黒き竜·ナーダ
悠然と翼を広げ、大空を滞空する 黒き竜·ナーダに、地を駆け迫る アランとルイ
「なぁアラン、俺あいつ等と岩村城で戦ったんだけど、あの時よりも、シュッとして小さくなっているんだけど。。。魔力の質も大きさも、比べ物にならないくらいデカくなっているんだが。。。?」
ルイの声が、指先が、わずかに震えているのを見逃さない アラン
「ルイ!。。。倒さなくてもいい。。。ネボアに近づけるな。。。」
「アラン心配ない、これは、この国の言葉で言う武者震いだ あいつには1度殺されかけているからな 同じ目に合わせてやらないと気が収まらないだけさ」
「ああ。。。いつも通りやれば。。。いいだけだ。。。」
「さて まずは、挨拶をしておこう!“幻影散棘”!!」
ルイが、童子切安綱を上段から振り下ろすと、一斉に射出される 20本もの太刀
無防備に滞空しているナーダに、四方から襲い掛かる
正面から迫る数本を尻尾の一振りで叩き落とすと、その場に残像だけを残し瞬歩で20m
ほどの距離を右に移動する ナーダ
地上で童子切安綱を右に払うと、“幻影散棘”の軌道が黒い竜·ナーダを追い 切っ先を右へと向け、さらに加速する
「誘導が出来るようになったんだよ! 避けられるか!?」
“ザッシュッ!ボスッ!ズバッ!シュパッ!ズドッ!ザッシュッ!ズバッ!シュパッ!”
ナーダの右肩に腕に首筋に脇腹に太腿にと次々と突き刺さる 童子切安綱の複製達
とどめにとアランの鉄槌が弧を描きながら、ナーダの頭頂部に喰い込む“グシャッ!!!”
「やったのか!?」
翼を畳み ゆっくりと下降を始めるナーダ 数本もの太刀が突き刺さり
頭部はひしゃげ、折れ曲がったまま アランとルイの目前の地上へと降り立つ ナーダ
「ルイ!!くるぞ!!」
金色の盾を最大に展開し、自らとルイを守る アラン
鬼化した両腕を交差させ、頭部を守る ルイ
目の前の黒い竜が、体を仰け反らせると“黒き竜の覇気”が大気を爆発させる
ナーダを中心にして、とてつもない衝撃波が、すべての物体、空気までもを吹き飛ばし
巨大な真空が出来上がる
100mほども飛ばされた アランとルイが起き上がると、一歩も動かずに腕を組み
2人を感情の感じられない目で見下す 無傷のナーダが立っていた
「無傷。。。だと?。。。」
「ベヒーモス以上の化け物だと言うことだな。。。」
想定以上の化け物であると、絶望という名の壁が、アランとルイの前に立ちはだかる
するとルイの視界が、なんの前触れもなく歪み 目の前の、アランの動きが止まる
100m先に居る、黒い竜の動きも止まり、ルイ自身も指一本動かすことも出来ず
眼球だけが、状況を把握しようと忙しなく動き回る
『お前の半分を俺に寄越せ!』唐突に頭の中に響く声
「なに!? お前は、酒呑童子か?」
『九尾の姐さんの仇討ちだ お前の半分を俺に寄越せ!!』
「半分をお前にやれば、勝てるのか?」
『それは、解からん しかしこのままでは、5分も保たずにお前らが殺されるのは解る』
「確かに、そうかも知れないな。。。半分をお前にやるとどうなるんだ?」
『俺の力を、お前が使えるようになる お前の力を俺が使うのかも知れんがな
時間が無い、さっさと決めろ!黒いのに殺されるか!?俺に喰われるか!?』
高らかに笑う 酒呑童子
「いいだろう 俺がお前を喰ってやるよ!! 俺の半分をお前にやる!!」
ルイの視界が色を取り戻し 止まっていた時が動き出す
全身を鬼化したルイの全身から黒い妖力が溢れ出し、右手に持つ童子切安綱が震える
「ルイ?。。。お前どうしたんだ!?。。。」
「アラン 試したい事がある、ここで見ていてくれ」
一歩一歩 黒き竜·ナーダへと地面を踏みしめる ルイ
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