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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
225/516

京都演舞2

落下している自分の正面に結界を創り出し それに激突することで急制動とし

それを足場に、羽衣に風魔法を纏わせ 100m以上も上空に居る 妖狐と夜叉へと向かい

結界を蹴る エヴァ



ここで待っていろと嵐山に降下して行く 天女を目で見送り

視線を戻した先に、夜叉の手の平が、自分の鼻先に触れようとしていた

《皇后よ これまでだ!》

《あんたもね!》

そう言い、ニヤッと笑った 妖狐の鼻先に、夜叉の手の平が触れた

《“我の血を以て この妖狐の生命の鼓動を止め給え ナウマク・サマンダ・ボザナン・オン・マリシェイ・ソワカ ナウマク・サマンダ・ボザナン・オン・マリシェイ・ソワカ      ナウマク・サマンダ・ボザナン・オン・マリシェイ・ソワカ”》

夜叉の手の平から、黒い霧が噴き出し 妖狐の全身を包む

見る間に、妖狐の光り輝いていた金色の体毛が、灰色に染まり 8本の尾は、力なく垂れその瞳から生気が失われていく

《これが余の最呪の呪文だ!地獄に落ちるがいい!!》

ところが、さらに激しく、夜叉の手の平から黒い霧が、吹き出し続け その手を振り解こうと

もがく夜叉 体中の皮膚がぼろぼろっと剥がれ落ち 抜け落ちた髪が風に乗り舞飛ぶ

《なぜだ!なぜ離れん!!??》

呪い返しにより、強制的に負の呪力を引き抜かれていく夜叉の体から急速に生気が抜けていく

夜叉の眼窩が落ち窪んでいき、体中の血液が抜かれたかのように枯れ果てて逝く

《呪い返しさ。。。一緒に地獄へ行こうじゃないか。。。》

わずかに開かれた眼で、夜叉を見る 妖狐

その刹那、妖狐の鼻先を掠め、夜叉の手首を切断しながら エヴァの放った風刃が妖狐と

夜叉を別ける 力無く落下していく2体 駆け上って来たエヴァは、妖狐の体を受け止め

結界の上に座り込み、枯れ果てた妖狐を胸に抱き 回復魔法を掛け続ける

《あたしに魔法は効かないって。。。言ったじゃないか。。。悲しむんじゃないよ

半分霊体だからね。。。数年で戻ってくるさ ルイによろしく言っておくれ。。。

短い間だけど。。。楽しかったって。。。》

「お玉様〜〜〜!!!!!」

強く抱きしめた妖狐の遺骸に、エヴァの涙が染みをつくっていく

妖狐の全身の力が抜け、最後の命の灯火が消えようとしていた その時

エヴァの記憶が呼び覚まされる 胸元に手を入れ

殺生石の欠片を見つめる

「これは、400年もの間 お玉様の妖力を吸い続けて

変異したはず これを媒介にすれば、治癒魔法が効くかも」

握りしめた殺生石を妖狐の胸に当て、慎重に治癒魔法を流していく トックンッ。。。。。。。。。。。。

トックンッ。。。。。。。。。。。。トックンッ

今にも消え入りそうだった 妖狐の鼓動が弱々しくはあるが、確実に鼓動を刻み始める

しかし美しかった毛並みは艶を失ったまま 目を覚ます様子もない

「これが呪いか。。。? 除霊をしなければいけない

誰? 誰が出来る?」

エヴァの居た世界には、呪いという魔法もスキルもなくアンデッドの使う【腐蝕】に症状が酷似しているが

微妙に、今の妖狐の状態とは、違和感を感じる

「おりんちゃん! おりんちゃんなら解呪出来るかもしれない!!」

結界の上に立ち上がると、妖狐を胸に抱き、殺生石を胸に当てたまま、伝書鳩を飛ばすために下鴨神社を目指し走り出す エヴァ



嵐山の森に落下し、背の高い杉の枝にぼろ切れのように引っ掛かっている 夜叉

《崇徳院様!崇徳院様!!》

ネボアが必死に呼びかけるが、崇徳院の返事は無い

《なぜ この体から出られない! 早くこの場を離れなくては、あの女が!天女が来る!》

半ばパニックになりながらも、兄弟竜に助けを求めるネボア




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