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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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大天狗2

「よかろう 少し話をするとしよう」

目の前の、大天狗が羽団扇で忠勝に風を送ると痛々しかった手足の指が完治し

小袖青袴のいつもの装束に身を包まれる

「なっ!?」

「我は、この国の民より“護法魔王尊”と呼ばれている お前は、すでに“毘沙門天”と

“千手観音”の加護を授かっているのでな、もしも我の加護を授かる事が出来れば

三位一体“尊天”の力を行使できるようになるやもしれん」

「その為に、ここまで参りました」

「よく聞け忠勝、尊天という力はな、この世界の者共では、抗いきれぬ厄災に見舞われた時に、この世界の均衡を崩す者を排除する為に、天界の遥か上 この世界を統べる者の

大いなる意思が与えてくださった秘儀だ お前が、ここへ来たことは、お前の意思でもあり 我らの意思でもあるのだ 我らは、お前が尊天の力を得るに相応しいのか見極めねばならんし、お前は、それに応えねばならん」

「元より、そのつもりでまかり越しました」

「お前の覚悟は見せてもらった 心弱き者、覚悟無き者に、この塔は登れぬからな 

お前が、火竜と呼んでいる者共は、この世界に存在してはならぬ生き物だ まさしく

抗いきれぬ厄災と言えるだろう そしてもう一つ、お前の妻となった、あの女と仲間達もまた、この世界に存在してはならぬ生き物なのだぞ

もしも彼らが、この世界に刃を向ける事があれば それを排除する事が、尊天の務めとなる その覚悟が、お前にはあるか?」

「私の妻も、その仲間達も決して、この世界に刃を向ける事などありません!

しかし もしもそのような事があれば、その時には、この手で滅する事を約束します」

「確かに申したな 本多忠勝、この宇宙の意思を欺く事は出来ぬぞ よいな?

では、次の試練だ その大天狗と戦え!」

正面に立つ大天狗を見据える いつの間にか、羽団扇を腰に下げ 手に十文字槍を持ち

静かな動作で、右前半身となり大上段に構える 大天狗

それに対し、いつの間にか目の前に突き立った蜻蛉切りを手に取り 中段に構える 忠勝

大天狗との間合い3m、一歩踏み込めば互いの穂先の届く距離

大天狗の高下駄が土を蹴る 中段の構えそのままで首筋から鮮血を噴き出す 忠勝



岩村城 二の丸

食事を摂れるほどに回復し、昼食後に日課となる 午眠に就いている ルイ

そんなルイの頬を、妖狐の尻尾の房が、そっと撫でた気がした 浅い眠りの中

頬に手を当て、お玉がここには居ない事を思い出し 再び目を閉じる

“ルイ。。。ルイ。。。ルイ。。。ルイ。。。”

“お玉様か? もう戻ってきたのか?”

“ああ あんたに言っておきたい事が、あってね それだけ言ったら、すぐに帰るよ”

“なんだよ あらたまって”

“ルイ、あんたに頼みがあるんだよ あんたは、火竜を倒して もう十分に使命を果たしたろ?”

“なにが言いたいんだよ? まだバハムートとか言う、子竜が残っているだろ?”

“あの子竜達は、他のみんなに任せて、あんたは、ここで身体を完全に治すんだよ

たとえ完全に治った後でも、あいつ等とは戦わないと約束しておくれ”

“そんな事を、出来るはずがないだろ!? 今日のお玉様おかしいぞ!?”

“そうだね。。。ちょっとおかしいかもしれないね、あたしはね、あんたに死んで欲しくないんだって事を頼むから覚えておいておくれ”

“ああ 覚えておくよ 俺もお玉様には、死んで欲しくないからな”

“ありがとうよ そろそろ行かないとならないね。。。ルイ今まで楽しかったよ”

“そんな言い方やめろよ!”

ルイの目の前から ふっと姿を消す 妖狐


「お玉様!!」

がばっと半身を起こす ルイ

「ルイ どうしたのですか? 涙など流して。。。」

急に叫ぶルイに驚き 枕元に座る おりん

「夢か。。。? いやお玉様が夢に現れて、俺にバハムートと戦うなと。。。

戦えば死ぬと言いたげだった」

「お玉様が?」



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