隼2
ですので連続投稿します
毘沙門堂から、異様な魔力を発する、天女と呼ばれる、あの女から逃れるように西の空へと飛び去り 眼下に広がる日本海の沿岸に沿って北上してみる
脳内にこの国の地図を完成させようと、半日を掛けて飛び回り、ときおり見かける人間に憑依し、その地図に地名を書き込んでいく
5日間もの時間を無駄にしてしまったが
この5日間で自分に起きた変化をじっくりと観察することが出来た
この世界に産まれ出て、5ヶ月目で幼体から成体に近づいている実感を得たのだ
これまでに出来た事の全ての能力が飛躍的に上昇している事を本能で感じ取る
飛行速度、高度ともに、格段に上がり それに伴い遠くまでを見通す事もできる
さらには、自分を中心としてこれまでは、2Km以内の生物を探知できたが
検証が必要ではあるが、その数倍の距離を探知できるようになり 個体の霊格までが
その場にいながら、判別が出来ている おそらくだが、これまでだと20名ほどの洗脳が
限界であったが、これも数倍まで能力が上がっているように感じる 集落に居るすべての生物を洗脳出来るのではないだろうかという程に。。。
そして特筆すべきは、憑依、洗脳した個体の能力を上昇させることも可能なようだ
どの程度の能力を上昇出来るのか? 小躍りしそうなほどに楽しみな検証を急がねばならない
一度御嶽山に帰るとするか。。。
母竜の傷は癒えているだろうか? 兄弟達も腹を空かせている頃だろう
適当な集落を見つけて、実験を兼ねて50人ほど火口から落としてやろうか?
そう決めると、東に向け旋回し御嶽山を目指し、意識をその先へと向けると
遠い東の空に、この世界の生物では、ありえない速度で飛行する鳥を探知する
以前のネボアでは、追いつく事さえできない速度。。。
興味を持ったネボアは、全速で追ってみる事にする
好奇心を抑える事が出来ないのがネボアの性のようだ
しばらくの後、青空に小さな点が見える ようやく目視で捉え さらに速度を上げる
近づくに連れ、覚えのある魔力を この中型の鳥から感じ取り、それが天女と呼ばれる
女のものであると確信すると、この鳥の足から下げた荷を奪おうと憑依を試みる
気取られる気配も無く、鳥の後方から近づいていく。。。
手が届くと思った瞬間“バチンッ!!”と弾かれ、後退る
あの忌々しい女の術か。。。今の自分では、破る事の出来ない結界 一切の攻撃手段を
持たないネボアでは、この鳥の行く先を確かめるより手が無いと、追走を始める
隼を見送った後、上杉謙信に挨拶を済ませる
「もう行かれるのか? 忙しい身だろうし引き止めるわけにはいかぬな」
本心より、残念な様子の 上杉謙信
「はい 有意義な時間を過ごさせて頂きました 美味しい食事も」
ふっふっと笑う エヴァ
「ふむ まもなく新米が出回るであろう、そなたらに贈ろうと思う鳴海城で良いのか?」
「それは、楽しみです 鳴海城でお願い致します」
「此度は世話になった 礼と言うわけではないが、小田原に行くのであれば、馬を用意するがどうじゃ?」
「いえ 道なき道を歩みますので。。。隼も頂いておりますので、十分でございます」
「そうか では、気をつけて参られよ もう一つ将軍に伝言を頼まれてくれるか?
いつか川中島の決着をつけようぞ とな ハッハッハ」
「はい 確かに承りました」
春日山城を後にし、南へと小田原への最短の道程を歩む
一面に広がる黄金色に輝く稲穂が、穏やかな風に揺れる畦道を、喉を鳴らしながら進む
「世界は、なんと素晴らしいのでしょう!!」
屈託のない笑顔を浮かべ、伸びをしながら唸る 忠勝
「まったくです この新米たちが鳴海城に届くのが、楽しみでなりません」
「いえ。。。。そういう事では。。。。」
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