禁忌
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遺体と見惚れてしまうような絶世の美女
昨日まで凄惨を極めた 城内の一室
現実の境界が曖昧になり 目眩を覚える 家康
「これは、どのような趣向で?」振り返り信玄を見る
「最強の盾を見たくはないか?」信玄がそう言うと
真田幸隆、山県昌景が立ち上がり 遺体の置かれた部屋へと家康を誘う
布団を囲うように座りエヴァに一礼する
要領を得なかった家康だが 3人に倣い一礼をする
「では、天女殿 宜しくお願いします」信玄が目で合図をすると
天女と呼ばれた女が遺体に掛かった面布を静かに取り去る
「忠勝!? 信玄公 死してもなお弄ばれるおつもりか!?」
声を荒げる 家康
「そうではないぞ、この男は死すには、惜しいのでな
天女殿にお願いしたのじゃ」
「この方が。。。天女? お願いとは?」
「死に戻します」表情も変えずに はっきりと言い切る
「そのような事が?。。。。」
「わしの病もご覧の通り 完治しておる 黙ってみておれ」
「初めに、お断りしておきます これから行う行為は 自然の理に背く行為であり 禁忌だと言うことを了承してください
その禁忌を犯すのは、ここにいる本多忠勝殿が、この国を
再興するために欠かす事が出来ないと 信玄殿より強く頼まれた為です」 一同を見渡すエヴァ
「いくつかの条件があります まず肉体から魂が離れて24時間以内であること 寿命以外で死んだ者 肉体、精神共に人の域を超越した者 この条件が満たされない場合は、灰となり消滅します この条件を満たし 死に戻った場合は
体力、精神力共に大きく衰えています 1ヶ月程は、まともに動けないでしょう 生前の力を取り戻せるかは、本人次第です
それでもやりますか?」
「そのような条件で死に戻れた者はいるのでしょうか?」
家康が身を乗り出して聞いてくる
「居ますよ 皆さんもご存知のルイが2度 死に戻っています」
「えっ!? あのルイ殿が!?」「あの者を殺せる者が居たと?」
「まさか。。。天女様が手を掛けた??」想像を巡らせる4人
「若い頃に水龍神に殺され 1年後に
また挑んで殺され 更に1年後にようやく倒しました」
「倒した!? 龍神を!? 2度殺されても挑むとは。。。
確かに並の精神力ではない」
「ルイ殿を怒らせるのは、絶対に避けなばならん!!」
「24時間の縛りがあります 詠唱も長いので やるのでしたら
始めたいのですが。。。」
「天女様 この家康 忠勝を戻していただけるのでしたら
どのようなことでも 天女様の力となります 何卒」
「始めますが この部屋に居るのでしたら 喋らない
動かないように 術後 私も3日ほど動けなくなります
護衛をお願いしますね では」
一同固唾をのんで見守る
【天界に座します 遥かなる王 カドマス神よ その深き
輝きとともに 深遠なる天幽の力を我に与え給え】
忠勝の遺骸に乗せられていた杖が 緑色の光を放ち 浮遊する
その様を 目を見開き見守る4人
【$#%&℃†※÷=~?:※¶¤#%@&№§€#%&℃†※÷=~※¶¤#%@&№】
聞いたことのない言葉が延々と続く
【#@%$÷№§€※¶$%@#!¢№¶∆$µπ※€#@%¥℉‡№¤∆%#$@¿©£$】
天女の額から汗が滴り落ちる 胸の前で組んだ手から血の気が引いている事に言いようのない不安を感じる
【死したる者 カドマスの息子たる本多忠勝 健やかなる時に
いざ戻らん さあ本多忠勝なる魂よ 汝の器は今ここにあり
収まるべき 場所へと 今ここに蘇り給え】
天女の肩から力が抜け 血の気のない唇で笑みを作る
糸の切れた人形のように ゆっくりと突っ伏していく。。。




