表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
194/487

駆ける! 駆ける!



《あたしとした事が、とんだ失態を犯したようだね。。。》


2匹に止めを刺そうと戻った妖狐は、取り返しのつかない失敗をしたことに気づく

おりんを戦いの場から遠ざけようと。。。2体がすでに死に体であると。。。

後で、息の根を止めるのは、容易であると。。。


今 妖狐の前方で浮遊しているのは、山の中腹に横たわっていた2体の半死の竜でなく

妖狐を迎え討たんと、縦に長い竜眼をギラギラと金色に輝かせ

一回りも大きくなった体躯からは、離れた距離からでも、はち切れんばかりの筋肉の脈動が感じられ わずかの間に信じられない進化を遂げていた

《ただ1つだけ、良かったのは、赤と黒に色分けされて、見分けやすくなった事だね》

滞空していた2体が、一直線に妖狐へと突進してくる

重力をまったく感じさせない動きで、その場から急上昇すると追ってくる2体の足を止めようと、尾を大気に叩きつけ、突風を巻き起こす 妖狐

《さて困ったね この2匹を同時に相手にするのは、さすがに骨が折れそうだね。。。》



「ところでルイよ! おりんは、どこじゃ?」

「お玉様と一緒だから、大丈夫だと思うぞ!それより、両手から煙が上がっているぞ!」

ベヒーモスの突進を、その角を掴み受け止めるが 両手から煙が立ち昇っている


“幻影散棘!!”地上のルイから、土魔法で生み出された、童子切安綱の複製が数十本

ベヒーモスに向かい射出される

空気を切り裂き、ベヒーモスの下腹に迫る漆黒の太刀

その大半がベヒーモスの尾の一振りで砕かれるが、残った数本が下腹を抉り顔を歪ませる

そのタイミングで両手を角から離し、氷の大太刀を創り出すと上段から頭頂部に向け

振り下ろす大嶽丸 

“ガキッ!!”首を大きく捻り、角で大太刀を受け流す ベヒーモス

その勢いのままに、大嶽丸の腹部へと体を預け、超至近距離からの溜めのない火球を吐く

全身を炎に包まれながら、後ろへと飛び巨大な雨雲を呼び寄せる為の印を結ぶ

「相変わらず、でたらめな硬さだのう。。。」


その時、ベヒーモスと大嶽丸の間を巨大な炎の塊となった妖狐が、猛烈な速度で炎の尾を引き落下していく

縮地術で妖狐の落下地点に走り待ち構えるルイが、上空に突風を飛ばす“神風扇!!”

妖狐を包んでいた炎が一瞬で消し飛び 落下速度を抑える 

空中で反転するとルイのすぐ横に着地する 妖狐

「2人揃って火だるまとは、仲がいいんだな」

《馬鹿な事を、言っていないで背中にお乗り! 本番はここからだよ!!》

周囲を巨大な雷雲が覆い 文字通り桶をひっくり返した様な、大粒の雨が降り出す

燃え盛っていた城下の建造物が“ジュッ! ジュッ!”と音を立てて、鎮火していく



下鴨神社

ルイからの文を受け取ったエヴァ達は、アラン、ブルート、本多忠勝の4人でベヒーモスの目的地と思われるという、岩村城へ最大速度で移動していた

京から約200kmの距離、彼等の足を持ってしても6時間は掛かる道程であるが

羽衣を纏い、風魔法で推力を得たエヴァは、3人を残しどんどんと先行していく

まさに飛ぶように走る 残された3人も必死に着いて行くが、すでに背中も見えない


そして天武の面々は、武田信玄、真田幸隆、浅井長政の許しを得て

お雪の先導で大垣城に向け出立する


「貴方達が、戦わなければならない事態は、あまりにも早すぎますが

私達4人にもしもの事があれば、この国を守れるのは貴方達しか居ません

こんな力を与えてしまって。。。ごめんなさいね」

そう言い全員の頭を胸元に引き寄せ涙ぐんだ エヴァ

その言葉を胸に、一歩一歩大地を踏み締め 大垣城へと歩みを進める 天武の9人


「天女様は、絶対に死にませんよ 私の精霊ベラがそう言っています!

なのに。。。茶々の涙が止まらないのは、どうしてでしょう。。。」

「ああ わかっている! 誰も死なないさ 大垣城で皆さんをお迎えしないとな」

妹·茶々の手を握り、大垣城へと駆ける 満腹丸






ブックマーク&星で評価などして頂けると嬉しいですm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ