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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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嵐山の攻防

エヴァの目の前で、奥の院·魔王殿を包み込んでいた 漆黒の球体が、急速に縮みはじめ

元から何も無かったかのように 消えた。。。

そしてそこには、何事もなかったかのように魔王殿が佇む 拝所に座していた忠勝の姿は

そこには無い

おもわず一歩、魔王殿へと足を踏み出す エヴァ

姿は見えずとも、隷属の契約により忠勝が生きている事は、わかっている

これは、忠勝の戦いであり 自分が踏み込んで良い戦いではない。。。

奥歯を噛みしめる! まさに苦渋の決断! エヴァの端正な顔が歪む

踵を返し、妖狐の待つ鞍馬山の麓へと、後ろ髪を引かれる思いを断ち切るように走る



《なにを泣きそうな顔をしているんだい!?》

「お玉様。。。忠勝殿が、魔王殿に入ってすぐに消えてしまいました。。。」

《ほ〜う それは試練を受ける資格があると認められたって事だよ おりんから

毘沙門天と千手観音の加護を授かっているのだから 当然かもしれないけどね》

「忠勝殿は 今は、どこに居るのでしょう?」

《戦っているのさ その相手は、自分であり毘沙門天であり千手観音であり護法魔王尊でもある 心の、思いの強さを武器に戦っているのさ》

「忠勝殿は、負けませんよね!?」

《それは、あんたが1番わかっている事だろう? 信じて待つよりないのさ》

「はい 思いや覚悟の強さならば、誰にも負けないと信じています」

《あたしは、野暮用を済ませに行くけど、あんたは。。。来るなって言っても来るんだろうね〜?》

「はい 参りましょう! その為に戻ってきたのですから」


再び妖狐の背に乗り、西の地を目指す

京の都を抜け、·嵐山上空で速度を緩めると八本の尾を広げ滞空する 妖狐

《来てやったよ! いい加減に、その胸糞の悪い瘴気をあたしに向けるのは、止めてくれるかね? 相変わらず、人を呪うだの恨むしか能が無いようだね?》

目の前の空間が、わずかに歪み 空間が裂ける その裂けた空間から両腕が突き出し

裂け目を広げるように両腕を広げ、白髪の頭部が現れる 2本の角に見開かれた双眸

口角の上がりきった、耳まで裂けた口 ぼさぼさと腰まで伸びた髪を逆立て

その全身を現す

《ちょっと見ない間に随分と変わり果てたようだね? あんた本当に崇徳院かい??》

《皇后よ 余は讃岐に送られ 生きながら夜叉となった 余を陥れた連中を呪い殺すためにな 時間は掛かったが、貴女を滅すれば 余の本懐を遂げる事ができる》

《信じないかもしれないけどね、あの頃のあたしは、ちょっと悪戯が過ぎたと反省してるんだよ 手に入れた権力を手放さないという欲求を抑えきれなくてね

あんたになら討たれてやってもいいと思ってるんだが、あんたが取り込んだ異界の者を

野放しには出来ないのさ

悪いが、あたしと一緒にここで果ててくれるかい?》

「お玉様!なにを言っているのですか!? お玉様を失うわけには、いきません!」

妖狐の背に乗るエヴァが、独鈷杵を掲げ 球状の封印の中に夜叉を捕らえる

《面白い力を使う女を飼っているのだな よく聞け女! その妖狐は、人を意のままに

操る事を、無常の喜びとする外道だ 悪いことは言わぬ、早々に手を切るのだ》

「これ以上 私の大事な仲間を、お玉様を侮辱する事は、許しません」

《崇徳院様!あの女は、舐めてかかると痛い目をみます!》

《ネボア、黙ってみておれ!》

封印を破ろうと鋭い爪の伸びた右腕を振り上げる 

しかしそれよりも早くエヴァの魔法が封印内を支配する

「重力魔法!【圧縮】青龍!私に力を!!」

エヴァの握る独鈷杵が青白く光を発し 球状の封印内に黒い波動が渦を巻く

夜叉の振り上げようとした右手が、重力に屈してギシギシっと音をたて下りていく

球状の中心に向かい圧縮される重力の中 夜叉の腰が曲がり、膝が折れ、顎が胸元へと

めり込んでいく 封印内を、夜叉の全身の骨がギチギチっと悲鳴を上げる

《天女。。。あんた随分と凶暴になっていないかい?》

「今日は、ちょっとむしゃくしゃしているものですから。。。」

妖狐の背の上で、ぺろっと舌を出す エヴァ


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