炎と無
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おりんと手を握り、見つめ合っている場面をエヴァに目撃された 本多忠勝
「あっ!? こ。。。これは!!」
「天女様!こちらの本多殿が、突然私の手を握り、見つめてくるものですから。。。
決して、やましい事は、まだしていませんが」
忠勝の方を見て、エヴァには見えぬように顔を覆い舌を出す おりん
「なっ!? おりん様!なんと言うことを!?」
「旦那様。。。貴方は、私と手を握るだけでも、数カ月を要したというのに。。。
出会って小一時間でこれですか? 奥手なのかと思い油断していました」
「ち。。。違います!誤解なのです!! 拙者の愛する人は、貴女だけです!!!」
「「「「「。。。。。。。。」」」」」 やれやれと首を振る面々
「忠勝殿、声が大きすぎます からかわれているだけですよ それにしましても
おりんちゃんから、とても素敵な物を借り受けたようですね」
あまりの恥ずかしさに、顔を真っ赤にする 忠勝
「はい あまり実感は無いのですが、力が漲っているように感じます」
「きっと 役に立ってくれると思いますよ」
御嶽山 火口内
自分達が、生まれ育った岩棚に母竜·ベヒーモスを静かに横にする
気道を損傷しているのだろう“ヒューッーヒューッー”と空気の漏れるような音が
火口内に響く 自己再生能力を有してはいるが、奴らの武器で受けた傷は、治りが遅い
完治するのにどれ程の時を要すのか? 完治は、するのだろうか?
“喰うか!?”突然、そんな考えが頭をよぎる ネボアの思考なのか?彼等の本能なのか?
戸惑い、弟である黒いバハムートを見る 同じ事を考えていたのか、目が合い
同時に母竜ベヒーモスを見下ろす 並列思考を獲得したのだから当然なのか。。。
母竜の魔素を喰らい、成長してきたネボアの本能と言えるのかも知れない
喰うか?喰わぬか?
喰って獲られる物 膨大な魔力と母竜の培ってきた経験、そしてさらなる進化
それらが獲られる事を、ネボアは確信していた
今の自分達に決定的に不足している物
現時点で自分達は、母竜·ベヒーモスの力を遥かに凌駕していた
彼女を失ったとしても、戦力的に痛手では無い
むしろ先程の戦いのように庇う事で不利益を被る なのに
魔獣である自分が、肉親を喰うことに忌避を感じている事に戸惑い、驚く
母竜·ベヒーモスの目を鼻先を近づけ覗き込む
弱々しく、赤い光を放つ竜眼 その眼が2人のバハムートとネボアに語りかける
“貴方達は、この世界の生物の頂点へと立たねばなりません この私が居ては、足手まといでしかありません この母を貴方達の糧にするのです
母は、考えた事もなかった 自由と貴方達を手に入れました ありがとう”
念話ではない、もちろん話すことなど出来ない 眼で語っているのだ
一語一句違わずに、そう語り、そう聞き取る
ベヒーモスの竜眼が一瞬鋭く輝き そして少しずつ弱まり、やがて光を失う
自ら、生命活動を断ったのだ 3人の子供達に囲まれ。。。
ダンジョン核より戦うためだけに、いや冒険者の技量を測るためだけに
産み出されたような存在であるベヒーモスが自由を手にし、野山を駆け、生物を蹂躙し
子孫までも残した 満ち足りた幾度目かの死 もっとも幸福な死を静かに迎えた
2匹は、喰った!ただひたすらに喰った!!貪り食った!!!
肉の一欠片 血の一滴 母の想いの一片も無駄にはせぬように。。。
“ぎゃおおおおおおぉぉぉぉぉうううぅぅぅぅんんん〜〜〜〜〜〜”
火口内に、兄弟竜たちの恐ろしくも悲しい叫びが木霊する
2体は、進化を遂げた 抑えきれない魔力が溢れ出し 一回り小さくなった体躯からは
どのような物理も魔法による攻撃も決して通さないという堅牢さと俊敏さが感じられ
竜のそれよりも、人型に近くなった手足に大型化した翼がバハムートの最終型のようだ
お互いに名付けあった 赤いバハムートは[フォゴ]黒いバハムートは[ナーダ]と
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