瞬間移動対策2
恐る恐る、右手を差し入れた 河童の右腕が、がっしりとブルートに握られ
一気に引き抜かれる “つるんっ”と出口の地面に飛び出て尻もちをつく
「まぁ夜叉が通り抜けるのですから 予想通りの結果ですね」
「ああ 打てる手は多くは無いが、発動するまでの1秒間に出口を見つける事が出来れば、勝機があるという事だな」
「発動する時の、空間の歪みを感知する事は出来ないでしょうか? ブルート、一度
私の近くで出口を発動してもらえますか?」 目を瞑り、集中する エヴァ
「ああ やってみよう」
目を閉じたエヴァの頭上の空間が歪む。。。 穴が開き切っても、エヴァの目は閉じられたまま 気づく様子もない
水魔法で作り出したコップ一杯ほどの水を、ブルートの胸の前の入り口から、投げ掛ける
「ひゃっ!?」
「「「「ギャッハハハハッ!!キュキッキーキュキッキ!!アハハハハッ!!」」」」
盛大に笑う面々 しょげこんでいた満腹丸までが、腹を抱えて笑っている
「エヴァ、とっくに出口は開いていたぞ」
「なるほど、全く気が付きませんでした、それで、この水は、どういう事でしょう?」
「いや。。。失敗した時の、緊張感も必要かと」
「それも一理ありますね! では次は、アランですね!!」
「。。。。。。。。。いや。。。。俺は。。。」
「そうだな、アラン目をつぶってくれ」
危険を察知したルイが、気配を消し、この場から逃れようと足音を忍ばせるが、エヴァに襟首を掴まれる
目をつぶるアランの左肩の空間が歪む エヴァ同様に気づく気配もないアランに、ブルートの指から“鬼蜘蛛”の糸が射出され 全身を簀巻きにされるアラン
「「「「ギャッハハハハッ!!キュキッキーキュキッキ!!アハハハハッ!!」」」」
糸で猿轡まで噛まされ、無様に転がる アラン
「ブルート、ちょっとやりすぎじゃないか?」
「何を言っているんだルイ? 実戦なら、捕らえられているという事だぞ?」
「はいっ! 次はルイですね!!念の為に目隠しをしましょう!!」
「絶対に感知してみせる!!」
目隠しまでされ、立ち尽くすルイの両足の間の空間が歪む。。。
ブルートに何やら耳打ちをし、拳大の石を持って待機している エヴァ
『『『『『それは、まずいって!!』』』』』ぶんぶんと首を振る 観衆
なぜか彼らに、親指を立てて応える エヴァ
出口の穴が開ききると、エヴァの“にやっ〜”という微笑みとともに、指弾で放たれる石
ルイの足元から真上に向かって飛び“ぐしゃっ!!”という音とともに、2mほども飛び上がる ルイ
「アッハハハハッハハハ ルイ! アッハハハハッハハハ〜」
周りを見渡し、自分しか笑っていないことに首を傾げる エヴァ
自分の股間を抑え、青い顔をしている 面々
股間を抑え、転げ回るルイに近づき そっと回復魔法を掛ける。。。
「もう大丈夫ですよ」天使のような笑みを浮かべ 目隠しを解く
「次は、満腹丸君ですね こちらへいらっしゃい」
「おいエヴァ まだ子供だぞ!」
「大丈夫ですよ 満腹丸君を信じていますから! この魔法を必ず習得してブルートにも、この修練を受けてもらいますからね」 かなり執念深い エヴァ
何を信じているのかは、不明だが。。。
目隠しをして立つ 満腹丸の正面の空間が歪む 約3秒後には穴が開き切るのだが
満腹丸の口元が“ぴくりっ”と動くと“ピュッーーーー”と勢いよく口から水が、発射される
大きな岩を持ちながら待機している エヴァが水を滴らせ目を丸くする
「「「「ギャッハハハハッ!!キュキッキーキュキッキ!!アハハハハッ!!」」」」
もちろんエヴァに向けられた 笑いである
「満腹丸 どうしてわかったんだ?」
「ブルート先生と天女様の匂いがしたので、わかりました」
「匂い?」
「はい、犬の嗅覚を借りたので あっ!この水は、鉄砲魚です さっきそこの川で見つけました」
「なるほど。。。入り口側で起きている現象が、出口側にも伝わるという事だな
しかし我々に犬ほどの嗅覚は無いからな、なにか別の方法でネボア自体かネボアの周囲に異なる現象を起こしてやれば、出口側にも伝わるという事だな」
「そうですね、ネボアの周囲だけ高温にするとか、乱気流を起こすとか、色々と考えられますね 満腹丸君のお手柄ですね!!」
「天女様、ありがとうございます その岩は、何をするものなのでしょうか?」
「さぁっ! みんなが心配していますので、大急ぎで帰りますよ!!」
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