赤き竜·フォゴ
最終決戦に突入です
漆黒の手甲、鬼蜘蛛を両手に装着したブルートが、遠隔操作の可能になったゴーレムを盾に赤い竜、フォゴへと迫る
「信忠いいな、俺達の目的は、この竜を倒すことではなく ネボアに近づけない事だからな」
「あれが。。。赤い竜、なんて禍々しい瘴気を。。。はい 解っています ブルート先生ゴーレムも防御力を優先して作り出していますので、存分に盾にして下さい」
「ああ遠慮なく使わせてもらうよ 竜の息吹の射線上には絶対に入るなよ」
「はい 了解しました!」
「まずは、魔法の耐性を見せてもらうか?」
鬼蜘蛛に、青い雷光が迸る、両手の十指から、雷撃を纏わせた漆黒の糸が
ゴーレムの背に向けて、フォゴの死角へと放たれる
ゴーレムの背中ギリギリで上下左右あらゆる方向へと枝分かれした 漆黒の糸が雷撃を
伴い、開かれた巨大な手の平のように、赤い竜を絡め取ろうと襲い掛かる
頭部を両腕を両足を漆黒の糸が、操り人形の糸のように、絡みつき
フォゴの自由を奪い 青い閃光を迸らせた 雷撃が、フォゴの全身を襲う
「信忠、動きは抑えた ゴーレムで物理攻撃は出来るか?」
「はい やってみます!」
姿勢を低くし一瞬の溜めの後、強く張られた弓から解き放たれた矢のように、頭から
フォゴへと、その巨大な拳を振るう “ぐしゃっ”
下方から、右の拳がフォゴの顎を打ち抜き 大きく仰け反る 赤い竜·フォゴ
手足を拘束され、肉袋と化したフォゴの引き締まった腹に左の拳をめり込ませ
ゴーレムの巨体からは、想像も出来ぬ程の左右の連打が始まる
“ドカッ!ボスッ!バシッ!ズバッ!ドカッ!ボスッ!バシッ!ズバッ!ズドンッ”
信忠の額に汗が光り 空中で少しずつ、せり上がっていくフォゴの巨体
「このまま、押し切れるのか?」
ブルートの糸にフォゴの抗う力が伝わっては来ない さらに雷撃を強める ブルート
その時、赤い竜·フォゴの尾の先端が、ぴくりっと動くのを確かに見た しかし瞬きを
した瞬間に、ゴーレムの頭部がフォゴの尻尾に刺し貫かれ、爆散するのを見る事になる
「えっ!?」唖然とする 信忠の動きが止まる
引き戻された尾が、ゴーレムの右腕、左腕、右脚、左脚と順番に粉砕していき
残った腹部が、御嶽山の火口へと落ちて行く
四肢に力を入れたフォゴの周囲が赤い波動を発すると、ブルートの鬼蜘蛛の糸がパラパラと霧散していく “赤き竜の覇気” 離れた信忠にまで“チリチリッ”と熱波が襲う
「信忠!少し下がっていろ ゴーレムを新たに出せるのなら、自分の身を守るんだ!!」
フォゴの閉じられた瞼が開き、赤き光りを宿した瞳が、ブルートを睨む
「ようやく目覚めたということか? 身体強化魔法“超反応”!!」
鬼蜘蛛の十指より、捻り合わされた 極太の糸に凍結の魔法を纏わせ、両腕を高く上げると、高空へ放たれた漆黒の糸が、次々と枝分かれをし空間を支配するかのように、立体的な蜘蛛の巣が、またたく間に出来上がる
鬼蜘蛛の十指を地面に突き刺すと、極太の糸を地面に固定させ、その一本に足を掛けると
地面を蹴る ブルート 上下左右へと立体的な機動で、フォゴの高さへと登っていく
ブルートを撃ち落とそうと、炎球を高速で連射する フォゴ
超反応で巧みに交わしながら、蜘蛛の巣の網目に、氷壁を張り炎球を逸らす
フォゴの上下左右へと鬼蜘蛛の糸を張り巡らし、巨大な球形の蜘蛛の巣にフォゴを閉じ込める事に成功する
未だ、火山灰が舞い落ちる御嶽山上空に、陽光をキラキラと反射する 巨大な蜘蛛の巣
「凄いです!ブルート先生!!」
「これで少しは、時間が稼げるだろう」
球形の蜘蛛の巣の中を立体的に飛び回り、フォゴの動きを牽制しながら、氷壁で蜘蛛の巣を強化していく ブルート
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