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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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勉強会

その後 夜遅くまで勉強会は続いた 主に周辺諸国の地理と領主と歴史

武田家との関係等を、事細かに語る昌幸は、父 幸隆にも劣らぬ聡明さが感じられた

その勉強会の最中に続々と武田家重臣達が顔を出し 挨拶に訪れる

「武田信玄が四男、諏訪勝頼と申します 天女様のおかげで父がすっかり元気になりました 心より感謝いたします」

畳に額を擦り付けんばかりに、頭を下げる勝頼

涙まで浮かべ頭を上げようともしない

「私も、命を助けて頂いています 何も気にされることはありません」まさに天女の如き笑みを浮かべるエヴァ

「天女様。。。」頭を上げエヴァに、抱きつく勢いでにじり寄る

「今後とも、ルイ殿と共に父武田信玄にお力をお貸しください 何卒お願い申し上げます」興奮のあまりエヴァの手を握りそうになり、すんでのところで思いとどまる

「少し落ち着いたほうが良いですな 勝頼殿」徳本がいさめる

「徳本先生 何故に先生が天女様のお部屋に?」

「わしは、天女様の案内係? 付き人? というか弟子じゃな!」

完全に開き直る徳本

その後も、浜松城に滞在する主だった重臣が訪れ

何故か出ていかない。。。

勉強会も一段落し昌幸が厠に立つ


「皆さん 数ヶ月に及ぶ連戦でお疲れのご様子 傷を隠されている方もいらっしゃいますね 【慈愛に満ちたる天の光 天使の息吹となり 傷つきし者を癒やし給え 天光治癒】」

部屋中が暖かい光に包まれる

静まり返る室内 言葉を発するものもなく 皆がそれぞれ

両の掌を見つめる者 古傷のあった足を擦る者

肩をぐるぐると回す者 涙を流し拝む者まで居る

言葉もなく満ち足りた気分に浸っていたその時

障子の向こうから声が掛かる

「山県昌景 夜分に失礼とは思いますが ご挨拶に参りました」

許可を得て部屋に入る

「皆 お揃いで。。。どうされました?」異様な雰囲気に足を止める山県

「山県様 みんな天女様の癒やしの光に言葉を忘れたようだ」

ルイが座布団を勧めながら 座るように促す

「私を救って頂き ルイまでがお世話になりましたそうで、厚くお礼申し上げます ありがとう御座いました」頭を下げるエヴァ

「礼には及びません こち」

「見ましたね?」山県が言い終わる前に、言葉を被せるエヴァ

「はい? えっ??」

「見ましたね?? 私の一糸まとわぬ姿を」さらに詰め寄る

「あの あの場合は。。。」のけ反るように距離を置こうとする

「貴方様の頭の中を少しいじらせて頂き あの時の記憶を消そうと思うのですが。。。」

言い終わると同時に山県ににじり寄り、逃さんとばかりに羽交い締めにしようとする 馬場信春と勝頼 

「お主 見たのか!? どうじゃった?」噛みつかんばかりの馬場

「それは。。。この世の者とは思えぬほどに美しかった」

「天女様 此奴の記憶をすべて消し去ってくだされ!」

山県の手を取るエヴァ

「冗談が過ぎました お許し下さい 私もルイも山県様には

 本当に感謝しています」両の手を癒やしの光で包む

「あっ。。。これは?」すべての疲れが抜け 全身が暖かな温もりに包まれる 

横に居るルイが山県の肩に手を置き 何故か頷いている

『エヴァって最強じゃん? みんなをもう虜にしてるし』


「なにか困ったことがありましたら 何でも申し付け下さい」

「天女様の為でしたら 命をも投げ出す覚悟です」

「これほど生きている事に感謝した日は御座いません」

皆それぞれに最上級の感謝の言葉を述べ 自室へと戻っていく


「夜も深まってまいりました 今日の所はここまでにしておきましょう」昌幸が告げ 腰を上げる

「昌幸殿 大変勉強になりました 時間が許しましたら 明日も宜しくお願いいたします」

「はい 私も楽しい時を過ごさせて頂きました では明日」

立ち上がろうとしない徳本を見つめる昌幸

「徳本先生 天女様もお休みになられます 戻りますよ」

驚いた目で見上げる徳本の手を引き 部屋を出る


「エヴァって魔性の女? 凄すぎでしょ」

「ルイ。。。あなたも出ていきなさい 良からぬ噂を立てられても困りますので」

「えっ? いつも皆で雑魚寝してたじゃん?」

「2人っきりは私のイメージに傷が付きます いいですね!?」

「どこで寝ればいいんだよ。。。」渋々と部屋を出るルイ






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