ネボア捕獲!
エヴァの言葉を信じ、躊躇うことなくスキルを発動する 井伊直政
「時の精霊ハロルよ!お願いだ!!僕と天女様にハロルの加護を!!時間停止!!」
エヴァの後方を肩越しに見ると、瞬間移動の出口が、開こうとしている
エヴァの手を取り、距離を作り反転させ 自分の行使できる最大の攻撃魔法“凍える槍”
を出口に向かい発動し、時が動き出すと同時に着弾するよう 留めておく
エヴァの顔を見る ぴくりっと瞼が動くのを確かに見た そしてエヴァの両手には
何かの魔法の発動する準備を終えているのか、高い魔力の集約が感じられる
「直政君、ありがとう」
時の止まった世界でエヴァの声を聞いた
“時が動き出す”
出口から夜叉の体が押し出る 夜叉の般若の眼が驚きに見開かれ
右肩を直政の放った“凍える槍”が貫く
エヴァから、内部を液体で満たされた球状の結界が放たれ 夜叉を結界内に捕える
「やりました!天女様!!」
「はい 直政君のお手柄ですね」
「お前たち、こんな物で俺を捕らえたつもりか?」
結界を破ろうと、瘴気を纏っていた右手に力を込める 夜叉
「無駄ですよ その右手は、腐食ではなく強酸による攻撃だったのですね 直政君の傷を見て気付きました その結界内は安水で満たされています 貴方の強酸は中和されます
諦めて死んで下さい」
玉龍を夜叉に向ける「重力魔法【圧縮】!!」
『フォゴ!ナーダ!俺を助けに来てくれ!!!!!!!』
ネボアから北東に4kmの地点
ネボアの信号を受けたフォゴが“ギエエエエエエエェェェェェェェェェェェッ!!!!”
甲高い咆哮を上げ 全身が獄炎の炎に包まれる 一拍の溜めの後、赤き竜の覇気で
行く手を阻んでいた鬼蜘蛛の巣を一瞬で焼き切ると、南西に向かうため翼が大気を打つ
「信忠!ネボアの所へ向かわせてはいけない!!止めるぞ!!」
「はい!ブルート先生!!」
フォゴの進行方向に居た、この戦いで6体目にもなるゴーレムがフォゴの上空から手足を大の字に広げ飛び掛かる
翼の根本に手を掛けたゴーレムが、振り落とされないよう必死にフォゴの背にしがみつく
地上を駆ける織田信忠が、息を切らしながら精霊ノームに語りかける
「土の精霊ノームよ ゴーレム巨大化!!」
フォゴの背中に乗ったゴーレムの四肢が伸び、フォゴにしっかりと絡みつく 厚みを増したゴーレムが翼の動きを阻害しフォゴの高度と速度を下げる
魔力の切れた信忠がその場に膝を付き フォゴを見上げる
「良くやった信忠 後は、なんとかするから、そこで休んでいろ」
「はい ブルート先生 お願いします!」
唯一、自由な尻尾を使い、ゴーレムを引き剥がそうと鋭い尾の先をゴーレムの背に突き立てる
そうは、させまいと黒蜘蛛の糸に風魔法を纏わせ、音速の糸を地上からフォゴの尻尾に
絡みつかせると“シュルシュル”とそれを引き戻し、高度も速度も落ちたフォゴに飛びつく
『信忠には悪いが、重石にさせてもらう』
フォゴの周囲を飛び回り、火炎耐性を持たせた鬼蜘蛛の糸でゴーレムとフォゴを縛り付けていく、そしてゴーレムに手を触れ「重力魔法【超重力】!」フォゴの背に数十倍になったゴーレムの体重がのし掛かる “キエエエエエエエェェェェェェェェェェェッ!!!!”
みるみる高度を下げていく フォゴ
その時、ブルートの視界が真紅に染まる、赤き竜の覇気をまともに受け吹き飛ばされると
地上に叩きつけられる ブルート
上空を見上げると、赤き竜の覇気で燃え盛るゴーレムの残骸が地上へと落ち
南西に飛んで行く フォゴの後ろ姿を見た
「エヴァ。。。すまない、逃げてくれ!」薄れゆく意識の中、念話を飛ばす ブルート
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