結婚報告2
「ふむ 正直、驚いたぞ しかしよくぞ天女殿の気持ちを射止めた! 戦いにしか興味のない朴念仁かと思っておったが、わしの目が節穴だったわけじゃな! いやめでたい」
自分の事のように喜ぶ武田信玄
「お館様、折角ですので例の件を、本多殿にお話されたらいかがでしょうか?」
「おおっ そうじゃな、真田幸隆から聞いたとは思うが、おぬしに一つ城を任せたいと思っておる 望む領土があれば申すがいい」
「はい 天女様とも話したのですが、岐阜城をお任せ頂ければと思います」
居住まいを正し、深く頭を下げる 本多忠勝
「しかしあそこは焼け野原じゃぞ? まぁおぬしらならば、すぐに再建するのじゃろうがのう 良かろう本多忠勝!おぬしに岐阜城以東の尾張国すべてを任せよう 天女殿を嫁に貰うとなれば、益々励まねばならんのう」
「はっ 有難き幸せに御座います」
天女様、御結婚という吉報が、あっという間に京の都中を駆け巡り
大勢の人達が、下鴨神社の境内に設置されている天女小堂にお祝いの参拝に訪れる
暗い話題の続いていた、都の民に明るい笑顔と活気が戻り、行き交う人々の足取りまでもが軽く感じられる
「「「「「「「「「本多殿、天女様おめでとうございます!!!」」」」」」」」」
天武の子供達が、エヴァと忠勝に走りより、口々に祝の言葉を述べる
「皆 ありがとう こんな時にどうかとも思ったんだけど。。。」
「天女様、こんな時だからこそです!皆に希望を与えてくれますし 負けられない理由が、また一つ増えました!!驚きましたけど」
お雪が、天女の手を取り微笑む
エヴァと並んで立っていた、本多忠勝の襟首が強い力で引かれ、たたらを踏んで後退る
忠勝の首に手を回し、羽交い締めにする アランが忠勝の耳元に囁く
「エヴァを。。。泣かせるな。。。死ぬなよ。。。」
「はい!アラン殿。。。拙者。。。死に。。。ましぇん。。。苦しい。。。」
戦闘ではなく、アランに殺されそうになる 忠勝
「エヴァは、男に興味がないのかと思っていたよ おめでとう」
「ありがとうブルート、興味が無いわけでなく、縁がなかっただけです」
「言い寄ってくる男達は、大勢いたが俺とルイでことごとく追い返していたからな」
当然という風に言い切る ブルート
「はっ!? 初耳なんですけど? 今まで私は、男性からまったくモテないのかと思っていました。。。」
「いや 物凄くモテると思うけどな〜 でも自分より弱い男は、要らないだろう?」
「ブルートとルイが決めることでは、ありませんけどね! まぁいいです」
そこに浅井長政とお市様夫婦が、玉砂利を踏みしめ近づいてくる
「天女様、おめでとうございます!」
抱きつかんばかりの勢いで手を取る お市
「ありがとうございます お市様、お腹も随分と大きくなりましたね、触ってもいいですか?」
「はい 是非触ってやってください! 天女様に触っていただけば、きっと丈夫な子供が産まれるに違いない! あ。。。失礼した 本多殿、天女様この度は誠におめでとうございます」
軽く頭を下げる 浅井長政
「わたくしからもお願いします この子に触ってやって下さい」
少し腰を下げ、両手でお市のお腹を支えるように触る
目を閉じ、両手の平に神経を集中するように
「とても順調だと思います 後50日といったところでしょう」
「お〜そうか! 順調か! 名を考えておかねばならんな」
「殿、男の子ならば殿が、女の子ならば私に名をつけさせて下さいな」
「ふむ 良いが、女の子の名前を、もう考えているのか?」
「はい“江”と、大陸では、海のように大きな河を江と言うそうです 沢山の国を繋ぎ
沢山の人を繋ぐ そんな人になって貰いたいと。。。」
「ふむ お江か。。。良い名であるな、きっと大きな人間になるであろう 楽しみじゃ」
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