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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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2つの月

京の都に向かうという妖狐を、なんとか全員で説得し 1日の猶予を取り付ける

「旦那様、私達はみんな、もっと強くならねばなりません。。。」

陽も落ちた大垣城、10月に入り随分と涼しくなった縁側で2人で月を見上げている

「ああ お玉様は、それを伝えたかったのでしょう」

「お玉様は、おそらく一人で京に行き、その因縁の相手との方をつけたかったのでしょう

しかしそうすると、自分も生きては帰れないのではと。。。

自分が居なければ、私達の火竜との戦いが大きく不利になると考えたのでしょう」

「関ケ原で戦った あのベヒーモスよりも、それほどまでに強くなっているのか?」

本多忠勝は、関ケ原でベヒーモスに一太刀浴びせたが、表皮に傷一つ付ける事が

出来なかった事を思い出す

「お玉様の、あの表情は、今の私達では、勝ち目が無いと。。。そう物語っていました」

「強くなりたいな。。。いや天女様を守るために強くならねばならんな。。。」

月を見上げながら 独り言ちる 忠勝

「そういえば、言っていませんでしたけど私の生まれた国では、2つの月があるのですよ1つは【ルナ·アモー】もう一つが【ルナ·ソーノ】毎夜12時に高天で重なり合うのです

何百年も何千年も何万年も昔から、そしてこれからもずっと。。。」

「天女様の生まれた国に一度行ってみたいな。。。その月も見てみたい。。。」

2人だけになれる、この時間が大好きだった もちろん仲間と共に過ごす時間も大事だが

人並みな幸せを噛み締められる この時が、2人には、かけがえのない時間だった

「明日も早いです そろそろ休みましょう」

天女様呼びを禁止すると、まったく会話が続かず、もう変えられぬと、観念したエヴァだった 過度な敬語が無くなっただけマシだと。。。


翌朝 広間で朝食を摂っている席に美福門院の姿で現れる 妖狐

ほぼ全員の箸を持つ手が止まり、あまりの美しさに「「「「「「「ほ〜っ」」」」」」」

という溜息が漏れる

「みんなと一緒に食事をしたくてね」

そう言い、エヴァの横に腰を下ろす 妖狐

妖力でお玉様だと気づいた天武の子供達が寄ってくる

「お玉様!お美しいです!!」

「何をどうしたら そんなに綺麗になるのですか!?」

「こんなに綺麗な人、初めて見たぞ!!」

「天女様と並んで座られると、ここが現実の世界だと信じられないのだが!?」

ちょっとした騒ぎとなる広間

「あんた達、世辞は良いから さっさと食べちまいな! 今日も修練があるんだろ!!」

「あの話し方は、間違いなくお玉様だ。。。綺麗な女の人に変幻しても、話し方は変わらないんだな〜勿体ない。。。」

「満腹丸!!聞こえてるよ!!」

「ひっ!? すいません!!」

蜘蛛の子を散らすように自分の席に戻って行く 子供達


「昨日 話した通り、これを食べたら、京に行ってくるよ」

箸で、焼き魚を上品にほぐしながら言う 妖狐

「お玉様 教えて下さい 私達は、どうすれば今より強くなれますか?」

「あんた達は、十分に強いよ 人の域をはるかに超えるほどにね」

「でも、今のままでは、火竜の子らに勝てないと。。。お玉様は、思っていますよね?」

箸を止めて エヴァを睨む妖狐

「あたしはね、九尾になれば、この世に勝てない者など居ないと思っていたよ

でもね、今御嶽山に居る、あの2匹には勝てる気がしないね そもそも九尾になる方法も解らないんだけどね、出来る事なら、あんた等には何処かに逃げて欲しいと思ってるよ」

「逃げるという選択肢は無いのです!私達が出来る事を、教えて下さい!!」

必死の形相で食い下がる エヴァ

「天武の子供達を別にして あんた等の中で、唯一伸び代が残っているのが、あんたの

旦那じゃないか おりんから毘沙門天と千手観音の加護を分け与えられたんだろ

今のままじゃ宝の持ち腐れさ」

「お玉様は この力の使い方を知っているのか!? お願いだ!教えてくれ!!」

「忠勝や あんたがおりんから与えられた力は、本来この世界の力では無いんだよ

あんたがあんたじゃなくなる。。。あんた人で無くなるんだよ?」

「構わない!みんなを救えるのなら!!」

「あんたの天女を好きだという気持ちも無くなるかもしれないんだよ?」

「それは、無くならない! たとえこの身体がちりとなろうとも 天女様を好きだという気持ちは、絶対に無くならない!!」

「旦那様。。。声が大きいです。。。」

頬を染める エヴァ

やれやれと箸を置く 一同


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