正月
一般に知られた呼び名でと言うと
諏訪勝頼より武田勝頼のほうが当然メジャーなのですが
武田信玄が亡くなって 初めて武田を名乗ることになるので
諏訪勝頼で通します
徳本上人 弄りすぎですが 本人も喜んでるということで
偉人なんです!! ごめんなさいm(_ _)m
「明けましておめでとうございます」
天守曲輪の縁側に並ぶ 左から真田幸隆 山県昌景 内藤昌豊 武田信玄 エヴァ 諏訪勝頼 馬場信春 武田家の重鎮たち
中庭に集まった武田家の家臣 徳川家の家臣たちから
もっとも注目を集めているのが 信玄の横に並ぶエヴァである
「皆の者 明けましておめでとう 昨年は武田にとっても皆にとっても最高の年となった 本年も この日の本の平定のために
皆の力を貸してくれ 今日は存分に飲み食い踊るがよい!!」
天守曲輪の大広間が開放され 中庭にも人が溢れる
城下より呼んだ 大量の酒樽が並び 魚を焼くもの
餅をつくもの 大鍋でほうとうを炊くもの 握り飯を握るもの
猿回しまでが居り、人気を博している
「お館様 明けましておめでとうございます」
「天女殿 おめでとうございます こうして無事に新年を
迎えられるのも天女殿のおかげじゃ 心より感謝いたす」
「私とルイが、こうして笑っていられるのも 皆さんのおかげです こちらこそ感謝しています」
「天女殿にそう言って貰えるとは、まさに天にも昇る気分じゃ
ガッハッハッハ」 豪快に笑う信玄
「食べ歩き。。。いえ 私も見て回ってまいります」
「存分に楽しんで来られよ」
中庭に降りていく天女を見送る重臣達
「それにしても、巫女の衣装とは、考えたのう幸隆」
「はっ 帯が苦しいのではと考えまして 巫女の衣装を取り揃えましたところ 気に入って頂けたようで 何よりでございます」
「しかし緋袴を天女殿が召されると あの緋色が目に痛いほどに眩しいのう 勝頼よ 幸隆のように気が回るのが おなごに惚れられるコツじゃ」
「拙者も、食べ歩いてまいります」
逃げるようにエヴァの後を追う勝頼
「逃げおったか ときに昌豊よ 越中の一向一揆の方は、どのような塩梅じゃ?」上杉謙信を抑えるための加賀、越中の一向一揆への援助等を内藤昌豊が担っていた
「はっ 昨年の垂尻坂の敗戦以降勢いが衰え 上杉に鎮圧されるのも時間の問題かと。。。」
「椎名康胤の尻を叩かねばならんな わしに考えがある
後ほど話そう 皆も飲め!」
「忠勝!本当にお前は、化け物だなハッハッハ」
「お主にだけは、言われたくない!」杖を突きながらではあるが
人の手を借りずに、中庭へと降りてきた本多忠勝を見つけ
早速、声を掛けるルイ
「天女様の話では、一月はまともに動けぬということだが
7日ほどで歩けるようになるとはのう」
「これは、山県様 明けましておめでとうございます
我が殿が わずかな共だけで尾張へと向かっておりますのに
いつまでも寝ているわけにもまいりませぬ」
山県の目を直視できずに、どこか視線を泳がせながら話す
「新年だ! 戦のことは、それぞれの働きをしたということ
甘利の事は残念じゃが 貴殿の叔父上も残念であった
水に流す事は出来ぬであろうが お互い恨みっこは無しだ」
『もし甘利が首を落とされていなければ、甘利か忠勝 お館様は、どちらの死に戻りをお願いしたのだろうか? 。。。考えるまでもないことか。。。』
「はい そのように心得ております」
「早く 元気になれよ! 稽古をつけてやるぞ イッヒッヒ」
ルイが忠勝を、茶化す
「今すぐでも、構わぬぞ」杖をルイの鼻先に向ける
「弱い者いじめは、天女様に怒られるからな」
「そう言えば 後ほど、天女様にお礼がしたい 仲立ちしてもらえるか?」
「いいけど 気にするなって言われるだけだぞ」
「確かに、天女様なら そうおっしゃる」したり顔で頷く山県
「あっちにいるぞ? 行くか?」聴覚を強化して耳を澄まし
徳本がエヴァを呼ぶ声を拾った
「天女様 もうそのくらいにされたほうが。。。」
「徳本先生がすすめたんです 責任を取ってください!」
諏訪勝頼の声も聞こえる 声の方向を見る
「行かないほうが、いいと思うぞ」山県と忠勝に告げる
「どこにいらっしゃるのだ?」視線を巡らす 忠勝
「あそこの酒樽の前だな 悪いが俺は行かない。。。」
「仲立ちしてくれるのではないのか?」
「酒癖がな。。。」なにかを思い出し震える ルイ
「ならば拙者が一人でご挨拶をして参ろう」
可哀想なものを見る目で見送る ルイ
「それほどに酒癖が悪いのか?」山県が聞いてくる
「いきなり股間を握られてな。。。硬化魔法を掛けられた事がある エヴァが素面に戻るまで小便も出来なかった」
遠い目で話す ルイ 黙って青ざめる 山県
酒樽の前に猿回し以上の人垣が出来ており
人混みをかき分けて ようやく天女様を見つける
徳本先生の白く長い顎髭を鷲掴みにし
「鳴いてみろ トクホン!!」
「めえ〜〜」 爆笑に包まれる
そっと もと来た道を戻る 本多忠勝




