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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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ネボア覚醒

石段を登りきると、石垣に囲まれたに中庭へと足を踏み入れる

数名の女中たちが、水桶を手に忙しなく動き回る

白衣を着た、医師と思える壮年の男が、頭から血を流している老婆の目を覗き込み 

溜息をついている その背中に近づき、声を掛ける

「あの、お手伝いをさせてもらいます」

男は、振り向くと、この場にあまりにも不釣り合いなおりんの存在に一瞬目を剥くが 

落ち着いた口調で

「焼け落ちた家屋の下敷きになったらしい。。。子供の頃から、良くしてもらった方なのだが、手の施しようもない」

「大丈夫です 助かりますよ」

老婆の横にしゃがみ込むと、頭皮が裂け頭蓋骨が露出している部分に手をかざ

天女の癒やしの術に詠唱はない まるで時間が、逆戻りをしているかのように

裂けていた頭皮が頭蓋を覆い、何事も無かったかのように、傷が合わさり塞がっていく

さらに砕けていた鎖骨と肩にも、同じように手を当て紫色に変色していた痣までが綺麗に

完治していく

「えっ!? 貴女様は。。。いったい??」

「天女ですから、傷の重い方から治癒して行きます 手伝っていただけますか?」

「貴女が、あの噂の天女様でしたか 失礼いたしました では、あちらの子供を診ていただけますでしょうか」


天守に居る 秋山虎繁の元に報せが届く

「空より、少年のような男が舞い降り、あの竜と戦い 城下より、引き離して

複数の尾を持つ巨大な狐が2匹の竜を倒したと言うのか!?。。。にわかには信じられんが、城下より竜の姿が、消えたのも事実」

「殿!!」

従者の少年が天守へと駆け上がってくる

「今度はなんじゃ!?何があった!?」

「天女と名乗る、美しい女性が、怪我人の治療にあたられ、手を翳すだけで死にそうな者までが、回復しているとの事です」

「天女。。。? そう言えば、徳川家康殿の葬儀の際、お館様から天女様と龍神殺しの。。。なんという男だったか? 最強の盾と鉾が武田に降臨されたと話していたが

その二人が来てくださったという事か!?」

「殿!きっとそうに違いありません!」

「よし!城下に出て逃げ遅れている者が居ないか 手分けして探すのだ!!

わしは、天女様に会いに行くぞ!」


ルイを追い詰めることに夢中になっていたネボアだが、ふと気づくと2匹の兄弟竜の気配が探知できない事に気づき 慌てて高度を上げ、索敵を行う

目の前では、母竜と大嶽丸が対峙しているが、2匹を探す事が先決であると判断する

あと一歩でルイの息の根を止める事ができたのにと。。。忌々しく思いながら 飛び立つ


弱々しくなっている2匹の兄弟竜の魔力を辿っていくと、東側の山腹に横たわっている姿を見つける そして、そこに高速で近づいていく妖狐の姿も視界の端で確認する

ーこれは、不味い!!ー  ー絶対に駄目だ!!ー

一気に速度を上げるネボア ここで、あの2体を失うわけには、いかない!

あの妖狐は、訓練に訓練を重ねた猟犬だ

獅子と言えども、初めての狩場に出てきた2体では、敵わぬのも道理か。。。

ーどうする?ー  ーどうすればいい??ー

自分の魔力を与えよう! 外界を飛び回り蓄えた知識も、大嶽丸に一瞬だが乗り移った時に手に入れた戦いの駆け引きも あの2体の役に立つはずだ

霧の魔獣ネボアは、これまでにない苦境に立たされ、自分の中で何かのスイッチが入る音を聞いた気がした 何かを考える事なく 自分の身体を2つに分け

それぞれが、兄弟竜の鼻や口、耳から、そして脳へと侵入していく

半開きだった眼が“ギンッ”と見開かれ 全身を覆う鋼のような筋肉が脈動する

赤黒かった表皮が、一方は真紅に染まり、もう一方は漆黒に染まる

たった1度の羽ばたきで、巨体を浮かせ、迫りくる妖狐に対し迎撃の態勢を整える

“ブシュッー”と、炎の混じった鼻息を吹く 真紅のバハムート

“バチッ! バチッ!”と全身から放電する 漆黒のバハムート


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