松倉城
ブックマークしてくれた方
ありがとうございますm(_ _)m
勉強会も回を重ね 今日は、朝廷について勉強をしていた
「お館様は、従四位下ということですか ということはですね
足利義昭公の従三位より上で征夷大将軍に準ずる官位を戴けば、幕府を興す事が出来るのではないですか?」
いたずらっぽく笑う エヴァ
「それは、そうなのですが そんな簡単な話では無いのです」
徳本の方をチラチラッと見ながら 答える 昌幸
「わりと簡単に思えますけどね 朝廷としても傀儡化した幕府より ちゃんと朝廷を敬って 武士をまとめる力のある武将が将軍になったほうが良いと思うのでは?」
「まさしく天女様のおっしゃる通りじゃな 昌幸殿 何でも難しく考える癖は改めたほうが良いぞ」ニヤッと嬉しそうな 徳本
「徳本先生は、いつまで天女様の部屋に居られるのですか?」
「わしが昌幸殿と天女様を二人っきりにさせると思うか?」
『今日のお昼に頂いた七草粥というのは、物足りなかったですね。。。お肉が食べたい』物思いに耽る エヴァ
今日も浜松城内は平和である
浜松城を出立して5日 目的の松倉城が見える
「報せの通り囲まれておるな 兵数は2千と聞いておるが
もう少し多そうであるな ルイ殿 本当に侵入出来るのか?」
5日間を、共に旅をしたルイと内藤昌豊は、軽口を叩けるほどに気安い関係になっていた
「随分とでかいな 三方を崖に囲まれた山城か 守るに良い城だな 侵入は、わけないぞ あの崖を登る」
「お主が言うのであれば たやすく登れるのだろうな」
「これ以上近づくと上杉に見つかるかもしれない 内藤様は
予定通り海津城で待っていてくれ すぐに終わらせる」
百姓にしか見えない衣装を着たルイが松倉城に向かい歩き出す
後ろ姿を見送る内藤昌豊 『子供のようにしか見えないが 道中2匹もの猪を素手で瞬殺だからな 本当にすぐに帰ってくるやもしれんな』踵を返し海津城に向う
「あんたが椎名康胤か?」松倉城内 本丸にて4人の家老と軍議を重ねる康胤の耳に男の声が囁く
「誰だ?」キョロキョロと室内を見渡す
「この声は、あんたにしか聞こえない 中庭を見ろ」
おもむろに立ち上がり、腰の刀に手を掛けながら 中庭に面した障子を開ける
「何奴!?」そこには、百姓にしか見えない小柄な男が立っている
「ほら お館様から、あんたへの文だ」横柄にも見える態度で
手紙を差し出す
道中に話に聞いていた この椎名康胤という男を、ルイは好きではなかった
上杉に従属したと見せて裏切り、状況が悪くなると許しを請い 戻ったかと思えば 武田に付く 乱世の処世術かもしれないが
好ましくはない印象を抱いていた
文を受け取り 文面に目を落とす
康胤の頬が一瞬引き攣り ルイを見る
「ルイ殿と申されるのか 遠路ご苦労でした 文には最強の援軍を送ったとありますが どちらで待機を?」
「お前の目の前にいるぞ 俺一人で10万の兵にも匹敵する
そう書いていないか?」ニヤッと笑う
「確かに天女様の付き人で龍神殺しと書かれていますが」
援軍が一人と聞き 情けない顔をする 康胤
「2千もの上杉軍に囲まれて居るのですぞ 対してこちらは、
400足らず、援軍も見込めず降伏もやむ無しと話しておったところです」
『なぜ、このわしがこのような小僧にペコペコせねばならん?
武田信玄公も、この小僧の言は、わしの言だと思えだと!?
このわしを舐めておるのか??』
「好きにするといい 俺は俺の仕事をする2千居るなら
500も動けなくすれば退くだろ? 弓の扱いに長けたものを
10人ほど借りるぞ」
「お前たちの弓を強化しておいた 射程距離は800メートルといったところだな 日暮れとともに敵本陣に向けて威嚇射撃をしてくれ 当てる必要はない とにかく一本でも多く撃ってくれ」
800メートルと聞いて どよめく射手達
「あの。。。我らの弓では、400メートルがせいぜいで
あそこの本陣まで届きませんが?」
「大丈夫 届くぞ 試し打ちをさせることは出来ないが
心配するな 日暮れまでに出来るだけ 多くの矢を集めておいてくれ 頼むな」そう言うと桜の木に背を預け 目を瞑る ルイ




