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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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尊天

「まったく!あんたらよくお聞き、そもそも毘沙門天と千手観音の加護を人に与えたのは、おりんの母親である鈴鹿御前が、当時の将軍だった田村丸に与えたのが最初さ」

「確かに、その話はおりんちゃんから、聞きました」

「田村丸は、その力を使って大嶽丸を討ったのさ 大嶽丸から聞いた話では、どれだけの大嶽丸の攻撃もすべて千手観音に防がれ 田村丸の一撃が毘沙門天によって数千の太刀になって降り注いだって話さ」

「おおっ!!田村丸殿は、どのようにして、その力を使いこなしたのでしょうか!?」

忠勝と妖狐の間にいるエヴァを押しのけるように身を乗り出す 本多忠勝

「それは、あたしも知らないよ おそらく大嶽丸もおりんも知らないだろうね」

「それは。。。残念です」

「ただ あたしが言えるのは、その力では、火竜の子らには、勝てないだろうって事さ」

「大嶽丸様を討つほどの力でも。。。ですか?」

「母竜や大嶽丸には勝てるかもしれないが、子竜バハムートには勝てないね、次元が違うのさ 残念ながらね」歯切れが悪そうに言い切る 妖狐

「お玉様?何か隠していますね?」

妖狐の目を覗き込む エヴァ

「なにを言い出すんだい。。。このあたしを脅すとは、わかったよ、あたしの知ってる事は、教えるよ でも本当に、あんたの旦那が、人じゃなくなるか、死んじまうかもしれないんだよ?」

「私の旦那様は、そんなに弱い方ではありません!!」

「是非とも教えて下さい! 天女様やみんなを守れるのならば、怖い物などありません」


渋々といった様子で、口を開く妖狐

「本来、あらゆる魔を降伏させる【尊天】(そんてん)という力は、三位一体の力なのさ 太陽の精霊·光を司る【毘沙門天】と月の精霊·愛を司る【千手観音】、それにもう一つ

大地の精霊·力を司る【護法魔王尊】この三位が揃って【尊天】となるのさ

人類が、この星に生まれたと同時に、天界よりもっと遥かに高い所から 人類誕生を祝って

あらゆる魔を退けるためにと与えられた力だそうだよ 650万年の間 どのような厄災に見舞わられようと、毘沙門天や千手観音それぞれの力を借りようとも 決して三位一体

同時には、一度も使われなかった力さ、使える者が居なかったとも言えるね」

「なぜ鈴鹿御前様は、その三位一体の加護を田村丸に与えなかったのでしょう?」

「そりゃ怖かったんだろうね あまりにも強すぎる力だ、愛する男に使って欲しくなかったんだろうね」

「それは、どうすれば、尊天の加護を頂けるのでしょう?」

「在る場所で、真言を唱え続けるのさ ただひたすらにね その真言ってのが “オン バサラ ダルマ キリベイ シラマナヤ ダルマ ハラマソ バミウン ソワカ” これが、三位一体、尊天の真言さ」

「ちょっと待って下さい 書きますので! 少々お待ちを」

筆記具を取りに走る 本多忠勝

「場所は、連れて行ってやるから用意をしな どうせ通り道さ」

「お玉様は、何でもご存知なんですね?」

「あたしが何年生きていると思っているんだい? しつこいようだけど、あんたの旦那

全く違う人間になるかもしれないんだよ いや人間でさえ無くなるかもしれないよ」

「あの人が、大丈夫だと言えば、大丈夫だと信じるのが、私の役目です

それでも、もしもの事があれば 私がなんとかします」

薄く笑う エヴァ



《崇徳院様、ここで待っていれば あの妖狐は現れるのですか?》

崇徳院に取り込まれたネボアだが、自我は失われておらず このように脳内で会話をすることも可能であり 御嶽山に居る兄弟竜の様子を伺うことも出来ていた

さらに崇徳院の記憶も断片的に流れ込み 語っていた話がすべて真実であり

妖狐を滅ぼした後には、この身体の主導権を譲るという話も信じられる気がしていた

逆に自分の記憶どころか考えている事さえ 崇徳院に見透かされている事も理解していた

「ああ あの女狐は、余がここに居る事も、すでにわかっておる すぐにも飛んでくるだろう」


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