エヴァ対夜叉
黒き竜·ナーダの鱗より錬成した2本の太刀を両手に持ち、エヴァと互角に切り結ぶ夜叉
過去に憑依した相手の知識や経験を模倣する能力を有するネボアは、夜叉の体を得た事により、大嶽丸の双剣術を模倣する事としたのである
並外れた膂力に物を言わせ、半ば強引に2本の太刀を振るう 夜叉
それを最小限の力で受け流し、華麗に舞うように玉龍を操る エヴァ
「実体を得て、戦うという事は、これほどに楽しい事なのだな それに気づけた事には感謝しているぞ」
「貴方に感謝などして欲しくは有りません さっさと死んで下さい」
冷めた目で言い返す エヴァ
「まぁ そう言うな、この身体で試したいこともある もう少し付き合え」
軽く地面を蹴り、後方へとふわりと宙に浮く 夜叉
逃すまいと、結界を宙に放ち、間合いを詰めるエヴァ
伸ばした腕を、鞭のようにしならせ 空中へと踏み出したエヴァの足元に太刀が襲う
玉龍の石突きを振り上げ太刀を払い、その反動を利用した穂先が夜叉の首元に迫る
それを左手の太刀の柄で受け ぱかっと開いた口から“黒い竜の息吹”を吐く
至近距離からの、息吹に対し 予め放ってある不可視の結界を移動する事により
エヴァの左上空へと逸らすが、少しの間をおいて“パリンッ”と音を立てて砕け散る結界
警戒したエヴァが、後方へと飛ぶ
ここまでの戦いで“赤い竜の息吹”を結界で受け流しても、破壊される事は無かった
それが“黒い竜の息吹”を受け流すと、わずかな間をおいた後に砕け散った
その事から思い当たるのが、闇属性の腐食効果である 通常の攻撃魔法と異なり
被弾した箇所にじわじわと侵食し破壊する 武具を破壊するには最も適した
遣い手の少ない属性魔法である
『ルイとアランが危ない!?』
ブルートを介した念話で呼び掛ける
「ルイ!アラン!聞こえますか?」
「ああ。。。エヴァ聞こえるぞ。。。」
「黒い竜は、闇属性の腐食魔法を使う可能性が有ります 注意して下さい」
「それは、厄介だな!今のところ、雷魔法しか使っては来ないけどな 気をつけるよ」
「そちらの状況は、どうでしょう?」
「エヴァがネボアを倒すまでの時間稼ぎだ 楽勝だよ こっちの事は心配するな」
「ルイ。。。本当に無理はしていませんね!?」
「ああ 忙しいから、後でな」
嫌な予感がエヴァの脳裏を横切るが、眼前に迫る、炎の息吹を玉龍で両断する
チリチリッとエヴァの長い髪から焦げた匂いが漂う
「天女と呼ばれる女よ 我が兄弟を赤だの黒と呼んでいるのか? 我が兄弟にも立派な名がある 赤き竜は、獄炎の炎を操るフォゴだ、そして黒き竜は、すべてを無に還すナーダだ覚えておけ!」
「貴方、まさか私達の念話が聞こえているのですか?」
「ああ そのようだな」
先ほどの直政君との会話が、口頭であった事に胸を撫でおろす エヴァ
「それと良い事を教えてやろう 俺は、兄弟達の視界を共有できるのだがな
ナーダの相手をしている でかい方だが、すでに片腕を失っているぞ」
一瞬エヴァの顔が青ざめる
「でかい方では、ありません!!名をアランと言います 貴方達を倒す者の名を覚えておきなさい!!」
エヴァの頭部から三角の耳が生え、たおやかな尾が空気を打つ
弾かれるように夜叉へと飛ぶエヴァ さらに複数の結界を展開し、それを足場に縦横無尽
あらゆる方向から、風刃が玉龍が夜叉を襲う
それを嫌ったのか、夜叉の正面の空間が歪む
すかさず煙玉を、夜叉に投げつける エヴァ その煙玉を両断する 夜叉
付近に赤い煙が広がる 十分に拡散するまで一拍の間をおいた 井伊直政が時を止める
「時の精霊ハロルよ!時間停止!!」
地上で夜叉とエヴァの戦いを見守っていた 直政が、空中に目を凝らす
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