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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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崇徳天皇

《この国の、頂に立たれていたのですか?》

《今のように廃れきった朝廷でなく、隆盛を極めていた時代のな。。。》

《帝と言われれば、神にも準じるお方が、なぜこのような所で?》

《異界の者に語ったところで詮無き事だが、余は75代天皇として幼き頃より、この国の頂点となるのだが

政の実権は、我が父である鳥羽上皇が握り続けておった その事は、余にとっては問題ではなかったのだが

父である鳥羽上皇は、余が、母である待賢門院と祖父との子供であると思いこんでいたようで、随分と冷遇されておった しばらくすると、その父が、美福門院という女を寵愛するようになる 後で思えば、その時より余の受難が増すことになるのだが

美福門院との実子に譲位を迫られ、譲位後には、新天皇が弟であるために院政を敷くことも叶わず 何の実権もないまま鳥羽田中殿で鬱々と過ごす事になる

お前にとっては、興味の無い話であるな? 話しすぎたようじゃ》

《いえ そのような事は、有りません 大変興味を唆られる話です 失礼ながら75代

天皇という事は、崇徳天皇にあらせられますな そのような方にお会いでき恐悦至極

にございます》

内裏に出入りしている者に、憑依した際 天皇家の歴史等もネボアの頭に流れ込み

どのような性なのか、あらゆる知識を欲するネボアにとって、崇徳天皇の話は、興味

深いものであった

《ほ〜 余を知っておるか? お前の方こそ興味深いのう まぁ良い

その後、鳥羽上皇が崩御されるのじゃが、余は、その死に目さえも立ち会わせては貰えなんだ 唯一の院であった余に実権を握られることを恐れた藤原忠通・院近臣等の策略により 余をたてる貴族らと後白河天皇側との保元の乱が勃発し 余は敗れ 讃岐に流刑となる 皇族が流刑など考えもしなかった事じゃが 余はすぐに戻れるものと思っておった

しかし余を貶めた連中は、余を都に戻す事など初めから考えもしないどころか

余が己の血でしたため、奉納するようにと送った写経までをも、呪われているとお繰り返してきおった!》

興奮してきたのかふーーっと一息をつく崇徳天皇だった者

《お怒りは、ごもっともです》

恭しく頷く ネボア

《そして讃岐の地で死を迎えるだろう事を悟った余は、恨みを抱えたまま、髪も切らず、爪も切らず 生きながら夜叉となる事を、選んだのじゃ!

余の望み通り、怨霊となった後は、平安京を大火で襲い、余を陥れた連中も、それに近しい連中もすべて呪い殺してやった!! しかしじゃ!!もっとも許す事のできない

美福門院だけは、余の呪いなど通じんかった。。。奴は、人間では無かったのじゃから

すべては、あの女が、自分に権力を集める為の遊戯だったのだ 余も、余を陥れた連中も、すべては美福門院の、遊戯の盤の駒だったということじゃ!!》 

《もしや美福門院と言うのは、九尾の》

ネボアが、そう考えに至った瞬間 夜叉の腕がネボアを捕らえようと、目にも止まらぬ速度で伸びてくる

気を緩めていたネボアは、逃れる事は困難だと判断する 憑依できるのか?

《すまんが、九尾の妖狐を滅する為に余に力を貸せ! お前を取り込む事で、余は実体を得る事が出来るのだ!!》

ネボアは、憑依する事は出来なかった 崇徳天皇だった者に取り込まれてしまったのだが

不思議な事に心地が良かった 何度も願った実体を持つという全能感に包まれ

物理的に肌で風を感じ、木々の匂いを知り、体中に力が漲ることを感じた

《だまし討ちのようで悪かったが、余の望みは妖狐を葬る事だけじゃ その後は、この体は、お前の好きにすると良いぞ この時代の人間共には恨みなど無いのでな》

ネボアには、その言葉を信じる事が出来た 妖狐を滅する事は、自分の理でもあり

2匹の兄弟竜とも意識を共有し続ける事も出来、何よりこれまで感じた事の無かった

居心地に心の底から満足していた


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