立て直したナーダが、竜の息吹を吐く

避けるまでもなく 雷撃を左手を払うだけで消滅させると、空中で大きく柏手を打つ

“パァァァァァンッ!!!” ルイを取り巻くように現れる 数百もの童子切安綱

すべての太刀の切っ先がナーダへと向き 次々と射出されていく

正面の数本を尻尾で払い落とすが、軌道を変え左右上下から襲い掛かる太刀に

頭部を守るように丸まり、背中や両肩に深々と突き刺さる 童子切安綱


数秒間に渡る攻撃を凌いだナーダが、身体を仰け反らせ、その数秒の間に溜めを作った

極太の黒き竜の息吹を放つ 渦を巻き大気を切り裂く息吹 長い尾を引きルイへと迫る

「酒呑童子!避けるな!!後ろにアランが居る!!!」

「ああ!わかっている 歯を食いしばれ!!」

腕を十字に組み 頭部を守るルイに極太の息吹が直撃し、凄まじい雷が“バチバチッ!”

と唸りをあげルイを呑み込み、鬼神の覇気を徐々に削り取っていく

ほとんどの覇気を削り取られながらも耐え切ったルイが、顔を上げると

眼前まで迫っているナーダが、ルイの首に尾を巻きつけ 宙へ吊るす

逃れようと藻掻くルイの腹に“ドスッ!ドスッ!!ドスッ!!!”とナーダの拳が、深々と突き刺さり 空中でルイの身体がくの字に折れ曲がり、上へ上へと押し上げられる


その刹那 ナーダの視線が、西へと向く 脳内に響く、ネボアからの救援の信号

目の前のルイに、興味を失ったかのように西の空へと羽ばたき 消えていく ナーダ

力無く 背中から地上へと落下していく ルイ


アランが、ルイの落下地点へと走りながら エヴァへと念話を飛ばす

「エヴァ!すまない 黒き竜を抑えておくことが出来なかった 逃げてくれ!!」



結界に捕らえた 夜叉に重力魔法·圧縮で息の根を止めようと試みる エヴァの脳内に

ほぼ同時に響く 念話

「エヴァ。。。。すまない逃げてくれ!」押し殺すような ブルートの声


「エヴァ!すまない 黒き竜を抑えておくことが出来なかった 逃げてくれ!!」

息を切らした アランの声


「みなさん!無事ですか!?」エヴァが必死に呼び掛ける

「天女様!信忠です ブルート先生の意識が有りませんが、命に別状はないと思います」

「エヴァ アランだ!。。。ルイがやられたが死んではいない!」

「わかりました 貴方達4人の位置は、近いはずです 合流して下さい こっちは、なんとかします」

「天女様、あの赤い竜ですが 強すぎます どうか逃げて下さい!」

「黒いのも、想像を超えていた。。。逃げるんだエヴァ!」


「直政君、聞いた通りです 貴方の魔力の残りは、どうですか? 

まだ時空魔法は使えますか?」

「はい 天女様 まだ数回は、使えますが」

「では、これを4人に届けて下さい 治癒魔法を込めた 殺生石です 迂回して向かえば、直政君の方には、行かないはずです 目的は、これでしょうから」

夜叉を指差す エヴァ

「天女様は、どうされるのですか!?」

半泣きの井伊直政が、エヴァに詰め寄る

「そうですね ネボアを連れて、この場を離れます なんとかしますので大丈夫ですよ」

東の空を見上げる2人の耳に、赤と黒の兄弟竜の咆哮が聞こえてくる












ブックマーク&星で評価などして頂けると嬉しいですm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ