妖狐の憂い
妖狐は、エヴァ達の居る大垣城に向けて飛んでいた
北東の御嶽山に居る2匹の竜に動きがない事を感知し、遠く西の都に居るネボアを感知
していた時に、ネボアの気配が何者かに呑み込まれた事を察した
遠い昔に感じたことのある気配。。。生きながら夜叉となり、死後に怨霊となった者
この気配は間違いない!! 崇徳院か!!??
その崇徳院がネボアを取り込み何をしようというのか?
まさか、このあたしに復讐をするために?
このままエヴァの居る大垣城に行くか。。。
京の都に真相を確かめに行くのか。。。迷う妖狐
《あの子達の顔だけ見たら 京に行くとするかね》
高空を飛びながら 独り言ちる
ちょうど修練中だった天武の子供達の邪魔にならぬように、少し離れた垣根の後ろに降り立つ
「「「「「「お玉様だ!」」」」」」
子供達の気配探知も、随分と上達したようで、意味が無かったようだ。。。
「お玉様 体の方は、もう大丈夫なのですか?」
《ああ ありがとうよ茶々 すっかり元気になったよ》
「ルイの具合はどうでしょう?」
《あと一週間もあれば、動けるようになるだろうけどね 戦えるようになるには、もうしばらく掛かるね ブルートあんた等に話があって来たんだけどね ちょっといいかい?》
本多忠勝、エヴァ、アラン、ブルートの4人を引き連れ 二の丸の縁側に腰を下ろす
エヴァの膝の上に飛び乗ると、みんなの顔を見渡し話を始める
《あんた等、それぞれ気配探知を使えるんだろうけど、ここから御嶽山は探知出来ているかい?》
お互いに顔を見合わせ、首を振る
「お玉様 私達の、気配探知は10kmほどなので御嶽山どころか、京の都にも届きません」
《そうかい あたしゃ尾が8本になってから、大きな魔力なら、かなりの距離を探知できるようになったんだけどね 岩村城から御嶽山に帰った火竜の母竜は死んだよ》
「「「おおっ!?」」」
「ルイが討ち取っていたのですね!?」
《そう言う事になるんだけどね 母竜が死んですぐに、子竜2匹の魔力が、急激に大きくなったんだよ いろんな物の怪を見てきたけどね そのどれとも比べ物にならないほどにね》
「それは、具体的にどれほどの魔力量でしょう?」
《あんた等が先日ここで 空から巨石を落としただろう? あれに使った魔力量を奴らは、一匹で超えているね》
あの日の事を思い出したのか、青ざめる 一同
「一匹であれを超えるなど。。。」
《これは、あたしの憶測だけどね ネボアとか言う霧の魔獣だけどね、あれが2匹の
火竜を操っているね 2匹それぞれに憑依しているんだと思う
と言うのも、岩村城での戦いの際、あの2匹にネボアが入り込んだと思ったら
それまでは、ただの魔力が大きいだけのデクの棒だったのが、急に洗練された動きになり、知性まで感じられたからね》
「つまりネボアは、分身をする事も出来るという事ですか??」
《さっきも言った通り憶測だけどね、さらに別のもう一体が、京の都へと飛び
またとんでもないのに取り込まれたんだか、融合したんだか知らないけどね
それを確かめたくて、いても立っても居られずに岩村城を飛び出して来たのさ》
「お玉様よくそれを教えに立ち寄ってくれました そのまま京に飛ぶかどうかを迷ったでしょうに」
《あんたらの拙い気配探知では、まだあたしは、死ぬわけに行かないようだからね
大嶽丸もあたしも死という概念など無いから、死んでも数年後には、蘇るけど
その時に、あんたらみんなが死んでいたら後味が悪いからね》
「そりゃ、奴らの動きを常に把握できる、お玉様が居るのと居ないのでは、大きな違いだ 出来れば、奴等を撃つまで行動を共にして貰えないだろうか?」
ブルートが妖狐の顔を覗き込む
《そのつもりなんだけどね さっき話した もう一体のネボアが取り込まれたのが
あたしの昔の、因縁の相手みたいなんだよ 昔は随分と人の道に外れた事をしていたからね。。。それを確かめに行きたいんだけどね》
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