エヴァ対ルイ
「ああ 回廊の仕上げを、さっさと終わらせるか 狭間の扉の開閉に、妙に引っ掛かる
のがいくつかあったぞ」
ルイが、頭上のいくつかの狭間を指差す
「それは、いけませんな! すぐにすべて点検します」
「さて俺は、飯も食ったし 練兵場に行ってるよ 何かあったら呼びに来てくれ」
「わかりました ルイ殿、また後ほど」
回廊を駆け上がっていく 羽柴秀吉の背中を見送る ルイ
「考えたら、この城。。。と言うか要塞、地下5階の練兵場から回廊の天辺まで、年寄りには、階段の登り降り無理だろう? 何か考えないといけないな」
「アランまで、いい加減にして下さい!」
練兵場の扉を開けると聞こえてくる、エヴァの怒鳴り声
「なにかあったのか?」
「ルイ、聞いて下さい アランもブルートも、模擬試合中、私に狐の耳や尻尾が生えていたというのです」
エヴァが手に持つ薙刀を見る ルイ
「その薙刀を振るっていたのなら、そんな事もあるんじゃないか? お玉様の妖力を感じるぞ」
「それは、わかりますが 私に尻尾などと。。。それと、この薙刀は、玉龍と名付けました」
「じゃあさエヴァ、それを確かめるためにも、俺と模擬試合をしてくれないか? 俺もどのくらい回復しているのか知りたいからな」
「いいですけど、私と玉龍は、強いですよ」
練兵場の中央で大薙刀·玉龍と大太刀·童子切安綱の剣戟が火花を散らす
縮地術と疾風を駆使して立体的な機動で空間を制するルイに、羽衣に風魔法を纏わせ
結界を足場に玉龍のリーチを活かし、ルイに対するエヴァ
空中で地上で切り結ぶ2人に、いつしか輪になって試合の行方を見守る 面々
「もう、すっかり回復しているのではないですか? ルイ?」
「どうだろうな? エヴァの剣圧が温すぎてわからないな?」
「怪我人だと思って、手加減してあげてるんですけどね〜 弱い者いじめは性に合いませんので」
不敵に笑うエヴァに、両腕を鬼化して応えるルイ 童子切安綱の刀身が黒く染まり
酒呑童子の妖力が練兵場の温度を下げる
まるで、それに呼応するかように玉龍の穂先が青い光を放ち 同時に地を蹴った
2人の中央で盛大な火花が散る ルイの胸の中央に玉龍が走る
エヴァの首筋を童子切安綱が残像を残し、一閃する
まるで演舞のような2人の攻防に、おもわずため息を漏らす 天武の子供達
「エヴァちゃんと避けろよ!“幻影散棘”」
土魔法で次々に“童子切安綱”の複製を自分の体を中心にして創り出すと、数十本もの太刀がルイを中心に右回りに回転し 結界の上に乗ったエヴァに目掛けて一斉に射出される
「避けるまでもありません!」
玉龍の石突きを“トンッ”と結界に打ち付けると、エヴァを中心に大気が振動し物理的な波となって、迫りくる太刀を地上へと落下させる 太刀が地上に到達するよりも早く
結界を蹴ったエヴァが、ルイの胴を薙ぎ払う 三角の狐耳を“ピンッ”と立て
豊かな毛並みの尻尾をくゆらせ 歓喜の表情を浮かべる エヴァ
「天女様。。。“モフモフ”です!」
「エヴァ、尻尾。。。」
童子切安綱で玉龍を受けたルイが、エヴァに囁く
「あらっ!? 本当だったのですね!」
体を捻り、自分のお尻から生えた尻尾を確認する エヴァ
「でも、触ることは出来ないみたいです。。。残念です」
自分の頭部やお尻に触れるが、触れる事は叶わず がっかりと肩を落とす
「ブルートとアランが言っていた事は、本当だったという事だな」
「本当でしたね、2人ともごめんなさい」
「それにしても、エヴァが体術でこれほど動けるとは。。。ちょっと驚いたよ」
ルイが、素直に感嘆する
「この玉龍と羽衣のおかげです」
「そういえば、さっきからお兄ちゃんの姿が見えないのですが。。。?」
「ん!?そう言えば、さっき一人で、外に出ていったな 虫取り網を持っていたから
昆虫採集か?」
「ちょっと。。。戻るのが。。。遅い。。。 探しに。。。行こう。。。」
「ここは、防御壁を厚くしすぎて、魔力探知が効かないのが問題だな。。。
急いで上に行こう」
アランとブルートが先導して駆け出す
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