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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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尊天の加護

100回に届こうかという死に戻りの時

対峙する大天狗の手に十文字槍は無く、大天狗の額に斜めに刀傷が走る

「本多忠勝 よくぞ人の身でありながら、大天狗の身体に一太刀を入れることが出来た」

天よりの声が、忠勝の脳内に響く

「その額の傷は、拙者が付けたものなのですか!?」

「ふむ 見えてはいなかったのか?無理もないか、すでに絶命した後の一太刀だったな

いずれにしても、この試練を初めて乗り越えた者と言う事だ 

そう言われても実感が無かろう? 貴様の脳内に再生してやるから見てみるがよい」


目の前に自分と大天狗が居る 大天狗が上段より振り下ろした十文字槍を、下段より

蜻蛉切りを当て逸らす 遠目で見ていても、目にも止まらぬ一撃をよくぞ逸らせたものだと自分に感心をするが、大天狗が引き戻した十文字槍の鎌の部分で太腿を抉られ

その痛々しさに、顔を歪める 傍観者の忠勝 

大天狗に向かい、寄りかかるように体勢を崩す忠勝に瞬きの暇もない速度で、右から左に払われた十文字槍の穂先が、忠勝の首を胴から切り離し、続いて蜻蛉切りを持った右腕を

肘の部分で切断する

崩れ落ちていく身体、ずれ落ちる頭部、落下する右腕には未だ蜻蛉切りが握られ

左腕だけが強固な意思を持って、落下する右腕の肘を掴み跳ね上げる

まさに虚を衝かれた一撃、蜻蛉切りの穂先が地面で跳ね、切断された右腕がしなり

大天狗の額を穂先が掠める。。。少し離れた地面にどさりっと落ちる右腕と蜻蛉切り

どくどくと血を流しながら、倒れ伏す頭部のない自分の身体

この先、何百回と対峙することがあっても 大天狗の身体に触れる事も出来なかったと

傍観者の視線で確信する 大人と子供以上の差があったと、奇跡の一撃だったのだと

地面に転がる、自分の首と目があったところで、現実に戻される


「どうじゃった?」

「自分の骸を見るのは、気分の良いものではありませんな。。。あれは奇跡に奇跡が重なった一撃でした しかしあれしか手が無かったのです」

「そうじゃな よかろう本多忠勝! 貴様に尊天の加護を授けよう 貴様の不屈の精神と意思が尊天の力を行使するに相応しいと判断する」

「ありがとうございます!では、もう帰ってもよろしいのですか!?」

「そう慌てるな 貴様の生身の身体では、尊天の力を行使する事は叶わぬ これより

貴様の身体を1から作り変える事になる 目の前の、大天狗の身体が貴様の物となるぞ」

大天狗の頭から爪先までをまじまじと見つめ、複雑な表情を浮かべる 忠勝

「頭の中までは、弄られないです。。。よね?」

「反応や処理速度を上げるために脳まで弄る事になるが、記憶や感情は今のまま変わらないので安心しろ」

「それを聞いて安心しました。。。」

「では、始めるが地獄の苦しみを味わう事になる。。。覚悟はしておけ」

「えっ!? ここまでで十分に地獄の苦しみでしたが。。。」



晴明神社を後にした エヴァ

「今日は、日曜日ですね 久しぶりに鳴海城によってから 岐阜城に行っても

みんなよりも早く到着しますね。。。行きますか。。。」

などと独り言ちり、鳴海城へ進路を変える これまでであれば、京から鳴海城まで

半日を費やした道程も、羽衣を纏ったエヴァなら1時間ほどで走破する距離だ


鳴海城 北曲輪 天女堂

毎週日曜日、一般の民に開放され 等身大の天女像に祈りを捧げるためにエヴァが不在にも関わらず 毎週大勢の人が訪れる 中央に設置された長椅子に腰を掛け祈る人々

その外周に規則正しく並び、入り口から正面最奥に設置された 

等身大天女像に救いを求める人々 痛む患部を晒す者 病を患った者 天女像の額には

治癒魔法の込められた殺生石が嵌め込まれており 傷や痛み、軽い病であれば

癒やすことが出来た 長年患っている持病などは、毎週通うことにより改善されたと言う声が多数届いている その為に城下、近隣の農村だけに留まらず 東海、畿内、関東等からも人々が訪れ 鳴海城下では、宿屋の増築や建設が相次いでいた

そしてこの日も、朝の早い時間から、人々が訪れていた


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m(_ _)m

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