玉龍3
「直政君には、ちょっと意地悪をしてしまいましたね ハロルの時間停止を破るには
あれしか思いつかなかったので。。。不可視化した結界を攻撃させて、時間切れを狙った苦肉の策です」
「いえ天女様、勉強になりました 生意気なことを言って申し訳ありません」
「天狗になるのも無理がないほどのスキルですからね〜 停止できる時間が延びれば
まさに無敵と言えるでしょうからね」
「はい ありがとうございました」
練兵場の入り口から、ブルートが現れる
「特殊な魔力の流れを感じたので来てみれば、楽しそうな事をしているじゃないか?」
「ええ 久しぶりにみんなに稽古をつけている所です」
これまでの経過と年長組が火竜の討伐に参戦したいという意志をブルートに伝える
「なるほど いいんじゃないか? 少なくとも信忠と直政は、十分に戦力になると思うぞ エヴァも信忠には手を焼くと思うけどな」
楽しそうにニヤニヤと笑う ブルート
「「ありがとうございます ブルート先生!」」
「嫌な笑い方ですね ブルート いいでしょう そこまで言うのでしたら信忠君のお手並みを拝見させてもらいましょう」
羽衣を翻し、玉龍を一振りし正眼に構える エヴァ
「天女様 よろしくお願いします! あの本当に手加減無しで、宜しいのですね?」
「はい 大丈夫です 遠慮は不要ですよ こう見えても丈夫ですから」
「わかりました 怪我だけは、されないで下さい 出し惜しみ無しで、最初から全開で
行かせていただきます!! 土の精霊ノーム!金の精霊ウィル僕に力を!!“ゴーレム”」
「へっ!? ゴーレム?」
「ああ 土を操るノームと錬成と創造を司るウィルだからこそ出来る術だな」
信忠の体が空中に浮き、岩の塊と金属片が次々と信忠の体に吸い込まれ張り付いていく
みるみるうちに巨大化していき 5mを超えたところで、両拳を胸の前で撃ち合わせ
戦闘態勢に入る 飾り気も何もない無骨な 信忠ゴーレム
「ブルート。。。信忠君、中で操作するのですか?」
「ああ まだ外から操れるほど、同調出来ていないんだ 中に入ってしまえば、自分の手足のように操れるからな 見てわかると思うが、セラミックに金属を融合させているからな。。。硬いぞ!」
「千代ちゃん エント·キングの方が、大きくって可愛いですね」
千代の耳もと小声で囁く 茶々
「そうだね〜 きっとエント·キングの方が強いよ!」
姿勢を低くして頭から一直線に突っ込んでいく 信忠ゴーレム
その見た目からは想像できぬほどに鋭く早い それを避けようと大きく右に飛ぶ エヴァ
それを追尾するように、生物では決して出来ない動きで、未だ空中に居るエヴァへと方向を転換すると、その巨大な手で掴み取ろうと腕を伸ばす
あらかじめ空中に浮遊させていた円状の結界を左足で蹴り 真上へと飛ぶ エヴァ
逃すまいと、真上へと、さらに腕を伸ばすが、玉龍の一撃を受け軌道を逸らされる
信忠ゴーレムが腕を戻すよりも早く、落下に風魔法による加速を加え、頭部に向け玉龍を振り下ろす
“ガキンッ!!”玉龍の穂先が火花を点てて弾かれる 空中に押し戻されながらも
頭頂部、首の付け根へと2撃、3撃目と玉龍を突き立てる エヴァ
一切の傷を負うこともなく、エヴァを払い落とそうと腰の接続部分、上半身だけを急回転させ 左右の腕をエヴァへと叩きつける
巨大な質量の前腕を玉龍の柄で受け 信忠ゴーレムから20m離れた地点に着地する
「練兵場が壊れたら、後で僕のノームで修復しますので!!」
そう言うと、左右の腕を前に突き出し、両腕の拳が“ゴトリッ”と落下する
手首の切断面の空洞がエヴァを捕捉し“バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!”
高速の弾丸が発射される
玉龍の穂先が青く光り エヴァの姿が一瞬ぶれる 青い光の尾を引き、信忠ゴーレムへと
突き刺さる 進路上に転がる、切断された 弾丸
信忠ゴーレムの周囲を、結界を足場に飛び回り ガシッガシッと削っていく エヴァ
「天女様。。。耳と尻尾が生えてます。。。お玉様だ!!」 茶々が叫ぶ
至近距離で玉龍を振るうエヴァを捕らえることも出来ずに、腕を足を切断され、ゴーレムの装甲をすべて削り剥がされた信忠が、その場にへたり込む。。。
玉龍の穂先を地面に向け、頭に金色の三角の耳、金色のふさふさとした尻尾をくゆらせ
顔を紅潮させ、立ち尽くす エヴァ
「参りました!」
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