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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
242/515

玉龍2

頭を振りながら、起き上がる満腹丸

「天女様、ありがとうございました」

「亀とハチドリの融合、素晴らしい発想でしたよ これからが楽しみです!」

「ありがとうございます でも自分で見て観察した事のある生き物にしか変幻出来ないのです 熊や虎を見てみたいです。。。」

「虎は、難しそうですね。。。でも昆虫等は、どうでしょう? 自重の数倍もの重量を持ち運ぶ蟻ですとか、大きな鎌を備えたカマキリですとか、神経毒を持った蜂や毛虫など

面白いと思いますけどね」

「あっ!本当ですね!!明日から昆虫採集もしてみます!!」



北条氏直が、エヴァの前に進み出て、頭を下げる

刃の精霊フーカーの新たなスキル【物理·魔法防御】を得た事により

戦闘態勢になると、自動的に半透明な、西洋風の甲冑が全身を覆う 刃の精霊らしく

肩や肘、膝といった所に鋭利な刃を備えた 凶悪な様相を呈した代物である

右手にハルバードを持ち、左手の前腕にアランから送られた 円形の盾を手首と肘に

固定装着し エヴァに挑む

「天女様、よろしくお願いします」

「はい 氏直君、始めましょうか」

エヴァが言い終わると同時に、縮地術を使い一息に距離を詰めて来る 氏直

エヴァの足を狙って、ハルバードを地面すれすれに横に薙ぐ

ハルバードの斧の部分を、石突で叩き落とされ 氏直は、低い姿勢から盾を下から上へと

払い上げる「シールドバッシュ!!」

その盾に、左手の指を3本添え 衝撃を殺しながら

氏直の頭上で回転すると、背後に着地する エヴァ

背面からハルバードの石突きを突き出し それを玉龍の柄で弾かれた勢いのままに

エヴァと対峙する 氏直 試合開始から、ここまでの攻防、時間にして1秒にも満たない

「刃の精霊フーカーのスキルを、使いこなせていますね 努力してきた事が、窺えます」

「ありがとうございます 天女様、まだまだこれからです!」

目にも止まらぬ速度で、操剣·操槍のスキルを駆使して切り結ぶ エヴァと氏直

長柄武器同士の剣戟は、2人の周囲に残像と火花を残し、息を呑んで見守る 子供達

剣舞のような2人の攻防は、徐々に一方が押し込まれ始め 呆気なく幕を閉じる

瞬歩で氏直の懐へと潜り込み 玉龍の柄を両手で持ち、水平に捻りを加えながら

氏直の胴へと打撃を叩き込む 盾で受けたものの錐揉みをしながら 吹き飛ぶ 氏直

「参りました!」

目が回っているのか、ふらふらと立ち上がる

「とても楽しかったですね 氏直君」


「天女様、井伊直政参ります!!」

三叉の槍、宝戟を後ろ手に持ち、その柄の長さを隠すように 摺足で距離を詰める

「直政君は、時の精霊ハオルの能力で時間を遅延させる事が出来ますから 接近戦は不利ですね」

「天女様 今では、僅かですが時間を止める事もできます 一太刀入れられれば、僕の勝ちで宜しいですね 天女様に怪我をさせたくありませんので。。。」

「あらっ優しいのですね 直政君は いいでしょう私に触れることが出来れば、直政君の勝ちです」

そう言いながらも、その場から動かず 宝戟の届く距離まで直政を迎え入れる

遅延した時間の中、エヴァの視線は正面を向いたまま 

右から回り込み 槍を突き出す 直政の動きを目で追えてさえいない 

『もらった!! 僕の勝ちだ!!』

穂先が、エヴァに触れると思った瞬間 “カツンッ”と槍先が弾かれる

『!?』 いつの間に発動していたのか、円状の結界が現れ エヴァを守る

それならばと、時間停止を使い 刺突を上下左右に散らす

槍先が、エヴァに触れる瞬間に結界が現れ、同じように弾かれていく

“カツンッ!カツンッ!カンッカンッカンッカンッカンッカンッカンッ!!!”

止まった時の中、直政の耳にだけ虚しく響く 打撃音

エヴァの全方位に張り巡らされた結界を破る力は、今の直政には無い

『限界だ、時間が。。。動き出す。。。』

最後の一撃と宝戟にすべての力と風魔法を纏わせ、エヴァの左肩に槍を走らせる

軽く身を捩ったエヴァの左側を宝戟が虚しく空を切り

直政の喉元に添えられた 玉龍の刃先

「参りました。。。」


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