隼3
「湯沢。。。野沢も捨てがたいが。。。なんと言っても草津。。。。」
高速で歩みながら、なにやら思案中の本多忠勝
「忠勝殿さきほどから、何をぶつぶつと言われているのですか?」
「いえ 実はですね、ここから小田原までの道中には、良い温泉郷が沢山あるのです
宿泊はせずとも、休憩がてら汗を流していくのは、どうかと思いまして」
「また気を失われるのでは、ありませんか? ふっふふ」
と小さく笑う エヴァ
「あ、あれは不意に天女様が入って来られたので はっ!?」
思わず口を塞ぐ
「未だに天女様なのですね。。。旦那様には、がっかりです。。。」
寂しそうに俯き 泣き真似をする
「ああっ いや その、考えたのです! お天とか。。。天ちゃんとか。。。えばとか
どれも恥ずかしいと言いますか。。。」
「では温泉は、却下です!」
「いや あの、ではお天! 草津温泉に西の河原と言う、源泉が川のように流れて露天風呂になっている絶景の場所があるのです 美肌効果もあるとか。。。共に参りましょう」
「はい 旦那様 では今夜は、そこに宿を取りましょう 美肌効果のほどを確かめて下さいな」
木の根に足を取られ 受け身も取れずに盛大に転ぶ 忠勝
「あの。。。鼻血が。。。」
治癒魔法を掛けようと 歩み寄るエヴァを片手で制する
「大丈夫です どこも痛めていません、これは頭に血が昇ったようです」
エヴァと忠勝の婚前旅行は、まだ続く。。。
鳴海城 上空
屋外練兵所で、武田勝頼、服部半蔵等と汗を流すルイ
木刀を両手に持ち 真剣と短槍を持つ勝頼、半蔵の2人を同時に相手にする ルイ
「遠慮は要らないぞ、思いっきり切りかかって来い!」
「さっきから、遠慮などしておらん!!」
ふと上空を見上げ、勝頼の太刀と半蔵の槍を同時に叩き落とす ルイ
「ちょっと待った お客さんだ」
自分に向かって時速400Kmを超える速度で急降下してくる 中型の猛禽類とその後方で
不穏な瘴気を発するネボアに目を凝らす
ルイの頭上で翼を広げ急制動をかけ ルイの肩に泊まる隼
遥か上空でその様子を窺う ネボア
一瞬で右腕を鬼化させ、空間収納から取り出した魔力を纏わせた殺生石の欠片を“指弾”でネボアに向け放つ
この高度に居る自分に対して、攻撃する術が無いと油断していたネボアの霧の体の中央を殺生石が貫き、瞬時に霧散する
『痛い! 痛い! 痛いっ!』
この世界で初めて体験する痛みに悶絶する
大嶽丸の体に憑依し受けた落雷は、驚きはしたが痛みは感じなかった
『憎い! 憎い! 憎い!!』
探知を最大にして、眼下の鳴海城に居る すべての生物を観察する
自分に攻撃を放った、赤い波動を持つ者以外には、驚異となる生物は居ないようだ
『殺す! 殺す! 殺す!!』
あの赤い波動は、天女と呼ばれる女とよく似ている 決して忘れないぞ!
霧散した体を集め、母の待つ御嶽山へと退散していく ネボア
「随分と綺麗な鳥だな、エヴァからの文と首飾りが随分と入っているな 重かったろうにご苦労様」そう言い隼の頭を撫でてやる
「この鳥は、隼だな この国で最も早く飛ぶ猛禽類だ で? 天女様からは、なんと?」
隼の脚から、結ばれた文を外し広げる
「そうだな、え〜と この首飾りを主だった武将に送れと。。。結界魔法が施されており、魔獣による憑依を防ぐんだそうだ、毛利には4つを送り島津·大友·長宗我部には、毛利輝元から遣いを出し届けてもらうように真田昌幸殿に手紙を書かせよだと
常に身に着けておくようにと念を押すように
ここから最上·伊達·朝倉·里見·徳川信康·本願寺の顕如に送り 残りは京の下鴨神社だとさ
エヴァは今、北条に直接届けに向かっているそうだ」
「ちょっと待てルイ! こんな点々しか書いていない小さな紙の何処に、それだけの情報が書かれているのだ!?」
「それは、俺にも謎なんだ。。。なぜ読めるんだ?」
ブックマーク&星で評価などして頂けると嬉しいです
m(_ _)m