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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
222/515

奥の院·魔王殿2

また遅いです 集中豪雨で停電してしまいまして まだ復旧せず

知り合いの家で、wifi借りていますwww

鞍馬寺·本殿より奥の院までの1km近い道程を、一歩一歩噛みしめる様に指を絡ませ歩く 

エヴァと本多忠勝

「本当に決して無理は、しないで下さいね」

エヴァが、この台詞を口にするのは、鞍馬山の麓から数えて 7回目だ

「貴女を遺して、絶対に死にません!!」

忠勝も7回目となる、この台詞で答える


木の根が地表を這うように入り乱れた 木の根道を抜け 奥の院への参道を登る

まるでこの聖域が自然の理から外れる事を許されたかの様に、木々が複雑に絡み合い

助け合い、慈しみ合っているかの様な不思議な光景を目にしながら

奥の院·魔王殿の石灯籠に迎えられる

「ここからは、一人で行きます」

「本当に決して無理は、しないで下さいね」

「貴女を遺して、絶対に死にません!!」

「約束ですよ」

「約束です」

いつもより長い接吻の後 一人奥の院へと入り 拝所に座り込む 本多忠勝



離れて、忠勝の後ろ姿を見守る エヴァ

魔王殿に近づくにつれ、忠勝の背中から覇気が立ち昇っていくのを、エヴァは眼を凝らして見ていた

毘沙門天の赤い覇気と、千手観音の黄色い覇気が、立ち昇り、そして混ざり合い橙色の覇気となって全身を包み込む、忠勝が魔王殿に足を踏み入れた瞬間

魔王殿全体が、漆黒の球体に包まれ その内部だけが常世では無く、天界のさらに上

人も神さえも、何者もの意志の及ばない宇宙と呼ばれる世界に呑み込まれた

エヴァが忠勝に掛けた、強化も結界魔法も、同時に霧散した事を感じ取り

狼狽するが、忠勝の気配が、そこにある事に胸を撫でおろし ふ〜〜っと長い息を吐く

ともに魔王殿に入ろうという衝動に駆られるが、何者も足を踏み入れることは叶わないと

理解していた 待つより無いのだと。。。


そんなエヴァの心境をよそに、忠勝は未だかつて無いほどに落ち着いていた

殿内を見渡す、小ぶりな魔王殿の外観からは不釣り合いな程の、巨大な天狗の像が

忠勝を見下ろしている

山伏の装束に一本歯の高下駄を履き、右手には羽団扇を持ち、首から結袈裟ゆいげさ

を下げ 真っ赤な顔面に握り拳2つ分もあろうかという鼻が突き出す

なぜ入ってきた時に、気づかなかったのかと首をひねる忠勝が、天狗の顔を凝視していると、浮き上がった血管に血液の流れを感じ 髭に隠れた口元からは、吐息までもが聞こえる気がした

気を取り直し、妖狐に教えられた真言が書かれた紙を取り出そうと胸元を探るが

その紙が手に触れることはなく、着ていた着物までもが、まるで蒸気のように消えていく

忠勝の脳内に、初めからそこにあったかのように尊天の真言が浮かび上がってくる

忠勝が今見えている物は、魔王殿の殿内では無く大天狗のみが浮かぶ、漆黒の世界

目を閉じ禅を組む ひたすらに真言を唱えよ、妖狐と双念の言葉に従い 一心に唱える


“オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ

オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ

オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ 

オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ

オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ” 


閉じた忠勝の目に、広大な闇が広がる すべてが飲み込まれそうな闇。。。闇。。。闇

自分の身体も手も足も頭も髪の毛の一本さえも、存在していないと思える程の闇。。。


“オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ

オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ

オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ 

オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ

オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ” 



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