名も無きベヒーモスの生涯
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異世界のダンジョンで産まれた ベヒーモスが命を散らした
それから数日の間、2匹のバハムート、フォゴとナーダは、傷ついた身体を癒やすため
あるいは、母竜·ベヒーモスの喪に服すかのように まんじりともせず火口内のさらに
奥へと潜り 尋常でない超高温に身を晒していた
ネボアは考えていた 自分達が存在する意味を、母竜を喰らったことにより
母の記憶の断片がネボアに流れ込んで来た ダンジョンと呼ばれる
音も光も無い閉ざされた空間で産まれ、冒険者と言われる、人間や亜人、獣人が
彼女の扉を開けるまで、時間の経過もない部屋で待ち続ける
産まれてから何十年。。。何百年かもしれない
その間に彼女の部屋の扉が開かれたのは、わずか数回
ほとんどの場合 母は、傷一つ負わずに勝利を収めた
たった一度だけ、8名の冒険者との数時間にも及ぶ死闘の末、不運な敗北を喫した
そして最後のダンジョンの記憶が、天女とルイと呼ばれる4人との戦いであった
戦いが3時間を超えたところで、母は渾身の息吹を放ち勝負を決めにかかった
それと同時に、ネボアの面識のないブルートという黒魔術師が
ダンジョンに掛けられていた封印に干渉し、母の部屋の魔力が暴走を始める
その後の彼女の記憶は、陽も挿さぬほどに深い深い水の中で四肢を魔力の鎖で拘束され
逃れようにも、魔力の枯渇した母には、数カ月もの間を、水中という最悪の環境で
ゆっくりと魔力が回復させるより逃れる術が無かった
魔力が回復するにしたがい、徐々にではあるが、四肢を縛る鎖を緩ませることが出来た
それから数日後 母は、初めての自由を手に入れたのだ
水中より飛び出し、野山を駆けた 目についた生き物を狩り、喰らう
遠く離れた地で、数万人もの人間が怒り、怖れ、悲しみ、あらゆる負の感情が入り乱れる
その土地へ向け、惹き付けられるように、駆けた
一歩一歩地面を踏みしめるたびに、ダンジョンの石畳とは異なる感触に歓喜した
目指した地で、数千の命を狩りとり喜びに打ち震えた しかしダンジョンで最後に戦った
4人を含む人間達の抵抗にあい傷を負う
しかしその場で、織田信長なる武将に取り憑いていた怨霊に出会う
共に人間を滅ぼそうと言う、呼び掛けに応える
もちろん拒否することは出来たが、彼の持つ知識や知能が必要だと判断し受け入れた
すると驚くべき変化が訪れた 翼を手に入れ、さらには受胎したのだ!!
子孫を残したいという思いなのか? 人間を滅ぼす為の戦力を欲したのか?
怨霊の人間に対する憎悪や恨みがどのように作用したのかは不明だが
母竜は、巣籠りの為に適した環境が必要であるという本能に従い
皮肉にもダンジョンの彼女の部屋に酷似した この山を自分の傷を癒やし、我らを育てるための巣に選んだ
卵を産み落とし、我らが孵化した時の喜びたるや、彼女が産まれてから得た
数多の冒険者を倒した時の喜び、自由を手に入れた時の喜び、それらをすべて足しても
まるで届かぬ 得られると思いもしなかった幸せを手に入れた
傷も癒えると 自分に感情や知能、そして子供を与えてくれた 怨霊の願いを聞き入れ
前の宿主である、織田信長を滅するために、この国の都へと飛んだ
予想していた抵抗も無く、数万もの命を狩り、目的を果たし我が子の元へと戻った
それから数カ月ここで、我が子の成長を見守った
順調に我々は成長し、自分以上の個体になると確信した母は、自分の命をも子供達の
糧となる事を選び、そのあまりにも長く。。。あまりにも短い生涯を閉じた
あの怨霊がどうなったのかは、誰にもわからない 母は、幸せだったのだろうか?
明晰となったネボアの頭脳が、ある考えに思い至った
母は、あのダンジョンで戦った4人と一緒に、こことは異なった世界から飛ばされてきたのではないか?
この世界の生物とは、まるで異なる生態を我らも、奴らも有している
様々な生物を捕食したが、魔力を持っている者は居なかった
我らと、あの4人を戦わせる事により
この世界が、どちらかを、あるいは特異な存在である我らすべてを淘汰しようとしているのではないか?
そうネボアは、思い至った。。。。。
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