5匹の河童
上空から、満腹丸を観察していた ネボアだが、満腹丸の能力を探る事は叶わず
踵を返し、慌てた様子で岐阜城へと向かう標的に接触することを決断する
よく見れば、人間種の子供のようだが、人間共は子供に対して、無償の犠牲を払う事を
厭わない種族だ 人質として捕獲すれば、何かの役に立つかもしれん
奴らの魔力探知が、届くのか微妙な距離だが、抵抗するならば 殺してしまえばいい
階段を駆け上がり、地上へと出たエヴァの魔力探知に北へ8km満腹丸の魔力を探知する
その瞬間にエヴァの顔が青ざめる
「この魔力は、ネボア! 急ぎます!!」
エヴァと同時に満腹丸の魔力に重なるように、巨大で邪悪な魔力を感知した
ルイ、アラン、ブルートも同時に走り出す それに釣られるように後を追い駆け出す
天武の子供達だが、お雪が手を広げ、それを制する
「みんな待って!満腹丸君は、天女様達に任せて 私達は、童夢を守りましょう
中には、羽柴組のみなさんも、弓兵のみなさんもたくさん居ます 私達が守るのです
天女様達が行けば、何があっても大丈夫! みんな良いですね」
「お雪先生〜 お兄ちゃんが〜〜!」
今にも泣き出しそうな茶々を抱き上げる お雪
「茶々ちゃん 満腹丸君は、大丈夫 天女様達を待っていましょうね 大丈夫!」
自分に言い聞かせるように大丈夫と繰り返す お雪
「そうですよ 茶々ちゃん 私は、時詠みの力があります 満腹丸君は、大丈夫ですよ」
「おりん様。。。時詠みってなに?」
「少しだけ先の事が、解ってしまう力です」
「本当にお兄ちゃんは大丈夫なんだよね!?」
「茶々ちゃんは、天女様を信じていないの?」
「。。。。。信じてる! みんなと一緒に童夢を守る!!」
高空より 右手に“麻痺”を纏わせ、標的の子供の背後に瞬間移動して攫う
標的の能力は不明だが、この右手で触れるだけの簡単な仕事だ
検証の結果、自分より質量の小さな物は、一緒に瞬間移動ができる事も解っている
ここに向かっている、大きな魔力が到着する頃には、標的を連れて御嶽山に帰れる
瞬間移動発動! 満腹丸の移動速度を考慮して、標的の前方の空間が歪む
きっちり1秒後に瞬間移動の出口が開き 前を走る標的に右手を伸ばす
その時、右手後方より飛来する 柄の長い銀色に輝く物体 槍か!?投擲武器!?
伸ばした手を引き、後方へと後退る ネボア
地面に突き刺さる 銀の虫取り網、その音に何事かと振り返る 満腹丸
「は。。。般若っ!?」驚きと恐怖で、その場に尻餅をつく 満腹丸
そんな満腹丸を守るように囲う 5匹の河童
「ほう お前らが河童とかいう下等な生物か? なんのつもりか知らぬが、その子供を
こっちに寄越せ!」
「キュキーーキーキューーッキーキュキュキッーキュー!!」
「河童さんたち、僕を助けてくれるのかい?」
「キキューキーキュキューッキーキュキキッーキューキキー!!??」
「言葉が解るのかって? 僕の精霊ビシューのおかげで、動物たちとも話が出来るんだ」
「キキューキーキュッキューッキーキューキキッーキューキキー!」
「木曽川であった、変な女みたいだって? わからないけど、あの般若は強いよ、気をつけて!」
「キーキューキーキュキューッキーキュキキッーキューキキーキュッ!」
「水神様の命令で、異界の魔獣から人間を守るように言われているのか?
お願い!死なないでね!!」
「邪魔をするなら、殺すだけだ! そこを退け!!」
夜叉の右腕が伸びる 鞭のように腕をしならせ3mも伸びたところで
先頭の河童に張り手を浴びせると、地面に転がり麻痺の効果で痙攣を始める
金の虫取り網を手にした河童が、飛び跳ねると伸びた夜叉の肘に虫取り網を叩きつける
虫取り網が喰いこんだ、肘を基点にありえない方向に折れ曲がり、河童の喉元を掴み
喉輪で釣り上げると ブクブクと泡を吹き痙攣を始める 河童
残った3匹が、一斉に夜叉の本体に向け 強烈な水圧の水鉄砲を浴びせると
わずかに後退したものの、のしのしと前進を始める 夜叉
「キキューキーキュキューッキーキュキキッーキューキキー!?」
「身を守る術? あるよ!僕も戦えるよ!! “亀羅”!!」
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